座間郷総鎮守 鈴鹿明神社ブログ「社務日記」

神奈川県座間市入谷西鎮座、座間郷総鎮守 鈴鹿明神社の神事や日々の様子、神社の豆知識をお知らせ致します。

幣帛料の準備

2018年09月07日 | 神社知識・作法・歴史

この9月のはじめは当神社にとっては兼務神社の例祭が続く時期です。

明日も数社で例祭が斎行される予定ですので、社務所では当日お供えする幣帛料の準備を致しました。

『幣帛(へいはく)』とは広義には御神前にお供えするもの全般を指す言葉で、“みてぐら”とも呼ばれます。

しかし時代を経るに従ってお供えする食物である『神饌(しんせん)』と区別される事が多くなり、今の幣帛は奉られる食物以外の「布」「衣服」「武具」「御幣」などを主として意味するようになりました。幣帛料は更に金銭を紙に包んでその幣帛の代わりとしたものですが、かつて布や着物が金銭の代わりに使われていた事を思えば、少し形を変えただけとも考えられます。

お供えするのはほんの一時ではありますが、手落ちの無いよう準備しなければなりません。


御幣の奉製

2018年08月20日 | 神社知識・作法・歴史

今月末に当社で兼務している神社の例祭があり、毎年御幣を奉製致します。

 

御幣(ごへい)とは古くは幣帛(みてぐら)の意味で海の物、山の物をお供えするのと同じように布幣として神前にお供えするものだったようです。

布幣がその後紙垂を串に刺したものを御幣と言われるようになったようです。

現在御幣は、御社の奥に置いて神様の御霊を鎮めるための御神体として、あるいは神前に据えて御鏡と同じような意味合いで、又参拝者用の祓いの道具としてと様々な形で用いられています。

当社で奉製された御幣は、社殿の前に据えて御鏡と同じ形で用いる物です。

今回奉製した御幣の紙垂の型は皆同じですが、神様の御神体として用いられる場合には神様によって紙垂の型が異なって奉製する場合もあります。

又、御幣が紙以外のもので奉製された物もあります。

神社へお参りの際にはそういうところにも注意してお参りされるとまた違った楽しみもあるかと思います。


例大祭はいつが多いのか

2018年08月12日 | 神社知識・作法・歴史

何度も書いていますが、8月1日にこの鈴鹿明神社では例大祭が執り行われました。御神輿が出て屋台が並び、境内にはちらほら浴衣の方もみえて…と絵に描いたような夏祭りです。

例大祭(正式には「例祭」)は、その年の豊穣を祈る2月の「祈年祭」、その年の収穫に感謝する11月の「新嘗祭」と並んで大祭に区分される御祭です。“その神社に特に縁の深い日を選んで行われる”とされており、神社毎に例祭日は別々に定められています。

夏祭りになる神社もあれば桜咲く時期の春祭り、紅葉の中での秋祭り、しかし冬祭り…という言葉はあまり聞きませんね。

実際にどの時期に例大祭が行われるものなのか、この相模中央支部の地域内(座間市・大和市・綾瀬市・海老名市・厚木市・愛甲郡)の神社110社の例祭日を調べてみました。 ※あくまでこの地域の数ですので、全国的な傾向とは異なる場合があります

  • 1月 → なし
  • 2月 → なし
  • 3月 → 2社
  • 4月 → 39社
  • 5月 → なし
  • 6月 → なし
  • 7月 → 9社
  • 8月 → 9社
  • 9月 → 30社
  • 10月 → 19社
  • 11月 → 2社
  • 12月 → なし

随分はっきりと、春4月と秋9月・10月がとびぬけて多い結果になりました。やはり田畑の仕事を中心に考えると、この春と秋が一年の農事の始めと終わりに当たるからかもしれません。

12月から2月にかけてお祭りがないのは年末年始と重なるからと、判りやすいところです。5月6月はちょうどお田植がはじまる頃で、また梅雨入りもあるため遠慮されているのでしょうか。

当神社でもお盆が明けて風神祭を過ぎれば、兼務神社の秋の例大祭の時期になります。まだまだ暑い日が続きますが、気が付けば次の季節ももう目前となっているようです。


御神輿の起源

2018年07月06日 | 神社知識・作法・歴史

先日ここで例大祭ポスターの完成のお話をしましたが、その表紙を飾っているようにこの例大祭はやはり御神輿の渡御があってこそ、という感がします。

御神輿も所によって厳かなもの、華やかなもの、賑やかなものと様々ありますが、鈴鹿明神社の御神輿はとりわけ賑やかで勇壮なものと言えるでしょう。季節柄、通り雨に見舞われることもありますが、毎年夜の還御に至るまで熱気が冷める事はありません。

昨年の例大祭、出御祭の一場面

御神輿とは神様の乗り物で、お祭りの際神様に氏子地域へお出ましいただくことで、福徳をいただけることを祈願するものです。

実は御神輿の起源ははっきりとは分からないのですが、奈良時代の大仏建立の際、宇佐八幡宮の神様を京にお迎えする時に紫の御神輿が使われたというのが古い記録としてあるようです。

そして平安時代以降、天災や疫病などの災いを祟りによるものとし、それを鎮めるためにお祭りを行う『御霊信仰(代表的なものは牛頭天王や天神様)』が全国に広まるにつれて御神輿をかつぐ事も行われるようになったと言われています。

ちなみに御神輿によく似たものとして山車(だし)がありますが、こちらは平安時代の大嘗祭というお祭りで引かれた『標山(しるしのやま)』というものが原型だという事です。担ぎ方の違いだけと思っていましたが、元々別々のものだったようですね。


茅の輪のくぐり方

2018年06月26日 | 神社知識・作法・歴史

昨日境内に大祓の茅の輪を設置しました。

ご参拝にいらっしゃった方はもうどなたでもくぐる事ができますが、実はくぐり方というのがあります。

古くは茅輪神事に決まった形はなかったようで、各神社の伝統的なやり方にならうという所もあるのですが、今多く行われているのは上の図にあるやり方でしょうか。

“最初はくぐった後左に回って正面に復し、二回目はくぐって右に回り、三回目はくぐって再度左に回る”

この「三」という数字に「沢山」という意味があるために三回くぐると言われています。茅の輪の横には由緒やくぐり方の案内も出ていますので、くぐる際はよろしければご参照ください。


扇舞の練習

2018年06月16日 | 神社知識・作法・歴史

今日も涼しい一日で夏への道のりを数歩戻ったような感覚がありますが、昨年の様子などを振り返るともう例祭の準備を始める頃となっています。

色々な物品の準備に加え、巫女方では舞の練習も行われています。

昨年の例大祭での巫女舞

当神社では例祭を始めとした大祭、また神前結婚式の時などに『浦安の舞』の奉奏を行っています。

この“浦安”とは穏やかな浜、平和を表す言葉です。振付に派手さはありませんがゆったりと、楚々とした舞で、それだけに舞手の息が合っているかどうかが重要になります。

例祭までまだ一月以上はあるのですが、舞のように直前になってからでは間に合わないものもあります。気を付けて準備を進めていきたいと思います。


地鎮祭日和

2018年05月16日 | 神社知識・作法・歴史

今日も朝から良く晴れています。気温も朝から高めで昼過ぎには30度近くまであがる予報です。

しかし、風が少し強めに吹いているので幾分涼しく感じます。

しかも今日は大安。地鎮祭など外の御祭には一番良い季節となっています。

当社でも何件かご奉仕をさせていただいております。

 

地鎮の儀で使用する鎌・鍬・鋤

地鎮祭のご依頼は、家を建てる建主(施主)か工事を請け負った施工会社からのお申込みが殆どです。

何度も地鎮祭をお申込みいただいた施工会社は御祭の式次第や作法は良くご存じかと思いますが、家を建てる御施主様は初めての方が多いかと思われます。

参考資料『氏神さまと建築儀礼』神社本庁発行

祭典の式次第は地域によって若干の違いはあるもののこのような流れで行われております。

又、地鎮祭を依頼するまでの流れについては下記の手順にてお申込みいただけます。

氏神様や土地の神様に家を建てる御奉告と工事の安全を祈念するための地鎮祭です。

これらの冊子は当社の社頭にて無料配布しておりますのでお気軽にお持ち下さい。又、ご不明の点がございましたら当社までお尋ね下さい。


眷属

2018年05月13日 | 神社知識・作法・歴史

眷属(けんぞく)を辞典で調べると、血筋のつながっている者、一族の者、身内の者、親族、従者、家来、配下の者、とあります。

神社での眷属は、神様の使いとよく言われます。稲荷は狐・伊勢神宮の鶏・出雲大社の蛇・八幡宮の鳩などとありますが、古代より日本人は自然と共存していくなかで、神様に祈りを捧げてくらしておりました。しかし神様は姿が見える事がないので眷属という形があるもの、神様と人の間に立つ神様の使いとして後々にでてきたのではないかと言われております。

本日は神様と人の間に立ち行き来していただいている眷属に゛疲れを癒していただけたら゛という気持ちを込め、細かい所にも目をむけ拭きあげを行いました。

丁寧に拭いてまいりました


雨の神様

2018年05月10日 | 神社知識・作法・歴史

ここ数日は5月と思えない寒気に見舞われていますが、今日は更に昼前から雨も降り、時折雷鳴も聞こえてきます。

随分遅れた寒の戻りというべきか、早くやってきた夏の雷雨というべきか、何とも言えない不思議な天気です。

 

私達神職は“自然の事は神様がなさる事”と考えていますが、では雨の神様というのは日本ではどのような神様なのでしょうか?

神話には『淤加美神(おかみのかみ)』『弥都波能売神(みづはのめのかみ)』という神様が水の神様として登場します。

 

古事記に書かれた神話の“国生み”の段での事です。

世界の始まりに地上の多くの神々の父母となったイザナギ・イザナミ二柱の神様ですが、火神であるカグツチを産んだ際に妻のイザナミは身体を焼かれて、やがて亡くなってしまいます。

その時夫のイザナギは怒り嘆いて、原因となったカグツチを自分の剣で斬ってしまうのですが、その剣の柄より滴った血から生まれたのが『クラオカミ』と『クラミツハ』の二神です。

クラは渓谷、オカミは水を司る龍、ミツハは出始めの水あるいは水の精を意味し、『淤加美神』はこの二神を総称した呼び名です。

一方の『弥都波能売神』は、上の続きで身体を焼かれて臥せったイザナミの尿から生まれた神様で、名前は同じくミツハの女神である事を表しています。

 

劇的な場面で登場する神様ではありますが、水の守護神として雨を呼ぶ御祈願・雨を止める御祈願・井戸に関するお祭りの際に私達神職がお呼びかけする神様でもあります。

 ごくかいつまんで書きましたが日本の神話はなかなか奥深いものです。 ご興味のある方は一度読んでみてはいかがでしょうか。


装束の衣更え

2018年05月06日 | 神社知識・作法・歴史

ちょうど昨日に暦の上での立夏を迎え、神社でも装束の衣更えを行いました。

この社務日記でも何度か書きましたが、今年は暑い日が多いような印象もあり、衣更えはようやくできたといった感があります。

これまでの、冬用の狩衣

夏用の狩衣。淡い色で少し透け感があります

装束は冬用も夏用も形は全く同じで、生地のみが変わります。

見てはっきり分かるのは色の濃淡ですが、これは夏用の装束の織りが少し粗目で風が多少通るようになっているためです。 着ている側としては涼しいと言えるほど風は通らないのですが、重さは夏用の方がとても軽いので、着心地は随分変わります。

連休も終わり、段々と暑い季節に入ります。 心機一転して神明奉仕に努めたいと思います。


神輿御幣の奉製

2018年04月26日 | 神社知識・作法・歴史

兼務神社の春のお祭りが終わり、今は夏のお祭りの準備をする時期に入っています。

この鈴鹿明神社を含め夏は御神輿の出るお祭りが幾つかありますので、今日は御神輿の中でその時だけの御神体となる御幣の奉製を行いました。

御神輿の扉をくぐれるよう、小振りに奉製しています

『御幣(ごへい)』とは芯となる木に紙や金属を挟み、両側から紙垂を下げた形で表されます。

かつて着物の材料としての布を御神前にお供えしたのがはじまりと言われており、やがてそれが紙になり、装飾としての紙垂のような飾り切りを含めて御幣と呼ぶようになりました。

お供え物として御神前に奉られる事もありますが、現在は御神前に据え置きにして装飾としたり、或いは目に触れない奥にお置きして御神体として取り扱う事もあります。

人に見られるものではありませんが、お祭りとなればこの御幣を通して皆様が神様を拝むことになります。 毎年新しい紙を使って丁寧を心掛けて奉製しています。


装束の後片付け

2018年04月23日 | 神社知識・作法・歴史

先日の祭式・衣紋研修会からしばらく経ち、陰干しをしていた装束を今日畳んで仕舞う事にしました。

研修会で用いた装束は正式には『衣冠(いかん)』と言い、神社祭事の内の大祭に区分されるお祭りで着用するものです。

普段神職が着けている狩衣に比べて布地も多く複雑で、基本的には着る本人と別の “衣紋者(えもんじゃ)” がその人の身体に合せて着付けます。 慣れていないと一式お着けするのに30分以上かかってしまいますので、実際のお祭りで使うためにはやはり練習が大事になってきます。

お陰様で研修会は無事に終了しましたが、先生曰く “片付けるまでが衣紋道” です。 また “着る時にできた皺は目立たないが、畳み間違えてできた皺は見苦しく長く残る” という事ですので、改めて畳み直して片付けをしました。

 

私達にとって衣冠は “手のかかるしかし特別な装束” でありますが、実は歴史的に衣冠は『束帯(そくたい)』という第一礼装を宿直用に大きく簡便化した装束だと言います。

更にその束帯には時と場合に応じた着付け方も色々とあったらしく、衣紋道もほとんどこの束帯のために編み出されたものだとか。 装束の世界は奥が深いものです。


祝詞の読み上げ方

2018年03月27日 | 神社知識・作法・歴史

「直階」に始まる神職資格というものがあり、ほとんどの神社では神職になるにあたってこの資格を持っていることが求められます。

そう言うと全ての作法を修めた状態で神職になるのかと思われますが、実際には “神職になってからその神社のやり方を学ぶべし” という事で踏み込んで習わずに来るところも少なからずあります。

祝詞の読み上げ方もその一つではないでしょうか。

月次祭での祝詞奏上

私が感じる所では、祝詞の読み上げ方はその神職・神社のお考えによって幾つかに分けられるかと思います。

 ①微音で奏上する …周りの人には聞き取れないくらいの小さな声で奏上する方法で、神様以外に内容が聞こえないようにという意味があります。 読み終えた祝詞は人の目に付かないようにお祭りの後お焚き上げするという作法もあったようなので、祝詞奏上の古い型を残したものなのかもしれません。

 ②節をつけて奏上する …一様ではないのですが、例えるなら和歌の読み上げをする時の様に音階や調子をつけて奏上する方法です。 神様に言葉をお供えするものとして、装飾する意味で行われるものと思います。

 ③淡々と奏上する …節を付けるのとは逆に、音を平らかに奏上する方法です。 ②と比べこちらは作為のない素直な言葉を申し上げるという意味があります。

 ④大きく奏上する …大声でというと語弊がありますが、他の人に聞こえるように奏上する方法です。 ①と逆に、祝詞は参列者を代表して読み上げるものであるから皆に聞こえるようにという意味があります。

 

私の浅い見聞で語るのもお恥ずかしい事で、勿論どれが正しいというものでもなくこれが全てでもないのですが、それぞれ意味があってのものと伝われば幸いです。 祝詞を聞く機会があれば気にしてみてはいかがでしょうか。


荒神様の御札

2018年03月07日 | 神社知識・作法・歴史

当神社では『荒神様』と呼ばれる台所の火の神様の御札を二種類頒布しています。

一つは御神名の記されたよく見る形の御札、もう一つは竹を芯にした幣串が三本付いている“三本御幣付荒神大麻”と呼ばれる御札です。

乾燥した冬は問題ないのですが、ずっと竹と紙とを一緒にしていると色が移ってしまうとの事で、今日は荒神様の幣串を外し手入れをしました。

荒神様は色々と特別な作法の伝わる神様でもあります。

まずは台所に専用の“荒神棚”を設ける事..。 これは危険な火を扱う場所ですから、見守っていただけるようにという意味で不思議ではありません。

他に“五色の特殊な切り方をした御幣をお供えする”、“色彩を施した一本立ての松の枝をお供えする”、“あえて土団子など粗末なものをお供えする”...などがありますが、これはどうやら陰陽道など別の習俗が混ざったためであるそうです。 現在は荒神棚も家の神棚と同じようにお参りし、お供え物をするべきとされています。

 

元々荒神様というのは仏教において“仏・法・僧”の“三宝”を守護し、信者を守り悪人を罰するという『三宝荒神』の呼び名です。

三面六臂(顔が三つで腕が六つ)の忿怒の形相で表され、特に不浄を嫌い火を以て浄化するという性質から、古くからある家の火の神と習合して祀られるようになったと言われています。

複雑な性格を持つ神様ではありますが、これも長い間信仰を集めてきた故とも言えますね。


祈年祭に向け神饌の準備

2018年02月16日 | 神社知識・作法・歴史

明日は8月の例大祭・11月の新嘗祭に並ぶ大祭である『祈年祭』が執り行われます。

祈年祭は今年一年の田畑の安全と豊作が祈念される、大変重要なお祭りです。 普段も御神前には海の物・山の物とお供えされているのですが、こうした大祭にあたってはそれに加え特別なお供え物を差し上げています。

やはり目を引くのは魚の王様、鯛の姿です。 お祭りではできる限り新鮮なものをお供えするものですので、新しいものをご用意するのは勿論ですが、更に写真のように麻で体や鰭を起こして、生きている姿に近づけてお供えをしています。

明日の祈年祭では一揃いの海の物・山の物に加えこの鯛、一升分の糯米を使った御餅、そして氏子の方から御奉納いただいた野菜を併せてお供えする事になります。

なんとか種々の準備もできました。 あとは明日、しっかりと神事が奉仕できるよう努めて参りたいと思います。