ARTISTIANより春峯庵事件(1)浮世絵贋作事件のあらましを紹介します。
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目次
まとめ
春峯庵事件は、春峯庵を謳った公開入札が事件発覚のきっかけだったが、実態は同業者同士の贋作の売りつけだった。そこにはどこで贋作になったかという問いも含まれている。矢田三千男は裁判で「自分は「模写画」として売った」と語る一方、清水源泉堂は「岡山の池田侯爵家何某の大名の伝手を求めて買い受けたもの」と言われて買ったと主張。同じ絵でも扱いひとつで模写にも贋作にも化ける一つの例だろう。
詐欺事件全般に言えることだがダマす意志があったかどうかの立証は難しい。まして贋作事件は、真贋という境目が難しい尺度も加わる。贋作とわかって売っていたのか?金子孚水は認め、清水源泉堂は認めなかった。事実がどちらにせよ、矢田製の贋作が世に出回る結果となった事には変わりない。春峯庵事件で公開入札された品でさえ、警察から下げ渡された後に海外へ流失したり、ようやく国内で一部が発見されたりと未だその全容は明らかになっていない。そういう意味では、春峯庵事件は今もなお続いている事件といえるのではないだろうか。