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3月4日は新聞休刊日

2019-03-04 05:46:05 | 社説を読む
今日は新聞休刊日なので、昨日のコラムを一部紹介します。

毎日新聞
・ 平安時代の随筆、枕草子の「うつくしきもの」のひとつに「雛(ひいな)の調度」がある。紙で折った小さなひな人形もかわいいと心を寄せた清少納言だが、これを使った「雛遊び」は当時、上流階級の子女が興じる「お姫さまごっこ」だった

▲それが庶民にも広がるようになったのは江戸時代からという。平安の長編小説、源氏物語にも出てくる流しびなが結びついたというのが定説だ。人形を海に流して厄払いし、女児を災いから守る祈願としたのが始まりといわれる

▲3月3日はひな祭り。いまや「ガールズデー」とも呼ばれ、五目ちらしやハマグリの吸い物といった定番メニューも、最近ではお膳やケーキなど「おひなさま」限定グルメが続々と登場する

▲成長と幸福を祈る節句の行事だからにぎやかなのはもちろんいいが、現実に目を向ければ、子どもに降りかかる災いは深刻だ。女児の虐待死を受けて、政府は虐待防止に向けた改正法案を準備している

▲親の体罰禁止とともに「子どもの権利擁護」を明記することが検討されている。子どもが意見を言う機会を権利として保障するものだという。発せられたSOSが何度も見落とされた教訓を生かす法案にすべきだ

▲ひな人形の「美しさ」に魅せられ、公邸にひな段を飾ったキャロライン・ケネディ前駐日米大使がメッセージを残している。「女の子が自分の夢はなんでもかなうと思えるのはすばらしい」。健やかに成長し、希望をかなえることができる環境を整える責任は、大人たちにある。


日本経済新聞
・ 紀元前の18世紀頃から12世紀頃にかけてアナトリア地方(現在のトルコ)に王国を築いたヒッタイトは、知的財産の価値がわかっていた民族だ。当時極めて貴重だった鉄の製法が周辺国に渡らないようにし、丈夫な鉄製の武器で強国エジプトの対抗勢力にのし上がった。

▼人の往来がまれな村はずれに炉を造り、最終製品にする工房も秘密にして、温度管理や焼き入れなどのノウハウの流出を防いだと考えられている(大村幸弘著「アナトリア発掘記」)。はじめて鉄をつくったのは実はヒッタイトでなく、先住民族との説がいまは有力。だが技術を厳重に管理する能力には秀でていたわけだ。

▼昔も今もテクノロジーを押さえられるかが覇権争いのカギを握る。古代が鉄なら現代は人工知能やロボットなどの技術だ。米トランプ政権は中国が国をあげて米国の技術の機密情報を盗み出していると警戒する。米中貿易協議で重点をおく一つは知財の侵害阻止だ。技術の流出防止に躍起なさまは「鉄の王国」とも重なる。

▼なぜ鉄が生まれたかは謎だが、先の発掘記はこんな見方を示す。金、銀、銅の細工にたけたアッシリア商人がアナトリアにやって来て、鉱物資源の知識が豊富な先住民と試行錯誤するうちに製鉄の方法を発見したというものだ。技術革新を生む異文化の融合。トランプ大統領は移民排斥を唱える。技術を生む力は大丈夫か。



中日新聞
・  その少年は十三歳の時、高台の洋館に住んでいた一人のお嬢さんが気になってしかたがなかった

▼赤い屋根。庭にはブランコ。一九三七(昭和十二)年ごろの福島での話。当時としてはモダンな家だったのだろう。女の子は少年と目が合うと、ニコッとほほ笑む。少年は洋館の前を行ったり来たりしていたそうだ

▼約三十年後、大人になった少年はお嬢さんの面影からある人形を考える。今なお子どもたちにかわいがられている「リカちゃん」人形である。「リカちゃん」の生みの親で、玩具メーカー、タカラ(現タカラトミー)創業者の佐藤安太さんが亡くなった。九十四歳

▼「ダッコちゃん」「人生ゲーム」「チョロQ」「フラワーロック」「トランスフォーマー」。昭和、平成の子どもの恩人ともいえる「おもちゃの王様」の旅立ちが寂しい

▼「リカちゃん」には両親や妹に弟、大勢の友人の人形が存在する。同じ着せ替え人形でも米国のバービーには両親の人形はないそうだ。佐藤さんの幼少期、両親が製材所に働きに出るため、独りで留守番することが多かったそうだが、あのお嬢さんには寂しい思いをさせたくなかったか

▼子どもの心が分かる人だったのだろう。傑作おもちゃの数々は子どもたちを楽しませ、寂しい時間までも忘れさせてきた。その訃報にかつてのわが友「変身サイボーグ」の行方を思い出そうとする。

※ ひな人形から虐待、ヒッタイトからトランプ、リカちゃん人形と話題がおもしろい。

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