今日も、日本を見つめる世界の目を紹介します。
【中国】
人民日報 http://j.peopledaily.com.cn/home.html
日本の政局:国難はどのような変化を生むか
東日本大震災以来、救援・復興作業は入り組んで糸口がつかめず、放射能漏れ事故も当初の予想より深刻化している。政治的団結と強力なリーダーシップが最も必要とされるこの時に、逆に政局は混乱状態に陥り、各政治勢力は権力闘争に明け暮れ、日本社会の深層の悪弊が白日の下に晒されている。(文:金渚ー・中国社会科学院日本研究所副研究員)
いかにして体制の悪弊を克服し、「大連立」を組んで大事にあたるか。これによって生じる新たな政治構造は、将来の日本の全体像に関わる。日本政治の智慧が試される時はすでに到来している。
「環球時報」は、6月初めの日本で連日繰り広げられた政治劇には、極めて重要な場面が2つあったと指摘する。1つは6月2日に菅直人首相が国会での不信任決議案可決という「災難」を逃れた後、震災対策に尽力するためにより長い時間が必要との姿勢を表明したため、再び反発を強めた党内外から退陣を迫られた場面だ。もう1つは6月5日、民主・自民の2大政党の幹事長がテレビの政治討論会で、菅首相退陣後に両党による「期間限定」の大連立を検討する考えを示し、暗黙の合意を交した場面だ。なすすべのない日本政治にとって「復興連立」は新たな期待となった。
現在日本の政界が菅首相に反対している最大の理由は、東日本大震災への対応のまずさだ。だが実はこれは口実に過ぎない。菅政権の震災対応には確かに多々問題があったが、こうした力不足、甚だしくは無能なリーダーシップの責任を菅首相一人に帰すことはできない。東日本大震災後、国難に直面しているにもかかわらず、各政治勢力は依然首相を中心に置かず、至る所に障害を設け、万事足下をすくった。こうして菅首相を何事も成し遂げられない弱い首相に仕立て上げたところで、一斉に追討ちをかけ、どさくさに紛れて後任に収まろうとしてきたのだ。
これは日本がたとえ最大の危機にある時でも、首相にして民主党代表である菅氏は、日本政治の原罪から逃れようのないことを物語っている。国政レベルで菅首相が背負わされている原罪は、新たに政権に就いた民主党は古参の自民党の前では子供に過ぎないということだ。09年の民主党政権発足以来、自民党はその失脚を図り続けてきた。小沢氏の政治資金や閣僚の失言から国会での法案審議や外交問題の処理まで、新野党として自民党は道理を楯に無理を強い続けてきたと言えよう。菅政権発足後、民主党はますます、我慢して言葉を飲み込む若嫁のようになり、法案通過と政権維持のためには自民党の言いなりに甘んじてきた。自らを傀儡化するこのような政治的立ち位置は、危機を前にするといよいよ崩壊寸前となり、結局は表舞台から去る運命を逃れ得ないのだ。
党内政治のレベルで菅首相が否応なく背負わされている原罪は、資金力のある鳩山氏や権勢のある小沢氏の前では、自分はその姓の如く草のような存在に過ぎないことだ。昨年末、菅首相は支持者を前に自分は首相の「仮免許」を持っているに過ぎず、今後は「本免許」に書き換えたいと打ち明けた。だが6月2日の夜以降、各方面の支持を失った菅首相は「仮免許」ですら遠からず返上しなければならない有様だ。
過去4年来、日本政治の建て直しの奇策と見なされ続けてきた大連立は、6月5日に民主、自民両党の幹事長が前向きなメッセージを発したことで、ついに実現味を帯びてきたようだ。07年に自民党が衆議院を、民主党が参議院を押さえる「ねじれ国会」が出現して以来、日本政治の無駄な消耗や空転が激しさを増したことで、ユートピアとしての大連立への期待が大いに高まった。震災後の3月29日に菅首相は自民党に大連立の誘いの声をかけた。だが1つには電話1本だったので誠意を欠くと思われたこと、もう1つには自民党が逆転を狙っていたことから、大連立は再び蜃気楼と消えた。
だが東日本大震災のもたらした被害の深刻さ、復興作業の難しさ、政治体制の無能は、すでに日本全体が直面せざるを得ない大問題となっている。どちらの党も単独でリーダーシップを発揮できない中、大連立を組んで大事にあたることが、被災者や一般の国民から経済界、マスコミ、政界のエリートの共通認識となったようだ。先日の両党幹事長の発言によると、大連立政権は震災復興、社会保障、安全保障の3つの問題の解決に重点的に取り組むことになる。これらが順調に進めば、東日本大震災の陣痛によって産まれた新たな政治構造は、将来の日本の全体像の形成を人々の予測を超えて加速することになると言えよう。だが問題は、現在のたるんだ日本政界においては、大連立は間違いなく「言うは易く行うは難し」であることだ。日本政治の智慧が試される時はすでに到来している。(編集NA)
チャイナネット
http://japanese.china.org.cn/http://japanese.china.org.cn/
日本の退職者、「決死隊」結成し福島行きを準備
72歳のある日本人男性は、自分が楽しく過ごせる時間はそれほど長くないと考える。しかし、すべての定年退職したエンジニアが福島第一原発に残る物質の処理作業が悪い結果を招くと思っているわけではない。
「ガンになる前に、私はとっくに死んでいるだろう」と話す山田さんは、270人あまりの定年退職者と高齢の技術者を集めてチームを結成した。チェルノブイリ原発事故後、世界最大規模となる原発事故の現場にいつでも入って処理を行えるよう準備を整えている。報酬はもらわない考えだ。
チームを立ち上げた山田さんは、住友金属工業で28年間働いた経験がある。福島原発の処理作業はなかなか進まず、複雑な任務で、東京電力だけで簡単に処理することはできない。
山田さんは、日本政府が福島第一原発の管理を引き受け、彼のチームの参加を許可し、彼らの経験と専門知識を十分に利用して欲しいと望んでいる。赤十字社のように報酬はいらないという。
その一方で、日本政府の関係者は当初、この積極的な提案に対して冷たい反応を示した。細野豪志首相補佐官は、山田さんのボランティアチームを「決死隊」とけなした。
しかし、5月下旬に東電本部で行われた会議で、細野豪志氏はこの提案を認める姿勢を示している。その時、現場で働く若い作業員が大きな健康リスクに直面することが懸念されていたためだ。
その少し前、福島で3人の作業員が熱中症で倒れ、同じ時期に、少なくとも2カ所の工場の作業員が高放射能区域で作業し、ガンなどの病気になる高リスクに直面していることがわかった。
山田さんは、「問題は、最初の作業員はお金のために集まった人たちで、彼らは作業環境により逃げることができないことだ」と述べる。山田さんは現在、東電の近くにある小さな事務所で仕事をしている。「私たちは報酬はいらない。そのため、東電と対等に交流できる」と話し、自分のチームが最高の安全基準を守ることを強調した。
東京電力は、2012年1月までに3基の原子炉を無事に閉鎖することを目標にしている。専門家は、その後にウランとプルトニウムを取り除いて安全な状態にするため、10年または更に長い計画が出されると予測する。
滋賀県出身の63歳の建築作業員である石田和彦さんも、自分から進んで山田さんのチームへの参加を申し出た。若いころに建築作業員として福島第一原発のハウジングにかかわったことがある。彼は、3月11日の東日本大震災後に起きた水素爆発の瞬間、非常に複雑な心境だったと語る。
妻に現場で作業したい意思を伝えると、妻は「あなたがやるべきことをしてきて」と答えた。
海江田万里経済産業相は山田さんと会見し、ボランティアチームの提案を認めたい姿勢を見せた。
情況から言って、「決死隊」は必要だ。しかし、これは最後の手段だ。「私は自分で望んでするが、それぞれが自分で決めなければいけない」と山田さんは話す。
大紀元http://www.epochtimes.jp/
ロシア、油田開発で日本に参画求める 「中国をけん制」
ロシアの国営石油最大手ロスネフチが、オホーツク海大陸棚の「マガダン鉱区」と「東シベリア鉱区」の油田開発をめぐり、日本企業の参画を求めることを決めた。ロシア経済紙コメルサントは7日、これには「中国に圧力をかける狙いがある」と分析した。
ロシア紙RBKデイリーによると、ロスネフチはすでに今月初めに経済産業省(日本)と協議を行い、マガダン1、2、3号ブロックと、東シベリアの11カ所の石油埋蔵量などについて、今年中にも共同調査をスタートすることに合意した。有望な鉱区が見つかれば、探鉱を手掛ける日ロ合弁会社を新設するという。さらに将来的に、石油精製工場や一連の石油化学企業の設立についても合意している。なお、日本側が探査のすべての費用を負担するという。
日本経済新聞によると、今回の開発に日本からは、政府系の国際石油開発帝石(INPEX)や石油天然ガス・金属鉱物資源機構(JOGMEC)が参加する方向で調整している。日本側の出資は最大49%という。
ロシアと中国を結ぶ原油パイプラインが今年1月1日にスタートしたばかりで、ロシアは中国へ年間150万トンのペースで原油を提供している。そんな中での日本との積極的な協力について、オルマ投資ファンドのアレクセイ・ビストロフ副代表は、「日本で起きた地震と津波の影響で、石油や天然ガスなどのエネルギー分野への需要が大幅に増えたため」と解釈している。
一方、ロシア経済紙コメルサントは7日、ロスネフチがこの決定をした理由には、中国との間で起きた原油運送費用をめぐるトラブルがからんでいるとの見解を示した。
今年4月に、中ロ間パイプラインにおけるロシア国内での原油運送費用について、双方の意見が分かれ、ロシア側は中国が負担すべきだと主張するのに対し、中国側はロシアの負担だと訴えた。その後、中国が「未払い」の2億ドルを支払うことで解決したが、今回ロシアが日本に協力を求めたのには、「中国に圧力をかける狙いがある」とコメルサント紙は指摘する。
中国とロシアの間で、石油や天然ガスの価格などをめぐり、大小の対立が絶えない。そのつど、「ロシア側の毅然とした態度の前に、中国は譲歩している」とラジオ自由アジア(RFA)がロシアメディアの言葉を引用して伝えた。今回の石油運送費用についてもこの「慣例」に従う形となったが、日本との積極的な協力で今後も中国をけん制することができる、とコメルサント紙は分析する。
【韓国】
中央日報http://japanese.joins.com/
金正日が死亡すれば…ホワイトハウスで緊迫の90分
8日午前(現地時間)、米ホワイトハウス付近にあるウィラード・インターコンチネンタルホテル地下1階の会議場は、‘ホワイトハウス状況室’に変わった。アーミテージ元国務副長官は「国防長官」という札が置かれた席に座った。クラウチ元米大統領次席補佐官(国家安全保障担当)もこの日だけは国家安保補佐官になった。戦略国際問題研究所(CSIS)が開催した「国際安保フォーラム2011」でだ。
CSISは北朝鮮の金正日(キム・ジョンイル)国防委員長と関連した急変事態が発生した場合、米国の国家安保首脳部はどう対応すべきかについてシミュレーションセミナーを開いた。該当職位に精通した元高官らが模擬ホワイトハウス緊急会議メンバーとして出席するという異例の行事だった。スミス元中央情報局(CIA)総括法律顧問が国務長官役を、ヘイデン元CIA長官が国家情報長官(DNI)役を、ペース元統合参謀本部議長が統合参謀本部議長役を務めた。
このセミナーは敏感なテーマであることを考慮し、メディア非公開で進行された。米政府当局者と関係国大使館の関係者、一部の学会関係者だけが招待状を受けた。しかし撮影や録音は認められなかった。出席者は「実際のホワイトハウス状況室を見ているようだった」と伝えた。出席者の言葉をもとに会議の場面を再構成した。
緊急国家安保会議が開かれたホワイトハウス状況室。会議主宰者のクラウチ補佐官が真ん中に座った。大型スクリーンにはCNNの模擬ニュース速報が続いていた。セミナーは韓半島専門家マイケル・グリーン(CSIS日本部長)のブリーフィングで始まった。
▽グリーン=金正日と関連した急変事態が発生した。後継者の金正恩(キム・ジョンウン)は数週間にわたり姿を見せていない。平壌(ピョンヤン)近隣で金正恩支持勢力と反対勢力の間で交戦があったことが確認された。この渦中に北朝鮮軍部が韓国に向かって武力デモ用の大砲100発を発射した。韓国が応戦を準備中の状態だ。
▽クラウチ元安保副補佐官(安保補佐官役、以下、クラウチ)=緊急会議を始めよう。こうした状況で私たちの核心利益(core interest)を守るためにどう行動するべきか。大統領にどう報告するかを考えよう。
▽アーミテージ元国務副長官(国防長官役、以下、アーミテージ)=国防総省は有事の際に備えて韓国と日本に駐留した米軍の再編を綿密に検討する。そして必要なら韓国内の米国人の避難および撤収作戦も徹底的に準備する。
▽スミス元CIA法律顧問(国務長官役、以下、スミス)=韓半島の安定のためには国際社会の協調が非常に重要となる。各国の政策を一つに調整するために高官級の接触が必要だ。すぐに韓国と日本、中国に特使を送る。
▽クラウチ=特使は誰が適任か。
▽アーミテージ=国務副長官が適任だ。
▽クラウチ=それがいい。
▽スミス=同意する。直ちに準備する。
▽ヘイデン元CIA長官(国家情報長官役)=北朝鮮内部の動向に関する追加情報の収集に全力を尽くしている。韓国や中国など周辺国の情報当局との協調も強めている。中国の動きも主要な観察対象だ。
▽ペース元統合参謀本部議長(統合参謀本部議長役)=ハワイとカリフォルニアの米軍兵力の状況を細密に把握中だ。戦争や米軍介入は防がなければならないが、万一の事態に備えて兵力を運用するかどうかを検討している。
▽アーミテージ=何よりも北朝鮮内の核物質の安定した統制が緊要だ。このためには北朝鮮と国境を挟んだロシアとも協力しなければいけない。
▽スミス=ロシアに協調を求める。
▽クラウチ=誰も今回の事態が韓半島で戦争につながることを望んでいない。私たちの目標は戦争や介入ではない。こうした事態を防がなければいけない。できる限り韓国を支援しながら、北朝鮮が一日も早く安定するよう支援することが最も重要だ。
朝鮮日報http://www.chosunonline.com/
日本の大学に見る財政難
日本は、大学の財政状況が韓国と一番よく似ている国だ。韓国のように私立大学が全大学の77%を占める上、大学の財政における入学金・授業料依存度も、韓国(52%)並みに高い。2007年基準で、日本の私立大の収入全体のうち、56.6%は学生が納める入学金・授業料だった。残りは、寄付金(2.9%)、補助金(10.6%)などだ。支出で最も多いのは人件費(52.6%)で、教育研究経費(36.9%)がこれに続いた。
日本の大学は、1980年代から始まった少子化現象で危機を迎えた。青年人口は減り続けるのに対し、私立大学は「雨後のたけのこ」のように次々とできたからだ。
ついに2007年には、大学入学定員が新入生の数より多いという「大学全入時代」が到来し、各大学は定員割れで財政難に直面した。
08年には全私立大学559校中、40%程度が定員割れとなった。韓国の専門大学に相当する短期大学の場合、62%が定員割れだった。入学金・授業料だけに期待してきた各大学で、学生からの収入が消えたらどうなるか、その結末を示すケースだ。
その後、日本の大学は収入構造を多様化していった。まず、研究費の収入を増やすため、企業との共同研究に競って乗り出している。その結果、各大学の受託研究件数は03年以降一貫して増えている。特許の件数も増加傾向にある。このほか、投資収益、寄付金集めにも積極的に身を投じた。「日本私立学校振興・共済事業団」は、同窓会を活性化し、基金を集める活動で収入を増やし、人事制度を改革して人件費を削減するという内容の大学財政改革案を発表している。
米国の大学では、大学の収入に占める投資収益の割合が増え、授業料が減る傾向が徐々に強まっている。米国の私立大404校の財政構造を分析した韓国教育開発院の報告書によると、03年以降、各大学の授業料収入の比重は一貫して減っているが、逆に投資収益や販売収益は高まる一方だった。各大学が学生の授業料に依存せず、積極的に基金を集めるなど、別の収入源を探すため努力したからだ。
米国の多くの大学は、寄付金を募集し管理する専門の組織を置いている。ハーバード大学の場合「ハーバード経営会社」という組織が寄付金関連の資産を管理している。寄付金の累積額が349億ドル(約2兆7958億円)に達するハーバード大学は、この寄付金を運用して年間13.8%という高い収益率を上げ、学生たちに再投資している。
ケンブリッジ大学やオックスフォード大学など英国の大学は、政府からの補助金の比率が高いことが特徴だ。07年のイギリス各大学の収入のうち、36.6%は政府交付金で、授業料は26.7%、研究助成金は15.9%、寄付金・投資収益は2.1%だった。一方で支出は、人件費が57.4%で半分以上を占めた。
【米国】
ウォール・ストリート・ジャーナル
http://jp.wsj.com/
日本の原発事故による健康被害ない=米原子力エネルギー研究所
原子力産業の米ロビー活動団体、原子力エネルギー研究所(NEI)は9日、福島第1原子力発電所の事故の結果、日本の住民の健康に問題が生じる見込みはないとの見解を示した。NEIでチーフ・ニュークリア・オフィサーを務めるトニー・ピエトランジェロ氏は、日本政府が原発から半径20キロ圏内の住民を迅速に避難させたことが奏功したとしている。
Tokyo Electric Power Co./Reuters
福島第1原発1号機の計器を点検する作業員
20キロ圏内という避難区域は、3月11日の震災によって福島第1原発で停電が発生し、原子炉が過熱した翌日に設定された。日本政府はその後、原発から30キロ圏内の住民にも自主避難を勧告し、さらに放射線被ばく量の測定値に基づいて、避難区域を30キロ圏外の一部地域にまで拡大した。
「日本政府の緊急時対応は素晴らしかった」と、ピエトランジェロ氏はワシントンで行われた記者会見で語った。
NEIは9日に公表したデータ報告書で、「現在までのあらゆる情報に基づいて判断した結果、福島第1原発の事故による日本住民の健康への影響はないものと考えられる」との見方を示した。
その根拠として、米バンダービルト大学のジョン・ボイス博士(疫学)が先月米議会で行った証言を挙げた。ボイス教授は、高い放射線量が検知された牛乳や食料品の出荷停止をはじめ、さまざまな防護措置によって、「放射線被ばくにかかわる日本住民の健康への影響は最低限にとどまる見込み」だと述べた。
NEIは記者会見で、主要業界団体が協力し、福島第1原発事故で得た教訓を生かして、原子力の安全性にかかわる共通の基準を策定していくと語った。
その運営委員会を率いることになった、米電力・ガス大手エクセロンの発電子会社エクセロン・ジェネレーションのチャールズ・パーディー最高執行責任者(COO)は、最近同社が自主的に採用した重大事故に対する特定の指針を、政府規制または業界団体を通じて今後義務付けていく意向だとした。
日本政府は、1年間の積算被ばく線量が20ミリシーベルトを超える可能性がある場合、住民に避難指示を出すよう要求している。ちなみに、飛行機で太平洋を往復した場合の被ばく線量は約0.2ミリシーベルト。日本政府は9日、原発から50キロ圏内の3市町村を含め、新たに4カ所で被ばく線量の積算値が20ミリシーベルトを超えたことを明らかにした。
福島第1原発でがれきの撤去作業などを行う作業員は、さらに高い放射線量にさらされている。原発作業員については、被ばく線量の上限値が250ミリシーベルトに定められているためだ。ボイス博士は、通常生活時のがんの発生率は42%だが、体全体の被ばく線量が100ミリシーベルトを超えた原発作業員については発生率が1~2ポイント高まるとした。
その他の団体は、福島第1原発の事故による日本住民の健康への影響について、より悲観的な見方をしている。原発に関してしばしば懐疑的な見解を示している米環境保護団体、自然資源防衛協議会(NRDC)の科学者は、先月公表されたリポートで、日本住民の現在までの被ばく量から判断して、がんの発生件数は570~960件増える可能性があるとの予測を示した。ただし、NRDCはその根拠となるデータは不確かだとした。
NEIは日本政府の対応を称賛したものの、エクセロン・ジェネレーションのパーディーCOOは、日本の規制環境の不備が福島第1原発の事故を悪化させた可能性があると語った。
パーディーCOOは記者会見で、米国では原発運営会社は安全性の実証について「より厳格なプロセス」が要求されている上、米原発産業は「非常に透明性がある」と述べた。「文化や原発の運営方法の違いは非常に重要だ」としたが、具体例については言及しなかった。
日本政府は、原発の規制・監視機関である原子力安全・保安院を経済産業省から分離独立させる方向で動いている。原発行政を推進する経産省の傘下に原発規制組織があることについては、矛盾しているとして批判が高まっていた。
CNN
http://www.cnn.co.jp/
女性が下着を販売してもOK、サウジ国王が許可命令
女性がランジェリーショップで働くことが長年禁止されてきたサウジアラビアで、店の店員を全員女性とすることも認めるよう、アブドラ国王が政府当局者に指示した。女性店員解禁の期限は6月末とした。
同国ではこれまで、ランジェリーショップで男性ばかりの店員を相手に、ブラジャーなどの下着を買いたい女性客が不快な思いをすることも多かった。
報道によると、同国の失業率は推定11%前後で推移しており、今回の措置は失業対策の一環となる。また、同国では女性の就労を促す動きも進んでいる。
スイスインフォ
http://www.swissinfo.ch/jpn/index.html国民議会も脱原発を採択
6月8日、国民議会 ( 下院 ) が脱原発をめぐる三つの議案を可決。スイスは脱原発の実現にまた一歩近づいた。
しかし、代替エネルギーの確保など未決の問題点は数多く、実際に原発を停止するまでの道のりはまだ遠い。
国民議会では全州議会 ( 上院 ) に先立って脱原発をめぐる議論を行った。その結果、緑の党 ( GPS/Les Verts ) による「できる限り早い脱原発」、国民党から分離した人民民主党 ( BDP/PBD ) による「新原発建設の禁止」、キリスト教民主党 ( CVP/PCD ) による「再生可能エネルギーおよびエネルギー効率の促進」の三つの議案が可決された。
これらの決定でスイスの脱原発が確定したわけではない。だが、国のエネルギー政策の方向転換が明白に示された。賛成票を投じたのは左派、環境保護派、中道派。
秋の総選挙にも影響
「この決定は福島原発事故に誘発されたものだ」
8日の国会演説ではこのような言葉が何度か聞かれた。また、複数の国民議会議員が
「スイスのエネルギー政策は福島原発の大惨事が分岐点となった。国民の大半は、事故後初めて原発の危険性に気付いた」
と述べた。
脱原発に反対しているのは保守派の国民党 ( SVP/UDC ) だ。今回の議論を秋の総選挙後に延期させようとしたが、失敗に終わった。国民党は年々支持者を増やしており、今年の選挙でもさらなる飛躍を目指している。そのため脱原発支持派は、世論が脱原発に傾く中、有権者の党離れを防ぐために議会の決定を遅れさせようとしたと国民党を非難している。
中道派の急進民主党 ( FDP/PLR ) も完全な脱原発には反対だ。将来、原発の安全を約束できる技術が開発された場合には、再び原発を利用すべきだと主張する。脱原発反対派は、
「代替エネルギーを確保しないまま原発を廃止し、スイスのエネルギー供給と経済を危険な状態に陥れる可能性がある」
と賛成派を批判する。
これらの議案は16日、全州議会で取り上げられる予定だ。採択された場合は、来年、法改正について連邦議会で話し合われる。だが、レファレンダムで国民投票に持ち込まれれば、最終的に決定を下すのは有権者だ。
各紙の反応
国民議会で脱原発が可決された翌日9日、スイスの各紙はこれを歓迎しながらも懐疑の色をあらわにした。
チューリヒの日刊新聞「ターゲス・アンツァイガー ( Tages Anzeiger ) 」は、政治家が心底脱原発を望んでいるとは思えない様子だ。
「国民議会が決定したのは、新原発建設を断念すべきだということだけ。これは、福島原発事故の後ではいずれにしても想定できたこと」
と批判する。
しかし、決定したその中期的脱原発でさえも「あまり信用できない」と書く。緑の党の中には、原発だけでなく代替エネルギー源の開発にも反対する1派が存在するからだ。
その点に注目しているのはフランス語圏の日刊紙「ル・タン ( Le Temps ) 」も同じ。ベルン州とヴァレー/ヴァリス州にまたがるグリムゼル ( Grimsel ) 峠のダムの堤高を高くする改修工事計画が持ち上がったが、賛否両論があり問題になっている。これを「再生可能エネルギーの発展を妨げる象徴」と説明する。
チューリヒの別の日刊新聞「ノイエ・チュルヒャー・ツァイトゥング ( NZZ ) 」は、「現存の原発が廃止となるまで、多くの新技術が開発されるだろう」と将来を読み、新原発に関する最終決定はまだ下されていないと論じる。また、エネルギー消費量を操作するための具体策に関して、中道派各党が消極的な態度しか見せないことを批判している。スイス政府は再生可能エネルギー促進の支援策として、新たな税導入や補助金の引き上げなどを検討しているが、特に急進民主党はこれらの案に難色を示したままだ。
「今回の決定ではキリスト教民主党と人民民主党の協力の元、社会民主党 ( SP/PS ) のエネルギーを専門とする政治家が『舞台裏のプロンプター』として働いた」
と表現するのはアールガウ州の日刊新聞「アールガウアー・ツァイトゥング ( Aargauer Zeitung ) 」だ。そのため、左派の現実政治が大勝利を収めたとみている。
【英国】
ロイター
http://jp.reuters.com
大人の喧嘩は「先に110番したほうが勝つ」理由
喧嘩片成敗
自分は殴り合いの喧嘩とは無縁だと考えている人は多いだろう。しかし刑事弁護に詳しい長谷川裕雅弁護士によると、「大人の喧嘩の多くは、喧嘩しそうにない普通の方が当事者になっている」という。
多い事例の一つは、タクシー運転手とのトラブル。酒に酔った乗客が運転手と喧嘩になるパターンだ。酔ってタクシー内で寝込んでしまった場合、「目的地で運転手に揺り動かされた瞬間、防衛本能で思わず手を出してしまうことがある。この場合にタクシー運転手が警察に通報すると、飲酒している乗客が圧倒的に不利になる」(同)。
酔ってタクシーに乗り、目が覚めたら警察官に囲まれていたということのないように、お酒の飲み方には十分に気をつけたい。
交通トラブルにも要注意だ。車外に出ると、何もしなくても、相手が「突き飛ばされた」と言い出したりする恐れもある。相手が医師の診断書を取れば、何もしていなくても、傷害の容疑者とされてしまう可能性もある。このようなトラブルに慣れている“プロ”も存在する。挑発されても車外には出ずに、車内から携帯電話で警察に通報したほうが安全だろう。
このように、ストレス社会では、些細な火種に端を発し喧嘩に発展することも多い。たかが小競り合いでも、暴力は立派な犯罪だ。相手に暴力をふるうと暴行罪(刑法208条)。相手に怪我を負わせたら傷害罪(刑法204条)で、15年以下の懲役または50万円以下の罰金という法定刑が待ち構えている。
「手を出したのはお互いさまだから大丈夫」と油断していると危ない。「喧嘩両成敗」は中世日本の法原則の一つだったが、現代の法律においては、大人の喧嘩に両成敗という考え方は存在しないからだ。長谷川弁護士は次のように解説する。
「お互いに手を出したなら、理論上は2人とも加害者であると同時に被害者です。ところが警察は、そのように判断しない。どちらか一方が加害者、もう一方が被害者というわかりやすい構図に当てはめて事件を片づけようとするので、実態はお互いさまでも、どちらか一方だけが加害者にされることもある」
相手も手を出したのだから正当防衛だ、という抗弁も通用しない。正当防衛は、急迫不正の侵害に対して自分や他人の権利を守るためにやむをえず行う行為をいう(刑法36条)。最初に向こうから暴力をふるわれたら正当防衛が成り立ちそうだが、「相手に怪我を負わせた時点では怪我を負わせたほうが優位だったとみなされ、切羽詰まった状況ではなかった、すなわち急迫性はなかったと判断される可能性が高い」(同)。
では、実際には何によって加害者/被害者が決まるのか。鍵を握るのは110番通報だ。
「警察は、通報した側が被害者であるという予断を持って現場に駆けつけます。そのためどちらかが血を流して倒れているといった明白なケースでないかぎり、そのまま通報者を被害者、通報しなかった人を加害者とみなして事件の処理に入る。どっちもどっちの場合は結局、先に通報したほうが圧倒的に有利になる傾向がある」(同)
逆に相手に先に通報されると厄介だ。現場で警察官に「こちらが被害者だ」と主張しても、なかなか聞き入れてもらえないこともある。被害届を出すことは可能だが、受理を渋られたり、相手への報復目的で制度を悪用していると受け取られて不利に働いたりする可能性もある。加害者のレッテルを一度貼られると、後から覆すのは困難なのだ。身を守るためには、先にこちらが通報するしかない。
「もし先に相手に通報されたら、すぐに弁護士に連絡することも一つの方法。うまくいけば、こちらから被害届を出すなどして、被害者、加害者の構図をくつがえせることもある」(同)
【中国】
人民日報 http://j.peopledaily.com.cn/home.html
日本の政局:国難はどのような変化を生むか
東日本大震災以来、救援・復興作業は入り組んで糸口がつかめず、放射能漏れ事故も当初の予想より深刻化している。政治的団結と強力なリーダーシップが最も必要とされるこの時に、逆に政局は混乱状態に陥り、各政治勢力は権力闘争に明け暮れ、日本社会の深層の悪弊が白日の下に晒されている。(文:金渚ー・中国社会科学院日本研究所副研究員)
いかにして体制の悪弊を克服し、「大連立」を組んで大事にあたるか。これによって生じる新たな政治構造は、将来の日本の全体像に関わる。日本政治の智慧が試される時はすでに到来している。
「環球時報」は、6月初めの日本で連日繰り広げられた政治劇には、極めて重要な場面が2つあったと指摘する。1つは6月2日に菅直人首相が国会での不信任決議案可決という「災難」を逃れた後、震災対策に尽力するためにより長い時間が必要との姿勢を表明したため、再び反発を強めた党内外から退陣を迫られた場面だ。もう1つは6月5日、民主・自民の2大政党の幹事長がテレビの政治討論会で、菅首相退陣後に両党による「期間限定」の大連立を検討する考えを示し、暗黙の合意を交した場面だ。なすすべのない日本政治にとって「復興連立」は新たな期待となった。
現在日本の政界が菅首相に反対している最大の理由は、東日本大震災への対応のまずさだ。だが実はこれは口実に過ぎない。菅政権の震災対応には確かに多々問題があったが、こうした力不足、甚だしくは無能なリーダーシップの責任を菅首相一人に帰すことはできない。東日本大震災後、国難に直面しているにもかかわらず、各政治勢力は依然首相を中心に置かず、至る所に障害を設け、万事足下をすくった。こうして菅首相を何事も成し遂げられない弱い首相に仕立て上げたところで、一斉に追討ちをかけ、どさくさに紛れて後任に収まろうとしてきたのだ。
これは日本がたとえ最大の危機にある時でも、首相にして民主党代表である菅氏は、日本政治の原罪から逃れようのないことを物語っている。国政レベルで菅首相が背負わされている原罪は、新たに政権に就いた民主党は古参の自民党の前では子供に過ぎないということだ。09年の民主党政権発足以来、自民党はその失脚を図り続けてきた。小沢氏の政治資金や閣僚の失言から国会での法案審議や外交問題の処理まで、新野党として自民党は道理を楯に無理を強い続けてきたと言えよう。菅政権発足後、民主党はますます、我慢して言葉を飲み込む若嫁のようになり、法案通過と政権維持のためには自民党の言いなりに甘んじてきた。自らを傀儡化するこのような政治的立ち位置は、危機を前にするといよいよ崩壊寸前となり、結局は表舞台から去る運命を逃れ得ないのだ。
党内政治のレベルで菅首相が否応なく背負わされている原罪は、資金力のある鳩山氏や権勢のある小沢氏の前では、自分はその姓の如く草のような存在に過ぎないことだ。昨年末、菅首相は支持者を前に自分は首相の「仮免許」を持っているに過ぎず、今後は「本免許」に書き換えたいと打ち明けた。だが6月2日の夜以降、各方面の支持を失った菅首相は「仮免許」ですら遠からず返上しなければならない有様だ。
過去4年来、日本政治の建て直しの奇策と見なされ続けてきた大連立は、6月5日に民主、自民両党の幹事長が前向きなメッセージを発したことで、ついに実現味を帯びてきたようだ。07年に自民党が衆議院を、民主党が参議院を押さえる「ねじれ国会」が出現して以来、日本政治の無駄な消耗や空転が激しさを増したことで、ユートピアとしての大連立への期待が大いに高まった。震災後の3月29日に菅首相は自民党に大連立の誘いの声をかけた。だが1つには電話1本だったので誠意を欠くと思われたこと、もう1つには自民党が逆転を狙っていたことから、大連立は再び蜃気楼と消えた。
だが東日本大震災のもたらした被害の深刻さ、復興作業の難しさ、政治体制の無能は、すでに日本全体が直面せざるを得ない大問題となっている。どちらの党も単独でリーダーシップを発揮できない中、大連立を組んで大事にあたることが、被災者や一般の国民から経済界、マスコミ、政界のエリートの共通認識となったようだ。先日の両党幹事長の発言によると、大連立政権は震災復興、社会保障、安全保障の3つの問題の解決に重点的に取り組むことになる。これらが順調に進めば、東日本大震災の陣痛によって産まれた新たな政治構造は、将来の日本の全体像の形成を人々の予測を超えて加速することになると言えよう。だが問題は、現在のたるんだ日本政界においては、大連立は間違いなく「言うは易く行うは難し」であることだ。日本政治の智慧が試される時はすでに到来している。(編集NA)
チャイナネット
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日本の退職者、「決死隊」結成し福島行きを準備
72歳のある日本人男性は、自分が楽しく過ごせる時間はそれほど長くないと考える。しかし、すべての定年退職したエンジニアが福島第一原発に残る物質の処理作業が悪い結果を招くと思っているわけではない。
「ガンになる前に、私はとっくに死んでいるだろう」と話す山田さんは、270人あまりの定年退職者と高齢の技術者を集めてチームを結成した。チェルノブイリ原発事故後、世界最大規模となる原発事故の現場にいつでも入って処理を行えるよう準備を整えている。報酬はもらわない考えだ。
チームを立ち上げた山田さんは、住友金属工業で28年間働いた経験がある。福島原発の処理作業はなかなか進まず、複雑な任務で、東京電力だけで簡単に処理することはできない。
山田さんは、日本政府が福島第一原発の管理を引き受け、彼のチームの参加を許可し、彼らの経験と専門知識を十分に利用して欲しいと望んでいる。赤十字社のように報酬はいらないという。
その一方で、日本政府の関係者は当初、この積極的な提案に対して冷たい反応を示した。細野豪志首相補佐官は、山田さんのボランティアチームを「決死隊」とけなした。
しかし、5月下旬に東電本部で行われた会議で、細野豪志氏はこの提案を認める姿勢を示している。その時、現場で働く若い作業員が大きな健康リスクに直面することが懸念されていたためだ。
その少し前、福島で3人の作業員が熱中症で倒れ、同じ時期に、少なくとも2カ所の工場の作業員が高放射能区域で作業し、ガンなどの病気になる高リスクに直面していることがわかった。
山田さんは、「問題は、最初の作業員はお金のために集まった人たちで、彼らは作業環境により逃げることができないことだ」と述べる。山田さんは現在、東電の近くにある小さな事務所で仕事をしている。「私たちは報酬はいらない。そのため、東電と対等に交流できる」と話し、自分のチームが最高の安全基準を守ることを強調した。
東京電力は、2012年1月までに3基の原子炉を無事に閉鎖することを目標にしている。専門家は、その後にウランとプルトニウムを取り除いて安全な状態にするため、10年または更に長い計画が出されると予測する。
滋賀県出身の63歳の建築作業員である石田和彦さんも、自分から進んで山田さんのチームへの参加を申し出た。若いころに建築作業員として福島第一原発のハウジングにかかわったことがある。彼は、3月11日の東日本大震災後に起きた水素爆発の瞬間、非常に複雑な心境だったと語る。
妻に現場で作業したい意思を伝えると、妻は「あなたがやるべきことをしてきて」と答えた。
海江田万里経済産業相は山田さんと会見し、ボランティアチームの提案を認めたい姿勢を見せた。
情況から言って、「決死隊」は必要だ。しかし、これは最後の手段だ。「私は自分で望んでするが、それぞれが自分で決めなければいけない」と山田さんは話す。
大紀元http://www.epochtimes.jp/
ロシア、油田開発で日本に参画求める 「中国をけん制」
ロシアの国営石油最大手ロスネフチが、オホーツク海大陸棚の「マガダン鉱区」と「東シベリア鉱区」の油田開発をめぐり、日本企業の参画を求めることを決めた。ロシア経済紙コメルサントは7日、これには「中国に圧力をかける狙いがある」と分析した。
ロシア紙RBKデイリーによると、ロスネフチはすでに今月初めに経済産業省(日本)と協議を行い、マガダン1、2、3号ブロックと、東シベリアの11カ所の石油埋蔵量などについて、今年中にも共同調査をスタートすることに合意した。有望な鉱区が見つかれば、探鉱を手掛ける日ロ合弁会社を新設するという。さらに将来的に、石油精製工場や一連の石油化学企業の設立についても合意している。なお、日本側が探査のすべての費用を負担するという。
日本経済新聞によると、今回の開発に日本からは、政府系の国際石油開発帝石(INPEX)や石油天然ガス・金属鉱物資源機構(JOGMEC)が参加する方向で調整している。日本側の出資は最大49%という。
ロシアと中国を結ぶ原油パイプラインが今年1月1日にスタートしたばかりで、ロシアは中国へ年間150万トンのペースで原油を提供している。そんな中での日本との積極的な協力について、オルマ投資ファンドのアレクセイ・ビストロフ副代表は、「日本で起きた地震と津波の影響で、石油や天然ガスなどのエネルギー分野への需要が大幅に増えたため」と解釈している。
一方、ロシア経済紙コメルサントは7日、ロスネフチがこの決定をした理由には、中国との間で起きた原油運送費用をめぐるトラブルがからんでいるとの見解を示した。
今年4月に、中ロ間パイプラインにおけるロシア国内での原油運送費用について、双方の意見が分かれ、ロシア側は中国が負担すべきだと主張するのに対し、中国側はロシアの負担だと訴えた。その後、中国が「未払い」の2億ドルを支払うことで解決したが、今回ロシアが日本に協力を求めたのには、「中国に圧力をかける狙いがある」とコメルサント紙は指摘する。
中国とロシアの間で、石油や天然ガスの価格などをめぐり、大小の対立が絶えない。そのつど、「ロシア側の毅然とした態度の前に、中国は譲歩している」とラジオ自由アジア(RFA)がロシアメディアの言葉を引用して伝えた。今回の石油運送費用についてもこの「慣例」に従う形となったが、日本との積極的な協力で今後も中国をけん制することができる、とコメルサント紙は分析する。
【韓国】
中央日報http://japanese.joins.com/
金正日が死亡すれば…ホワイトハウスで緊迫の90分
8日午前(現地時間)、米ホワイトハウス付近にあるウィラード・インターコンチネンタルホテル地下1階の会議場は、‘ホワイトハウス状況室’に変わった。アーミテージ元国務副長官は「国防長官」という札が置かれた席に座った。クラウチ元米大統領次席補佐官(国家安全保障担当)もこの日だけは国家安保補佐官になった。戦略国際問題研究所(CSIS)が開催した「国際安保フォーラム2011」でだ。
CSISは北朝鮮の金正日(キム・ジョンイル)国防委員長と関連した急変事態が発生した場合、米国の国家安保首脳部はどう対応すべきかについてシミュレーションセミナーを開いた。該当職位に精通した元高官らが模擬ホワイトハウス緊急会議メンバーとして出席するという異例の行事だった。スミス元中央情報局(CIA)総括法律顧問が国務長官役を、ヘイデン元CIA長官が国家情報長官(DNI)役を、ペース元統合参謀本部議長が統合参謀本部議長役を務めた。
このセミナーは敏感なテーマであることを考慮し、メディア非公開で進行された。米政府当局者と関係国大使館の関係者、一部の学会関係者だけが招待状を受けた。しかし撮影や録音は認められなかった。出席者は「実際のホワイトハウス状況室を見ているようだった」と伝えた。出席者の言葉をもとに会議の場面を再構成した。
緊急国家安保会議が開かれたホワイトハウス状況室。会議主宰者のクラウチ補佐官が真ん中に座った。大型スクリーンにはCNNの模擬ニュース速報が続いていた。セミナーは韓半島専門家マイケル・グリーン(CSIS日本部長)のブリーフィングで始まった。
▽グリーン=金正日と関連した急変事態が発生した。後継者の金正恩(キム・ジョンウン)は数週間にわたり姿を見せていない。平壌(ピョンヤン)近隣で金正恩支持勢力と反対勢力の間で交戦があったことが確認された。この渦中に北朝鮮軍部が韓国に向かって武力デモ用の大砲100発を発射した。韓国が応戦を準備中の状態だ。
▽クラウチ元安保副補佐官(安保補佐官役、以下、クラウチ)=緊急会議を始めよう。こうした状況で私たちの核心利益(core interest)を守るためにどう行動するべきか。大統領にどう報告するかを考えよう。
▽アーミテージ元国務副長官(国防長官役、以下、アーミテージ)=国防総省は有事の際に備えて韓国と日本に駐留した米軍の再編を綿密に検討する。そして必要なら韓国内の米国人の避難および撤収作戦も徹底的に準備する。
▽スミス元CIA法律顧問(国務長官役、以下、スミス)=韓半島の安定のためには国際社会の協調が非常に重要となる。各国の政策を一つに調整するために高官級の接触が必要だ。すぐに韓国と日本、中国に特使を送る。
▽クラウチ=特使は誰が適任か。
▽アーミテージ=国務副長官が適任だ。
▽クラウチ=それがいい。
▽スミス=同意する。直ちに準備する。
▽ヘイデン元CIA長官(国家情報長官役)=北朝鮮内部の動向に関する追加情報の収集に全力を尽くしている。韓国や中国など周辺国の情報当局との協調も強めている。中国の動きも主要な観察対象だ。
▽ペース元統合参謀本部議長(統合参謀本部議長役)=ハワイとカリフォルニアの米軍兵力の状況を細密に把握中だ。戦争や米軍介入は防がなければならないが、万一の事態に備えて兵力を運用するかどうかを検討している。
▽アーミテージ=何よりも北朝鮮内の核物質の安定した統制が緊要だ。このためには北朝鮮と国境を挟んだロシアとも協力しなければいけない。
▽スミス=ロシアに協調を求める。
▽クラウチ=誰も今回の事態が韓半島で戦争につながることを望んでいない。私たちの目標は戦争や介入ではない。こうした事態を防がなければいけない。できる限り韓国を支援しながら、北朝鮮が一日も早く安定するよう支援することが最も重要だ。
朝鮮日報http://www.chosunonline.com/
日本の大学に見る財政難
日本は、大学の財政状況が韓国と一番よく似ている国だ。韓国のように私立大学が全大学の77%を占める上、大学の財政における入学金・授業料依存度も、韓国(52%)並みに高い。2007年基準で、日本の私立大の収入全体のうち、56.6%は学生が納める入学金・授業料だった。残りは、寄付金(2.9%)、補助金(10.6%)などだ。支出で最も多いのは人件費(52.6%)で、教育研究経費(36.9%)がこれに続いた。
日本の大学は、1980年代から始まった少子化現象で危機を迎えた。青年人口は減り続けるのに対し、私立大学は「雨後のたけのこ」のように次々とできたからだ。
ついに2007年には、大学入学定員が新入生の数より多いという「大学全入時代」が到来し、各大学は定員割れで財政難に直面した。
08年には全私立大学559校中、40%程度が定員割れとなった。韓国の専門大学に相当する短期大学の場合、62%が定員割れだった。入学金・授業料だけに期待してきた各大学で、学生からの収入が消えたらどうなるか、その結末を示すケースだ。
その後、日本の大学は収入構造を多様化していった。まず、研究費の収入を増やすため、企業との共同研究に競って乗り出している。その結果、各大学の受託研究件数は03年以降一貫して増えている。特許の件数も増加傾向にある。このほか、投資収益、寄付金集めにも積極的に身を投じた。「日本私立学校振興・共済事業団」は、同窓会を活性化し、基金を集める活動で収入を増やし、人事制度を改革して人件費を削減するという内容の大学財政改革案を発表している。
米国の大学では、大学の収入に占める投資収益の割合が増え、授業料が減る傾向が徐々に強まっている。米国の私立大404校の財政構造を分析した韓国教育開発院の報告書によると、03年以降、各大学の授業料収入の比重は一貫して減っているが、逆に投資収益や販売収益は高まる一方だった。各大学が学生の授業料に依存せず、積極的に基金を集めるなど、別の収入源を探すため努力したからだ。
米国の多くの大学は、寄付金を募集し管理する専門の組織を置いている。ハーバード大学の場合「ハーバード経営会社」という組織が寄付金関連の資産を管理している。寄付金の累積額が349億ドル(約2兆7958億円)に達するハーバード大学は、この寄付金を運用して年間13.8%という高い収益率を上げ、学生たちに再投資している。
ケンブリッジ大学やオックスフォード大学など英国の大学は、政府からの補助金の比率が高いことが特徴だ。07年のイギリス各大学の収入のうち、36.6%は政府交付金で、授業料は26.7%、研究助成金は15.9%、寄付金・投資収益は2.1%だった。一方で支出は、人件費が57.4%で半分以上を占めた。
【米国】
ウォール・ストリート・ジャーナル
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日本の原発事故による健康被害ない=米原子力エネルギー研究所
原子力産業の米ロビー活動団体、原子力エネルギー研究所(NEI)は9日、福島第1原子力発電所の事故の結果、日本の住民の健康に問題が生じる見込みはないとの見解を示した。NEIでチーフ・ニュークリア・オフィサーを務めるトニー・ピエトランジェロ氏は、日本政府が原発から半径20キロ圏内の住民を迅速に避難させたことが奏功したとしている。
Tokyo Electric Power Co./Reuters
福島第1原発1号機の計器を点検する作業員
20キロ圏内という避難区域は、3月11日の震災によって福島第1原発で停電が発生し、原子炉が過熱した翌日に設定された。日本政府はその後、原発から30キロ圏内の住民にも自主避難を勧告し、さらに放射線被ばく量の測定値に基づいて、避難区域を30キロ圏外の一部地域にまで拡大した。
「日本政府の緊急時対応は素晴らしかった」と、ピエトランジェロ氏はワシントンで行われた記者会見で語った。
NEIは9日に公表したデータ報告書で、「現在までのあらゆる情報に基づいて判断した結果、福島第1原発の事故による日本住民の健康への影響はないものと考えられる」との見方を示した。
その根拠として、米バンダービルト大学のジョン・ボイス博士(疫学)が先月米議会で行った証言を挙げた。ボイス教授は、高い放射線量が検知された牛乳や食料品の出荷停止をはじめ、さまざまな防護措置によって、「放射線被ばくにかかわる日本住民の健康への影響は最低限にとどまる見込み」だと述べた。
NEIは記者会見で、主要業界団体が協力し、福島第1原発事故で得た教訓を生かして、原子力の安全性にかかわる共通の基準を策定していくと語った。
その運営委員会を率いることになった、米電力・ガス大手エクセロンの発電子会社エクセロン・ジェネレーションのチャールズ・パーディー最高執行責任者(COO)は、最近同社が自主的に採用した重大事故に対する特定の指針を、政府規制または業界団体を通じて今後義務付けていく意向だとした。
日本政府は、1年間の積算被ばく線量が20ミリシーベルトを超える可能性がある場合、住民に避難指示を出すよう要求している。ちなみに、飛行機で太平洋を往復した場合の被ばく線量は約0.2ミリシーベルト。日本政府は9日、原発から50キロ圏内の3市町村を含め、新たに4カ所で被ばく線量の積算値が20ミリシーベルトを超えたことを明らかにした。
福島第1原発でがれきの撤去作業などを行う作業員は、さらに高い放射線量にさらされている。原発作業員については、被ばく線量の上限値が250ミリシーベルトに定められているためだ。ボイス博士は、通常生活時のがんの発生率は42%だが、体全体の被ばく線量が100ミリシーベルトを超えた原発作業員については発生率が1~2ポイント高まるとした。
その他の団体は、福島第1原発の事故による日本住民の健康への影響について、より悲観的な見方をしている。原発に関してしばしば懐疑的な見解を示している米環境保護団体、自然資源防衛協議会(NRDC)の科学者は、先月公表されたリポートで、日本住民の現在までの被ばく量から判断して、がんの発生件数は570~960件増える可能性があるとの予測を示した。ただし、NRDCはその根拠となるデータは不確かだとした。
NEIは日本政府の対応を称賛したものの、エクセロン・ジェネレーションのパーディーCOOは、日本の規制環境の不備が福島第1原発の事故を悪化させた可能性があると語った。
パーディーCOOは記者会見で、米国では原発運営会社は安全性の実証について「より厳格なプロセス」が要求されている上、米原発産業は「非常に透明性がある」と述べた。「文化や原発の運営方法の違いは非常に重要だ」としたが、具体例については言及しなかった。
日本政府は、原発の規制・監視機関である原子力安全・保安院を経済産業省から分離独立させる方向で動いている。原発行政を推進する経産省の傘下に原発規制組織があることについては、矛盾しているとして批判が高まっていた。
CNN
http://www.cnn.co.jp/
女性が下着を販売してもOK、サウジ国王が許可命令
女性がランジェリーショップで働くことが長年禁止されてきたサウジアラビアで、店の店員を全員女性とすることも認めるよう、アブドラ国王が政府当局者に指示した。女性店員解禁の期限は6月末とした。
同国ではこれまで、ランジェリーショップで男性ばかりの店員を相手に、ブラジャーなどの下着を買いたい女性客が不快な思いをすることも多かった。
報道によると、同国の失業率は推定11%前後で推移しており、今回の措置は失業対策の一環となる。また、同国では女性の就労を促す動きも進んでいる。
スイスインフォ
http://www.swissinfo.ch/jpn/index.html国民議会も脱原発を採択
6月8日、国民議会 ( 下院 ) が脱原発をめぐる三つの議案を可決。スイスは脱原発の実現にまた一歩近づいた。
しかし、代替エネルギーの確保など未決の問題点は数多く、実際に原発を停止するまでの道のりはまだ遠い。
国民議会では全州議会 ( 上院 ) に先立って脱原発をめぐる議論を行った。その結果、緑の党 ( GPS/Les Verts ) による「できる限り早い脱原発」、国民党から分離した人民民主党 ( BDP/PBD ) による「新原発建設の禁止」、キリスト教民主党 ( CVP/PCD ) による「再生可能エネルギーおよびエネルギー効率の促進」の三つの議案が可決された。
これらの決定でスイスの脱原発が確定したわけではない。だが、国のエネルギー政策の方向転換が明白に示された。賛成票を投じたのは左派、環境保護派、中道派。
秋の総選挙にも影響
「この決定は福島原発事故に誘発されたものだ」
8日の国会演説ではこのような言葉が何度か聞かれた。また、複数の国民議会議員が
「スイスのエネルギー政策は福島原発の大惨事が分岐点となった。国民の大半は、事故後初めて原発の危険性に気付いた」
と述べた。
脱原発に反対しているのは保守派の国民党 ( SVP/UDC ) だ。今回の議論を秋の総選挙後に延期させようとしたが、失敗に終わった。国民党は年々支持者を増やしており、今年の選挙でもさらなる飛躍を目指している。そのため脱原発支持派は、世論が脱原発に傾く中、有権者の党離れを防ぐために議会の決定を遅れさせようとしたと国民党を非難している。
中道派の急進民主党 ( FDP/PLR ) も完全な脱原発には反対だ。将来、原発の安全を約束できる技術が開発された場合には、再び原発を利用すべきだと主張する。脱原発反対派は、
「代替エネルギーを確保しないまま原発を廃止し、スイスのエネルギー供給と経済を危険な状態に陥れる可能性がある」
と賛成派を批判する。
これらの議案は16日、全州議会で取り上げられる予定だ。採択された場合は、来年、法改正について連邦議会で話し合われる。だが、レファレンダムで国民投票に持ち込まれれば、最終的に決定を下すのは有権者だ。
各紙の反応
国民議会で脱原発が可決された翌日9日、スイスの各紙はこれを歓迎しながらも懐疑の色をあらわにした。
チューリヒの日刊新聞「ターゲス・アンツァイガー ( Tages Anzeiger ) 」は、政治家が心底脱原発を望んでいるとは思えない様子だ。
「国民議会が決定したのは、新原発建設を断念すべきだということだけ。これは、福島原発事故の後ではいずれにしても想定できたこと」
と批判する。
しかし、決定したその中期的脱原発でさえも「あまり信用できない」と書く。緑の党の中には、原発だけでなく代替エネルギー源の開発にも反対する1派が存在するからだ。
その点に注目しているのはフランス語圏の日刊紙「ル・タン ( Le Temps ) 」も同じ。ベルン州とヴァレー/ヴァリス州にまたがるグリムゼル ( Grimsel ) 峠のダムの堤高を高くする改修工事計画が持ち上がったが、賛否両論があり問題になっている。これを「再生可能エネルギーの発展を妨げる象徴」と説明する。
チューリヒの別の日刊新聞「ノイエ・チュルヒャー・ツァイトゥング ( NZZ ) 」は、「現存の原発が廃止となるまで、多くの新技術が開発されるだろう」と将来を読み、新原発に関する最終決定はまだ下されていないと論じる。また、エネルギー消費量を操作するための具体策に関して、中道派各党が消極的な態度しか見せないことを批判している。スイス政府は再生可能エネルギー促進の支援策として、新たな税導入や補助金の引き上げなどを検討しているが、特に急進民主党はこれらの案に難色を示したままだ。
「今回の決定ではキリスト教民主党と人民民主党の協力の元、社会民主党 ( SP/PS ) のエネルギーを専門とする政治家が『舞台裏のプロンプター』として働いた」
と表現するのはアールガウ州の日刊新聞「アールガウアー・ツァイトゥング ( Aargauer Zeitung ) 」だ。そのため、左派の現実政治が大勝利を収めたとみている。
【英国】
ロイター
http://jp.reuters.com
大人の喧嘩は「先に110番したほうが勝つ」理由
喧嘩片成敗
自分は殴り合いの喧嘩とは無縁だと考えている人は多いだろう。しかし刑事弁護に詳しい長谷川裕雅弁護士によると、「大人の喧嘩の多くは、喧嘩しそうにない普通の方が当事者になっている」という。
多い事例の一つは、タクシー運転手とのトラブル。酒に酔った乗客が運転手と喧嘩になるパターンだ。酔ってタクシー内で寝込んでしまった場合、「目的地で運転手に揺り動かされた瞬間、防衛本能で思わず手を出してしまうことがある。この場合にタクシー運転手が警察に通報すると、飲酒している乗客が圧倒的に不利になる」(同)。
酔ってタクシーに乗り、目が覚めたら警察官に囲まれていたということのないように、お酒の飲み方には十分に気をつけたい。
交通トラブルにも要注意だ。車外に出ると、何もしなくても、相手が「突き飛ばされた」と言い出したりする恐れもある。相手が医師の診断書を取れば、何もしていなくても、傷害の容疑者とされてしまう可能性もある。このようなトラブルに慣れている“プロ”も存在する。挑発されても車外には出ずに、車内から携帯電話で警察に通報したほうが安全だろう。
このように、ストレス社会では、些細な火種に端を発し喧嘩に発展することも多い。たかが小競り合いでも、暴力は立派な犯罪だ。相手に暴力をふるうと暴行罪(刑法208条)。相手に怪我を負わせたら傷害罪(刑法204条)で、15年以下の懲役または50万円以下の罰金という法定刑が待ち構えている。
「手を出したのはお互いさまだから大丈夫」と油断していると危ない。「喧嘩両成敗」は中世日本の法原則の一つだったが、現代の法律においては、大人の喧嘩に両成敗という考え方は存在しないからだ。長谷川弁護士は次のように解説する。
「お互いに手を出したなら、理論上は2人とも加害者であると同時に被害者です。ところが警察は、そのように判断しない。どちらか一方が加害者、もう一方が被害者というわかりやすい構図に当てはめて事件を片づけようとするので、実態はお互いさまでも、どちらか一方だけが加害者にされることもある」
相手も手を出したのだから正当防衛だ、という抗弁も通用しない。正当防衛は、急迫不正の侵害に対して自分や他人の権利を守るためにやむをえず行う行為をいう(刑法36条)。最初に向こうから暴力をふるわれたら正当防衛が成り立ちそうだが、「相手に怪我を負わせた時点では怪我を負わせたほうが優位だったとみなされ、切羽詰まった状況ではなかった、すなわち急迫性はなかったと判断される可能性が高い」(同)。
では、実際には何によって加害者/被害者が決まるのか。鍵を握るのは110番通報だ。
「警察は、通報した側が被害者であるという予断を持って現場に駆けつけます。そのためどちらかが血を流して倒れているといった明白なケースでないかぎり、そのまま通報者を被害者、通報しなかった人を加害者とみなして事件の処理に入る。どっちもどっちの場合は結局、先に通報したほうが圧倒的に有利になる傾向がある」(同)
逆に相手に先に通報されると厄介だ。現場で警察官に「こちらが被害者だ」と主張しても、なかなか聞き入れてもらえないこともある。被害届を出すことは可能だが、受理を渋られたり、相手への報復目的で制度を悪用していると受け取られて不利に働いたりする可能性もある。加害者のレッテルを一度貼られると、後から覆すのは困難なのだ。身を守るためには、先にこちらが通報するしかない。
「もし先に相手に通報されたら、すぐに弁護士に連絡することも一つの方法。うまくいけば、こちらから被害届を出すなどして、被害者、加害者の構図をくつがえせることもある」(同)