


熟語の読み・一字訓読(実践問題その4)です。「熟語の読み・一字訓読」には、今までの問題集や参考書等への不満があります。訓読みに対応した音熟語が一覧・整理されたものがなく、個別に理解して覚えていくしかないのが現状だと思います。その解消の一助となればと思い、(現在、自己流での整理をし始めているのですが)、試行錯誤で公開しています。ご意見・情報などあればお待ちしています。
なお、回答は反転クリックすれば、すぐ見られるようにしてあります。参考までに、末尾に、解説や周辺知識等を記載しています。
当面、1級対象漢字から整理していきます・・・。やりだしましたが、やはり大変な作業です、なかなか、訓に対応した適当な音熟語が見当たらないものも多々あり、苦労してます・・・。
問題1 「咤」 ①咤食(タショク)ー咤(したう)ち ②叱咤(シッタ)ー 咤(しか)る
問題2 「嘖」 ①嘖嘖(サクサク)ー嘖(さけ)ぶ、嘖(かまびす)しい ②呵嘖(カシャク、カセキ)ー嘖(さいな )む
問題3 「咫」 ①咫尺(シセキ) ー 咫(みじか)い、咫(ちか)い ②一咫半(ひとあたハン)ー咫(あた) ③八咫(やた)の鏡 、 咫(た ) (注)②、③の「咫」は訓読みです。
問題4 「咢」 ①咢然(ガクゼン) ー 咢(おどろ)く ②咢咢(ガクガク) ー 咢(いいあらそ)う
問題5 「吶」 ①吶吃(トッキツ) ー 吶(ども)る ②吶喊(トッカン) ー 吶(さけ)ぶ
<解説(周辺知識)>
問題1:咤:タ、しか(る)、したう(ち)
①咤食(たしょく):舌づつみをして食うこと *7/31の記事で取り上げましたが、再録しますね。ついでにこの曲礼の他の熟語も覚えておくと良いと思います。「曲礼(きょくらい)に曰く、食を共にしては飽かず、飯を共にしては手を沢(うるお)さず。飯を摶(たん)することなかれ。放飯(ほうはん)することなかれ。 流歠(りゅうせつ)することなかれ。咤食(たしょく)することなかれ。 骨を噛むことなかれ。魚肉を反すことなかれ。 狗(いぬ)に骨を投げ与うことなかれ。 固く獲(とら)んとすることなかれ。」 摶飯(たんぱん):飯をまるめること。放飯(ほうはん):大口で飯をほしいまま食べること。流歠(りゅうせつ):汁を流し込むようにすすること(歠(すす)る)。
②説明略。
問題2:嘖:サク、さけ(ぶ)、かまびす(しい)、さいな(む)
①「好評嘖嘖 (こうひょうさくさく)」「名声嘖嘖 (めいせいさくさく」など、「嘖嘖(さくさく)」は「人々が口々に言いはやすさま。しきりに言うさま。」 「嘖嘖」とはもと鳥の鳴き声などの擬声語らしいです。*他に、同様の意味の熟語として、「嘖室(サクシツ)」、「嘖声(サクセイ)」、「嘖然(サクゼン)」など・・・、「嘖室(サクシツ)」:斉の桓公が、黄帝の明堂・尭の衢室(くしつ)にならって作らせたもので、自由に討論を行なう室・会議室の意があるとの事です。<関連知識>「衢室之問(くしつのとい)」(故事:昔の理想的な天子とされた帝尭が、政治の資料として人民のいうことを聴いたこと。広く人々の意見を聴くことのたとえ。「衢室」は、尭の宮殿の名。)
②「呵嘖(かしゃく。「かせき」とも。):通常は「呵責(かしゃく)」と書きますね。厳しくとがめてしかること。責めさいなむこと。
③(余談)古事記の中に、「稜威の嘖譲(ころひ)・・・」という「嘖」の熟語が出ています。「嘖譲(ころひ):せめること。」の意のようなので、現代風に読めば、「嘖譲(せきじょう):責めさいなむ意」のようになるのでしょうかね・・・古文用語なので、あまり気にしなくてよいかも。
問題3:咫:シ、ちか(い)、みじか(い)、た、あた
①咫尺(シセキ):「咫尺を弁ぜず:暗くて一寸先も見分けがつかないこと。身近のこともはっきりつかめないこと。」「天威咫尺:天子の威光がすぐ近くにあること。天子に近づき恐れ多いこと。」その他、「実家までは咫尺の距離だ」「咫尺の栄を得る:貴人に接近すること。」「咫尺の書:短い書状。短い手紙。」など・・・。
②使いやすい箸の長さを「一咫半(ひとあたはん)」というらしい・・・。
③「八咫(やた)の鏡:(大きな鏡。三種の神器の一つ)」: 「やあた」の転。咫(あた)は長さの単位。(八倍の長さだから)大きいこと。長いこと。<参考>「咫(シ、あた)」①周代の小尺における長さの単位。一咫は約18cm ②ちかい。みじかい。わずか。③た・あた:日本の上代の長さの単位。開いた手の親指の先から中指の先までの長さ。
問題4:咢:ガク、いいあらそ(う)、おどろ(く)
①おどろく。ぎょっとおどろく。〈同義語〉愕
②「咢咢」とは、高く堂々とたちふさがるさま。また、「諤諤」に当て、遠慮せずに、ありのままの意見を押し出すさま。ここでは後者の意としています。
③その他周辺知識:「垠咢(ぎんがく)」:かぎり。はて。辺境。辺界。=垠際(ぎんさい)「咢」は尾根のことを意味するらしいです。対象訓にはありませんが・・・。
問題5:吶:トツ、ドツ、ども(る)、さけ(ぶ):①どもる。口ごもってすらすらとものがいえない。また、そのさま。 ②大声で叫ぶこと。
①類義語:「吶弁(とつべん」=訥弁。口べた)、「吶吃(とっきつ)」:①どもる。②事がすらすら進まないこと。
②「吶喊(とっかん)」とは、まず大声で叫ぶこと。転じて、鬨の声をあげること。
では👋👋👋