


熟語の読み・一字訓読(実践問題その14)です。回答はマウスを動かせば、すぐ見られるようにしてあります。参考までに、末尾に、解説や周辺知識等を記載しています。当面、1級対象漢字から整理していきます・・
問題1 「陟」 ①登陟(トウチョク) - 陟(の ぼ)る ②黜陟(チュッチョク) - 陟(のぼら)せる ③進陟(シンチョク) - 陟(す す)む
問題2 「擽」 ①笞擽(チリャク) - 擽( う )つ 、 擽(は ら)う ②擽感(リャッカン) - 擽(くすぐ)る
問題3 「臧」 ①臧否(ゾウヒ・ソウヒ) -臧( よ )い ②收臧(シュウゾウ) - 臧(お さ)める ③臧匿(ゾウトク・ソウトク) - 臧(か く)す ④臧賄(ゾウワイ) - 臧(まいない) ⑤臧獲(ソウカク・ゾウカク) - 臧(しもべ)
<解説(周辺知識等)>
問題1 陟:チョク、のぼ(る)、のぼ(らせる)、すす(む)
①登陟:文字通り、「のぼる」という意味。仏教関係の書物によく出てくるらしい。他に、「陟方(チョクホウ)」:天子が四方視察の旅にのぼる。一説に、天子が天にのぼる=死ぬ。「五十載陟方乃死五十載にして陟方して乃ち死す」〔書経・舜典〕、「陟降(ちょっこう): 登ることと降ること。天に登ったり地上に降ったりすること。「文王陟降、在帝左右文王は陟降し、帝の左右に在り」〔詩経・大雅・文王〕 日かげの長短のこと。
②黜陟:功績のない者を しりぞけ、功績のある者を昇官させること。「のぼらせる」に対応。「(字源ネット)陟は降の対、登に近し、又黜の反、官位をおしあぐるなり。」とあります。他に、「陟升(ちょくしょう)」=陟陞:昇らす。上昇する。「陟罰(ちょくばつ)」:官位をあげてほめることと、官位をおとして罰すること。
③進陟:説明不要ですね・・・。
*「陟罰(ちょくばつ)」も②に該当すると思います。意味:官位をあげてほめることと、官位をおとして罰すること。「臧否を陟罰して、よろしく異同あるべからず」〔諸葛亮・出師表〕で有名。
*四字熟語:黜陟幽明
問題2 擽:リャク、ラク、レキ、う(つ)、はら(う)、くすぐ(る)
①笞擽:笞(むち)で打ったりはらったりすること *鞭で取り去る場合に「擽(はら)う」を使うとありました。
②擽感:くすぐったいと感じること。ネットで「擽感(レキカン」と書いている論文を出している学者の方(医学系か?)もいます(擽度の試作・・・野中 実 徳島文理大学)が、ほとんどが「りゃっかん」と読んでます。
*「リャク」(訓)う(つ)、はら(う)意味の時。 、「ラク」熟語もほとんど見当たりませんが、「擽然(ラクゼン) 」(硬くしっかりしている、の意)文献にも「擽然扶持心国、且若是其固也」とありますので、大体、そういう意味で良いのでしょう・・・。該当する訓読みは対象内の読みでは無いようです。「レキ」の音熟語は、先の「レキカン」を除けば見当たりません。
問題3 臧:ゾウ、ソウ、よ(い)、おさ(める)、かく(す)、まいない、しもべ
①臧否:物事の善悪・是非。=淑慝(しゅくとく) 人物のよしあしを判断し、批判すること。 「ゾウヒ」の「ゾウ」は慣用音。「ソウ」が漢音。
②收臧:(蔵と通じて)倉庫、所蔵する意。中国語では、通常は“藏”の字(対象外)を使うらしい。
③臧匿:隠す。また、隠れて物事の表面に現れない。人をかくまう。
④臧賄:まいない、わいろ。 「臧賄を挙奏し、・・・に譴責を及ぼした」とか「涼州刺史からの臧賄の劾奏もあって刑戮された」とか、「臧」の字が使われています。「その他、「臧物(贓物)、臧賂(賄賂)、臧罪」など。「贓」と通じて、不正に得た財物、不正なことをする人の意。
⑤臧獲:「男性の奴隷の蔑称」「臧、の賤称」「奴を罵りて臧と曰ふ、婢を罵りて獲と曰ふ」などとある。「臧穀(ソウコク)ともいいます。←荘子「読書亡羊」の故事(周辺知識①参照)。
<周辺知識①>臧獲(ソウカク)・臧穀(ソウコク)の由来
●読書亡羊(どくしょぼうよう):他のことに気を取られて、本来の任務をおろそかにしてしまうこと。臧(ゾウ、ソウ)と穀(コク)という二人の下男が羊の番をしていたが、臧は読書に、穀は博打に夢中になって羊を逃がしてしまった。二人のしていたことは違うが、羊を逃がすという失敗をしたことに変わりはないという、『荘子・駢拇』の故事に基づく。・・・他の文献等では男女の下僕と解しているものもあります。
(注)ネットでは、「臧穀(ソウコク):ボディーガードの役をする、体格のよい男のどれい。▽「獲」は、とらえた どれい。「穀」は、かっちりしたもののたとえ。」と説明している方もいますが、出典・根拠等不詳です。
●「漢書では奴隷のことを「蒼頭奴」「蒼頭」と言い、「蒼頭」は元は兵士の意味だが、単にこれだけでも奴隷を意味するようになった。唐の時代には同様に「青衣」とも言い、「臧獲」という異称もあった。」との説明もネット上にありました。
●その他参考「人は嬰孩より老耋に至るまで、恒に徳を陰闇の中に受けて、而も自ら知らず。是れ何物ぞや。被褥、枕席、是れなり。一先輩有り。甚だ被褥を敬し、必ず手に之を展収して、之を臧獲(ぞうかく)に委(い)せざりき。其の心を用うる亦、云(ここ)に厚し。・・・」
<周辺知識②>「臧(よ)し」
<詩経 上>の一部からの書下ろし文
「・・・既に我を嘉(よみ)せざれば 旋反(せんはん)する能はず 爾(なんじ)の臧(よ)し とせざるを視るも 我が思ひ遠(わす)れず 既に我を嘉せざれば 旋濟する能はず 爾の臧し とせざるを視るも 我が思ひ閟(と)ぢず・・・」(わたしの願いを賛成してくれないので わたしは里に帰ることもできぬ そなたたちは賛成してくれないのを知るが わたしの思いは忘られぬ わたしの願いを賛成してくれないので川を渡って帰ることもできぬ そなたたちは賛成してくれないことを知るが わたしの思いは止まぬ」
👋👋👋ごきげんよお👋👋👋