このシリーズのポルトガルワインの2本目は《カルム・ビスパード・ティント》という銘柄です。CARMは生産者名。この産地はポルトガル北部のドウロ地方で、その土着品種であるトウーリガ・ナショナルなどが植えられているビスパード畑のブドウから造られるワインをビスパードシリーズと言います。ラベルの名前でワインの素性が分かるようになっている訳ですね。
さて飲んでみた感想です。まずはカタログから。「3種類のブドウのブレンドが生みだすハーモニー、エレガントで柔らかいスタイルは贅沢な家飲みにぴったり」と書いてありました。エレガントなタンニンが売りのようです。実際飲んでみましたが、開けはじめの一杯は少し酸味と若干の渋みを感じましたが、色・香りも良く、価格(1300円)以上に価値あるワインだと思います。さらにビンに移し替えた翌日の方が味がまろやかになって飲みやすくなった印象です。
このエレガントなタンニンですが、素人には味のイメージが湧きません。タンニンは柿渋と言われると分かりますが、舌や口内粘膜のタンパク質と結合することで渋みを感じさせるようです。ポリフェノール化合物の一部とも呼ばれます。そしてタンニンはワインの熟成において酸化を防ぐ役割もありますから、赤ワインの味にとって渋み(タンニン)は大事な決め手であることが理解できました。ただしエレガントさを理解できなければワイン通とは言えないでしょうね。私はまだまだです。
またポルトガルのガイドブックで産地の場所を調べてみました。ポルトガル北部にはスペインを源流とするドウロ川(総延長900㎞)が流れています。河口の都市はポルト。ポートワインの名前は知られていますが、ドウロ地方はドウロ渓谷よりさらにスペイン国境に近い所にあります。ここで造られたワインがドウロ川を下り、ポルトから船積みされ世界中に輸出されました。酸化防止のためにタンニンの渋みを残すように生産する方法が重要だったと思われます。