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小袋坂を登りきり建長寺の手前に円応寺はあります。そんなに大きな寺ではないのですが、本堂に一歩入るとそこには別の世界が広がっています。死後の審判を受ける地獄の裁判所。裁判官は十王。現代人には考えられない不思議な世界です。
先日ある番組を見ていたら、心理学者が死後の世界を信じている人の方が死ぬ時の苦しみは少ないという話をし、また別の番組では比叡山の僧 源信が母親のために書いた『往生要集』について特集を組み、「天国と地獄」の世界観を説明していました。特に戦後はこういった世界観は非科学的なものとして排斥される傾向にあり、今の子供たちは「悪いことをしたら地獄に落ちるぞ」と言っても誰も信じる子供はいません。それでも還暦を過ぎた私もそうですが、芥川龍之介の『蜘蛛の糸』のなかに地獄の世界を見、蟻んこ一匹だって殺してはいけないぞと思ったりしたものでした。死後の世界を信じるか信じないかは人それぞれでしょうが、信じることで安らかに死ねるのであれば、それもいいかと思ったりもします。
円応寺のお堂には、十王のうち、初江王(二七日)は鎌倉国宝館に寄託されていますが、秦広王(初七日)、宋帝王(三七日)、五官王(四七日)、閻魔王(五七日)、変成王(六七日)、泰山王(七七日)、平等王(百か日)、都市王(一周忌)、五道転輪王(三回忌)を拝観できます。なかでも閻魔王は運慶作とも伝わっており、見応えがあります。是非一度ご覧になって、地獄で自分が裁かれている姿を想像してみてはいかがでしょう。因みに不倫の罪を裁くのは初江王です。身に心当たりある方は、初江王は出張中ですので安心してください。処分保留になります。
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