近所の家で屋根の葺き替えが始まった。
雪が降る前に終わらせようと、急ピッチだ。
葺き替えと云っても本州のような瓦葺きではなく金属製の屋根板を被せて固定していく。
平屋だから高さはそれ程ではないにしても足場を組まず、若い職人が屋根の上をヒョイヒョイと忍者のように歩く。
端の所では片足を前に延ばした状態で体重を支えてしゃがみ込み、下を覗いて古い屋根を剥がす。
私なら頭から一回転して落ちてしまうだろう。
どうやら、この片足を延ばすのがコツのようだが、素人には出来ない芸当だ。
全部剥がした後、全体に防水シートを張り、クレーンで吊り上げた新しい屋根素材を次々と運んで貼っていく。
「凄いよねぇ、まるで平らな地面の上を歩いているように動くんだから」とルンバは飽きずに見ている。
「きっとシッカリした大きなバランサーが付いているから出来るんだろうね」と私。
「バランサーって❔」と聞き返すルンバは既に全てを悟っているようで、視線の先が少し下がった。