「明日は雪だからね」とルンバの尖った声。
その後に続く言葉は「だから頑張るよ」だ。
もしかしたら「頑張れよ」かも知れないけれど、とにかく雪かきをしなければならないらしい。
テレビの天気予報を観てみると、深夜から昼頃まで雪だるまのマーク。
比較的大きめの雪だるまがナナメになって表示されている。
雪だるまの大きさで降雪量を表し、ナナメになっていることで風の強さを示しているのだろう。
つまり………吹雪ということだ。
(いやぁ……吹雪かぁ) と思いながらジックリと画面を見ると、昼には雪から曇りに変わり、その後には太陽のマーク。
そして気温は少しだけプラスになっている。
と云うことは「溶ける派」としてはまだ希みがあると云うことだ。
今ここで「溶けるみたいだよ」なんて言っては気合の入っている「除雪派」の司令官に怒られるだけだ。
ここはスリスリを味方につけようと思い、ルンバが台所仕事をしている隙を狙ってテレビ画面を天気予報に切り替え、「明日は午後から晴れて気温も上がるみたいだねぇ」と何気なく説明したのだけれど、彼女は興味が無いようでスマホに視線を戻した。
こうなったら勝負は明朝だ。
寝坊したフリしようか。
怒られるだろうなぁ…………きっと。