三角の屋根や尖っている木の枝が優しくフワリとパッケージされていく。
しかし、この優しくと云うのが悪魔の企みだ。
悪魔には黒と云うイメージがあるが、実は白い悪魔もいる。
白い悪魔の方が音も無く忍び寄るため性格が悪い。
中には綺麗と勘違いをする人がいるけれど、既に悪魔に支配されている証拠だ。
まるで性悪女のように心に忍び寄るが私は騙されない。
パウダーのようだった細かな粒が私の心に反発するように大きさを変えた。
僅かな空気の流れを捉えて舞う。
全てを白に変えないと気が済まないのだろうか。
だけど奴らは知らないのだ。
すぐ近くに太陽神アマテラスが来ていることを。
ルンバが着替え始めた。雪かきの準備だ。
私の必死の抵抗に「もう良いから」と口を閉ざした。
雪が降るたびに繰り返される「溶ける派」との言い争いが面倒になったのだ。
仕方なく私も5分遅れで着替えて外へ。
降雪量27センチ。水分を含んでいる雪は重い。
予報では昼には出てくるはずのアマテラスが顔を出さない。
2時間も重い雪と格闘し、体力も限界に思えた時にやっと現れたアマテラス。
「遅ぇんだよ」と悪態を付いたら、臍を曲げたのかすぐお隠れになった。
と、そこへやって来たジュニアの車。
除雪した場所へ車を入れ、何と車から家庭用除雪車を下ろし始めた。
重い雪で爺婆が苦労しているだろうとの気遣いだ。
エンジンをかけて雪を吹き飛ばす助っ人は堂々と遅刻した気難しいアマテラスよりも頼りになる。
ジュニア嫁も私の倍近いスピードで雪を除け始めた。
私は急に気が緩み倒れそうになった。
思いっきり疲れたのでルンバも夕食は作りたくないだろう。
夕食はテイクアウトの美味しい天丼にしてジュニア宅にも届けようと決めた。