北海道でノンビリと

タブタブの何処かへ行こう を改題しました。
何処かへ行く機会も減ってきたので 北海道を楽しもうと思ったからです

忍びの者

2023-10-16 21:07:17 | 日記
3日ほど前に写真展へ行ったことを書いたが、その1Fにあった古書店が気になって仕方がない。

古書店と云えば、私が利用するのは Book Off ばかりで、そこに無い新書は大型書店で買うことが多い。

しかし前述の古書店には全てが昭和的な独特の風情があり、レトロ感満載なのだ。

初めての店内へドキドキしながら入ると、微かに聞こえる「いらっしゃい」の声。

見上げると、まるで風呂屋の番台のように一段高くなった場所に人が居て、彼の周りは高く積まれた本の山。
まるで城郭の石垣のような中にいるのは店主? いや城主?

狭い通路の左右にはギッシリと隙間なく積まれた古書が行く手を阻む迷路を構築していた。

そして奥には一人、数冊の本を手に持った先客が居てドキッ。

本は著者のアイウエオ順に並んでいるようだが、原田マハが見つからない。

私は迷路を戻って番台の上の城主?に「原田マハさんの本は無いみたいですね」と云った途端、彼は一瞬で消え何処かから飛び降りたのか突然目の前に現れた。

忍者か・・・・・と、突っ込みたくなったが、彼の動きは速い。高い石垣の壁を見ながらサササッと消えたと思ったら一瞬で戻り、今度は文庫では無いコーナーを目指して奥へ消えた。

結局、「時々入るんですけれど無いみたいですねぇ」と云われ、何処から上がったのか、また番台の上にスッと現れた城主、と云うより忍者。

私は懐かしい隠密剣士に登場した忍者、霧の遁兵衛を見られた気分でとにかく嬉しくて楽しくて、また来ようと思ったのは間違いない。

アンタは 偉い

2023-10-15 21:10:16 | 日記
エッセイは滅多に読まないのだが小説だと思って買った原田マハの文庫本
「フーテンのマハ」は何とエッセイだった。

まぁ、お気に入りの原田マハを全部読破しようと思っている私は、せっかく買ったのだからと云うさもしい気持ちもあってページを繰ってみたのだが、意外に面白い。

彼女の文体の原点は、もしかしたらエッセイにあるのかも知れない。

短編のエッセイを読み進むと「う●こ」を我慢した話が載っていた。
良いのだろうか女性なのに、、、と心配になる。

でも女性だって「う●こ」はするのだから、まぁ本人さえ良ければと自分を納得させ、漏れそうな体験を正直に、手に汗握る迫力のある文章で書く姿勢に仲間意識が芽生えた。

彼女が急にモヨオシタのは中国。それもツアーバスに乗って高速道路へ入る手前の料金所の付近で腹痛を発症しバスを緊急停車してもらって、決壊寸前の状態で何処にあるのか分からない異国のトイレを探すために駆け回ったようだ。

私のようにウォーキング途中でモヨオシテ自宅へ急ぐだけでも汗ダラダラなのに言葉の通じない異国の地でのトイレ探しだ。

肛門を指さして「う●こ う●こ」と叫んだのだろうか。
どれだけ辛かったか焦ったか、想像の範疇を越えている。

「よく頑張った大賞」を与えたいと思いながら次のページを開いた。

一位は・・・・・

2023-10-13 21:35:01 | 日記
港にクルーズ船が入ると市からのLINEで知った。

新コロナの影響で大型客船の入港は止まっていたので、私の記憶に間違いが無ければ大型船の入港は今年に入って2隻目だ。

指定された場所に車を置き、聳え立つ巨船を見上げた。

実は船を見るために外出したのではない。これは「ついで」だ。

本来の目的は市内のギャラリーで開かれていると云うフォトジャーナリスト長倉洋海さん主宰の塾生8人による写真展。
有名な方らしいが、長倉洋海さんを知らないし塾生と云うからには素人集団なのかも知れない。

ギャラリーは古書店の二階にあった。
受付にいた女性に「お邪魔します」と挨拶して展示されている写真を端から拝見する。

書道や絵画はさっぱりだが、一応一眼カメラを持って国内旅をしたので「見る目」はあるとド素人の私は自負している。撮る技は乏しいけれど。

私が絶対に行くことの無いモロッコやイスタンブールの青い建物。
何処の海岸だろうか、深い足跡がグニュグニュと沢山残っている不思議な海岸に見入ったが何故水平線を中央にしたのだろうと疑問。
私なら主役を足跡にして水平線を画面の上にするのに・・・・・・なんて思う。

キラキラと云うよりギラギラ輝く波はドンピシャの露光だが、故意にだろうか水平線が少し斜めだ。

樹の中に巣があるのだろう。縦長の割れ目から一列に顔を出している4羽の幼鳥を撮るのは大変な時間と根性が必要だったに違いない。

お礼を言って階段を下りようとした私に「お気に入りの写真はありましたか?」と受付女性の声。

私は引き返し迷うこと無く指さしたのが当然選ばれるであろうと思う4羽の幼鳥の横に並んでいたワンコの写真。
これが「ダントツの一位です」と云った途端、彼女の悲鳴が上がった。

ワンコを真横から撮った珍しい構図ながら上を見上げている姿からは神々しさを感じます。まるで稲荷神社のお狐様のように。
前方からの風に金色に輝いているように見える美しい毛並。
目を細めて誰かに話し掛けているようにも見える。

多分金色に輝かせている見えない何かが前にいるのかも知れない。

「単にワンコが可愛いだけじゃなく、色々なことを想像できる素敵な一枚だと思います」と云った途端、彼女は口を手で覆い、「実はこの写真を撮った女性は今回出したくないと云ったのですが無理して一枚だけ選んでもらったのがこの写真なんです」と今にも泣き出しそうな笑顔。

「是非ノートに感じたことを書いてあげてください」と云われ筆無精で悪筆の私は素直な気持ちを綴った。

「撮った彼女に必ず伝えます」とお礼を言われ階段を下りたのだが、連絡先を書けば良かったかなぁ・・・・・・と後悔したのは信号を渡ってから。

連絡先が書いてある手製の名刺を渡しても良かったなぁ・・・・・・とも思った。
あの10枚集めればジェームスと握手できると書いたことのある名刺を。


多分 云わないから

2023-10-11 21:37:09 | 日記
寝室には木刀がある。

木刀と云ってもスポーツ用品店で売られている本物ではない。
もう半世紀以上前に阿寒湖畔にある土産物店で買ったものだ。

小学校の修学旅行で阿寒観光ホテルに泊まった時、自由時間に温泉街で手に入れた。

男の子と云うのは木刀とか武器が好きだ。
誰かが買ってきたのを見て、俺も俺もと土産物屋を探し回って同級生男子のほぼ全員が手に入れた。

そして当然のように部屋で戦いが始まったのだが、子供は手加減を知らない。
 新聞紙を丸めて戦っているのと同じ強さで振り回すので、偶然指にでも当たると思いっきり痛いのに気が付いた。

そして自主的に休戦と云うか停戦。

「痛いと」半ベソをかいている何人かの同級生を皆で介抱し、戦いは枕投げに変更された。

その懐かしい木刀が今でも捨てられずに残っているのだから奇跡だ。

それが何故枕元に立てて置かれているか・・・・・。
モチロン戦うためだ。

侵入してきた誰かを葬るのに使う日が来るかも知れない。

眠狂四郎の円月殺法は何度も観た。
赤胴鈴之助だって少し記憶にある。
勝新太郎の座頭市では闇の中での戦い方を知った。

ただチョット予想外だったのは、そんなものを振り回されてはたまらないとルンバが寝室を別にしたことだ。

でも本物の男と云うのは女々しく「戻って来て」なんて云わない。

絶対に云わない。
きっと云わない。

女性作家に魅せられて

2023-10-10 20:45:54 | 日記
最近、女性作家の本に惹かれている。

桜木紫乃は、女性目線で所々にエロを書いているのだが、ナル程と感心する程に文学的だ。

筏田かつら(いかだ かつら)は性別不明だが、多分女性だ。書いているものはヤング向けのラブラブものだが、読んでいるだけで若返る。

青山美智子はホッコリする気持ちになり、昔通っていた喫茶店を思い出した。

望月麻衣は北海道出身ながら京都在住。
少しヤング向けの本だが、「寺町三条のホームズ」は見事に京都観光案内的要素を盛り沢山に書いているので、つい「その気」になった私はまんまと罠にはまり、京都に20泊して文庫本を教科書として街中をウロウロ歩き回った。

原田マハは、どうやら原田は本名でマハの部分だけペンネーム。
美術館に勤務していたことがあり、ゴヤの作品「着衣のマハ」「裸のマハ」から名前を拝借したようだ。

実は、今一番ハマっているのが、この原田マハ。
昨日も3冊買ってきた。

「さいはての彼女」「生きるぼくら」「1分間だけ」と次々読んで私を虜にした。

「翔ぶ少女」は阪神・淡路大震災が舞台だ。
最後の1行で堪えきれず目から何かが溢れた。

読み終えて居間へ降りたら、ルンバから「眼に何か入ったんじゃないの?」
と云われ、誤魔化すために目薬をさした。