高江雅人  竹工芸職人の独り言  竹工房オンセ

高江雅人  竹工芸を初めて37年、徒然なる出来事をアップしています。

職人仲間 5

2006年07月18日 20時00分00秒 | 職人仲間

お蔭様で名古屋松坂屋での「日本の職人展」も無事終えることができました。今回もたくさんの常連さんが顔を出して頂き、本当にありがとうございました。_010_4名古屋での職人紹介も今回が最後です。私の両隣で市松人形の「小島」さん。一週間ずっと座ったままだ。ご本人がお人形のように柔和な笑顔を称えて、ずーと、ずーと座っている。私などは実演であぐらをかいたり、販売に立ったりで姿勢を変えることで気分転換したり足の疲れを緩和しているのだが、この人ほど座り続けている人はいないだろう。以前一度一緒に飲んだことがあるのだが、腰の低い本当に優しい人である。黙々とお人形の顔を削っている、やはり、お人形さんを買われるお客様は心の安らぎを求めて購入されるのだから、ギラギラと脂ぎった職人が作っているより小島さんのような涼しげな方が作っているほうが良いですよね。

反対側のお隣さんは岩手県から来ている吉村さん。鯨の歯を削って、ペンダントやブローチ、置物などを削っている。この人も一日中作業している。準備日も奥さんが飾り_011_1付けをしているのだが、ご本人はお構いなしで歯を削っている。きっとB型ではないだろうか?鯨歯職 人としての顔と、パソコンおたくの顔を持っている。家には50インチのテレビの周りにたくさんのパソコンが囲み24時間自動でいろんなものをダウンロードさせているそうだ。私もパソコンで判らないことを聞いてみるのだが、専門的過ぎるのと東北弁なので良く判らなかった。

最後の紹介は真打登場で、福井県の「船箪笥」の勝木さん。船箪笥とは江戸時代に北前舟など、海路による交易が盛んな頃、船が難破してもその気密性から海水が箪笥の中に入らずに浮かんでいるように作られた物だそうだ。分厚い板に重々しい金具がこれでもか!と付いている。引き出しの中には財産を隠しておけるようにカラクリが施してある。男心をくすぐる作品なのだ。「お客様もきっと中小企_012_1 業のオーナー経営者が多いのではないだろうか?」自分の今までやってきた仕事に対する御褒美として、この箪笥を買われると思う。作品と同様、勝木さんも一目見れば忘れられない風貌をしている。この写真では奥さんを隣にして優しそうな顔をしているが、頭の手ぬぐいを取るとツルツルのスキンヘッド、化粧をした時の歌舞伎役者のような風貌だ。私も始めて見た時は「なるべく近くには行くまい」と心に深く誓ったものだ。

いつか私もこの船箪笥に隠し物ができるくらいになりたいと、自分自身を奮い起こさせる作品だ。

竹工房オンセ

コメント (1)
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