安心院町は葡萄の産地である。デェラウェアー、ベリーA、巨峰、紅瑞峰、などいろんな葡萄が取れるのだが、この葡萄は「瀬戸ジャイアント」という品種で種無し、皮ごと食べれる新しい品種だそうだ。まだ、安心院でもそんなに栽培している人はいないらしく珍しい。
これを作っている農家の御主人が「良く出来てるやろー、わしゃー、これを見た時感動したんだ。」こんなにもっこり、もっこり膨れ上がったのを見るのは始めてである。よほど、御主人は嬉しかったのだろう。此処まで来るまでの苦労と努力がこの葡萄を見た時に一気に蘇り、感動したのだろう。
農家の人の作物作りも我々職人の作品作りも同じである。手を掛け、最新の注意を払って作り上げるのだが、時には忙しさや慣れ(この慣れが一番恐ろしい。)に流されて作ってしまう時もある。この御主人のように自分で育て上げ、実った作物を見て素直に感動できるような仕事をしていかなくてはならない。