だいぶ前にずいぶん話題になっていた「不都合な真実」をこの連休中の3日間くらいで読み終えた。
メディアがずいぶん取り上げるし、ノーベル平和賞を取るし、会社で映画鑑賞会をやるしで、あまのじゃくの私としては、それほどのものか?と斜めに見ていた。笑
この本は買ったわけではなく、図書館で借りた。
余談だが今年の初めに予約してやっと順番が回ってきた。
40人近く順番待ちだった。人気だ!。
原題はAn Inconvenient Truthというらしい。
どちらかというと「都合の悪い(あるいは都合の良くない)真実」の方が私としてはしっくりくる訳だ。
映画もあった。
:: 不都合な真実 ::
さて、内容だが私なりの感想。
1.米国人向けに絞られた内容
これは日本人を含む米国人以外の人向けと言うより、米国人向けの内容だと感じた。
90年頃から欧州へ何回か出張に行き、その後べき国出張が中心となったのだが、そのときアメリカと欧州の違いを大きく感じたことがあった。
環境に対する一般市民の関心のなさだ。
食べ物を大量に注文し、食べ残す。
何かをこぼすと、ティッシュペーパーを山のように使って拭く。
ゴミの分別は全くなし。プラスティックも紙も残飯も全部同じゴミ箱に!。
夏はどこへ行っても寒いくらいの激しい冷房
飲料やアイスクリームやポテトチップの小さいサイズがない。
など、など。
さすが大量消費の元祖だなぁ~と関心。
その一方で風力発電施設が場所によってちらほら。
それが、数年ほど前からホテルのタオルは欧州では10年ほど前からあたり前になっている、洗って欲しいものをバスタブにと言うようなエコな活動がホテルでは始まった。市民はきっとまだ毎日バスタブにタオルをいれているだろう。
このような人たちには、この本で啓蒙する必要があるのは確かだ。
しかし、我々日本人には「もったいない」という行動指針が身にしみこんでいる。
最近ちょっと変わりつつあるようだが…。
欧州も駐車場は使わないときは消灯なんて当たり前だし、ホテルのお湯は勢いよく大量に24時間出るところはまれだ。
というわけで、これはアメリカ人向けの本だなと痛感。
よって、日本で大騒ぎするのは????
2.危機はわかるが何をしたらいいのか?が十分ではない。
アルゴア氏は、元?政治家で啓蒙するだけでいいと思って当然だし、すべての人にこうしたらいいと言うような施策はそう簡単にはないというのはわかる。
しかし、元副大統領、ノーベル平和賞を取った人物となると、どうしてもそれ以上を期待したくなる。
この本意書いてある危機をよく知らない人には、この本は非常によい本だ。
本にも書いてあるように、貴重な写真やグラフィックで、わかりやすい表現で意図が伝わってくる。これは大成功だ!。
やはり難しいことを伝えようとするとき言葉だけでは飽きるし、少ししか伝わらない。
実は私の仕事はエンジン関係でマスキー法から始まり、排ガス燃費で他社より勝る技術を追求してきた。
よって、必然的に1970年代からこのようなことに興味があったし、自分の仕事の社会的意味づけなどを考えたりして、モチベーションの一部になっていた。
また、排ガス中の有害成分を半減したり、燃費を10%、20%、30%下げた商品を世にだし、危機に対して自分なりにできる最大限のことをしてきたという自負もある。
また、15~20年くらい前に環境問題の本も数冊読んだ。
推進派のものも、懐疑派のものも。
そういう人間にとっては、この本に書かれている危機はほとんど既知の話だ。
また、この本ではこう書いてあるが本当だろうか?、どうやったらもっと調べられるのか?などという疑問が一杯出てくる。
この本はそのようなときのリファレンスは何も載っていない。
これは意外だ。
もちろん、同じ論拠にたつサイトの紹介などは載っているけど、論文そのものの出典などは充実している方ではない。
ここで、ことわっておくが、この本に書いてあることを否定する気はない。
ただ、データや写真に疑問が生じたとき、どうやったら調べられるかを示して欲しかった。
3.結局人間に都合のいい環境を保持することが本当にすべきことなのか?
温暖化は人間に起因する要因で進んでいると言うことはわかる。
また、温暖化によって、海面が上昇し、人の住むところがなくなったり、水がなくなったり、食物がなくなったりすることはわかる。
でも、人間が住みやすい状況を維持することが本当にやるべきことかは、私にはまだ疑問だ。
このあたりは、神を信じたり、人間を万物の上に置いたり、宗教などの力が必要かもしれない。
極論すると、地球環境が激変して人間が住めなくなっても他の生物が生き残るのも一つのあり方ではないかと思ってしまう。
これはやはり日本人的感覚かもしれない。
最後にゴア氏は都会人かと思ったが、農場暮らしを経験している(4ヶ月/年)ことやこの本の中で種種の反論や疑問に対して一部答えていることは新鮮だった。
なんだかなぁ~と思う本でも毛嫌いせずに、読まないと誤解しますね。
また、アップルやグーグルの取締役もしていて、プレゼンはパワーポイントでなくアップルのキーノートを使ってる、また、スティーブジョブズの協力も得ているとのエピソードも面白かった。
連休はのんびり片付けや読書をしているので長文になってしまった。
ときには、お許しください。