◎5月の全国の自殺者は3329人(暫定値)で、昨年より19.7%増加。
中でも東京電力福島第1原発事故で深刻な被害に遭っている福島県の自殺者は68人で、昨年よりも38.7%増えています。
2011年版「自殺対策白書」によると、自殺者は13年連続で3万人を超え、大きな社会問題となっています。
2010年の自殺者は昨年より1155人減少したものの、3万1690人(男性は2万2283人、女性は9407人)。
1998年に前年比で8472人増の3万2863人を記録して以来、自殺者は13年連続で3万人を超えています。
遺書などから推定した原因や動機(その内容から3つまで計上)は、うつ病などの健康問題が最多で1万5802人に
達し、次いで経済・生活問題が7438人、家庭問題が4497人と続いています。
東日本の大震災による被災者は、地震と津波による心の傷や大震災で多数の死者や行方不明者が出たことに対し
て喪失感を強め、避難所などでの様子から、PTSD(心的外傷後ストレス障害)などの発症は少ないとみられて
いますが、精神的な不調や不安感を持っている危険性は高いとされています。
特に、原発事故によって大打撃を受けている福島県の畜産農家や野菜農家の心労は深く、自殺を防止するためにも
医療・福祉関係者などによる「アウトリーチ(訪問支援)」を充実させ、長期にわたって 心のケアに取り組む体制
の構築が求められています。
自殺防止で重要な取り組みは、継続的に自殺予防のメッセージを社会に発信することで、長期にわたる不眠が
うつ病の前兆で、それが自殺にもつながることから実施された「お父さん、眠れてる?」と題した睡眠キャンペーンのように、
当事者の気持ちに寄り添ったメッセージが安心感につながります。
悩みを持つ人に対し、家庭や職場などの身近な人が「ゲートキーパー(自殺予防の門番)」として、法テラスや精
神科医といった専門の相談機関などへつなぐことも重要で、うつ病など精神疾患への対応では、内科や産婦人科など
のかかりつけ医のうつ病診断能力の向上や、かかりつけ医と精神科医との連携強化が求められます。
身近な人が悩む人を支えることも含めて…明るく活力に満ちた社会を築かなければなりません。