難病患者に医療費を助成してきた国の制度が、約40年ぶりに大きく変わっています。
先月、施行された難病医療法によって、対象となる病気の数は56から約300になり、医療費助成を受ける対象者は78万人から150万人程度に増加。
子どもの難病についても、改正児童福祉法の施行で、約11万人から15万人程度に拡大する見通し。
助成制度は1970年代初めから、法律に基づかない治療研究事業として行われてきました。しかし、支援の対象や内容は十分とはいえず、予算の確保も課題でした。
法制化によって、財源確保と対策の充実に期待が集まり、制度の拡充は、さまざまな患者の声を受け止めてきた公明党の提言を反映しています。難病を抱える患者や家族の安心につなげていきたい。
そのためには、医療費以外の課題も解決が必要。
厚生労働省の調査によると、患者の約7割が就職を希望しています。しかし、実際に働く場合、通院の保障や緊急時の対応など、疾患の特性と症状に応じた勤務体制をとる必要があるため、就職しても職場の理解を得られず、退職するケースも少なくありません。
患者が無理なく仕事と治療を両立できる職場が見つかるよう、日常生活や療養などの相談に応じる「難病相談・支援センター」とハローワークの連携を強化する必要。
病気に対する誤解や偏見をなくす取り組みも欠かせません。一方、難病に苦しむ子どもたちも悩みは少なくありません。
例えば、長期の入院生活を送った場合、復学に向けたきめ細かな支援が必要になるが、どこまで後押しできているか。また、子どもの難病は、成人の難病と対象範囲が異なるため、多くは20歳になると公費助成が打ち切られてしまいます。
成人後も支援が受けられるよう検討すべき。
政府は今後、医療の提供体制の整備や医薬品・医療機器の研究開発の推進、療養生活の環境整備など、具体策を進めるための基本方針を定める。就労・生活支援策の充実のほか、難病患者のデータベースを構築して原因解明や治療法の開発に役立てる考え。
患者・家族の視点に立って検討し、充実した対策を実現してもらいたいものです。