◎横浜市は、大都市制度における検討の中で“特別自治市”を提案しています。
制度については、特別委員会で様々な検討・研究も行われいますが
私が所属する政策総務財政委員会においても、制度や提言の報告も予定され、明日は川崎市議会への視察もあります。
今の政令指定都市制度には二重行政等の課題、大都市としての特色を生かす海外都市との競争に勝つ経済の牽引力
としての効率性や役割、財源のあり方、税配分や措置のあり方等を整理する課題が多くあることも長年指摘されています。
先日、横浜市大都市自治研究会からの第一提言が提出もされましたが、新聞などでは県知事が不快感を
表されている記事も見受けられました。
大阪市の大阪都構想の影響発信力影響で、大都市制度の注目も高まったことも事実で、今後実現に向けた着実な
取り組みが必要です。
参考に先日の横浜市大都市自治研究会の第一次提言の概要(骨子)を以下に添付しておきます。
提言の骨子
1.人口減少・超高齢化が急速に進む中、大都市では他の地域に増して、老人福祉費、生活保護費、児童福祉費などの急増が
予測されている一方、大都市は日本経済の牽引車としての役割が強く求められている。
こうした状況で地域経済の活性化、行財政改革の推進、住民自治の強化、安定した子ども・高齢者対策の推進という困難な課題を
解決しうる数少ない有望な施策の一つが特別自治市制度である。
2.特別自治市としての横浜市は、原則として、市域内を対象とした神奈川県の事務の全部を処理する一方で、市域内地方税(市・県税)の
すべてを賦課徴収する。
3.特別自治市創設は、市域内における広域自治体の議会機能の廃止を伴う。しかし、同時に、より身近な住民自治を実現するものとして、
現行の行政区を単位に、区選出の市会議員による区議会の設置、または区長公選などにより、住民自治の制度的強化を行う。
4. 横浜市の特別自治市移行に伴い、指定都市にとどまった場合と比較して市内 3.7兆円、市外 1.2 兆円の経済効果が発生するとの推計があり、
この推計に基づけば、市内 37 万人、市外 11.4 万人の雇用効果が見込まれるとの試算もある。
5.さらに、こうした効果を受けて、税収効果についても、県内地方税 2,152 億円(市内分 1,740 億円、市外分 412 億円)、国税 3,447 億円
(市内分 2,708 億円、市外分 739億円)が見込まれるとの試算がある。
6. 指定都市と県との二重行政の解消による業務効率化によって、住民サービスを低下させることなく、神奈川県から移譲される事務等を担う一般行政職員(約 2,000 人)
のうち、約6割を退職不補充による削減対象とすることができる。
7. 一方、横浜市を除いた神奈川県内 32 市町村中 21 の市町村では、横浜市よりも財政力指数が高い(平成 21 年度)。
また、神奈川県における地方税額の市町村別構成比と人口の構成比はほぼ一致しており、横浜市に税収が過度に集中しているとはいえない。
8. 平成 23 年度神奈川県予算における横浜市域内の歳入・歳出は、差引 506 億円の歳出超過となっている(自主財源・一般財源ベース)。
この歳出超過は、特別自治市創設によっても不交付団体水準超過経費が発生しないことを示唆している。
9. 特別自治市創設後、横浜市域内分を除いた神奈川県予算額の合計は、33.3%減少するが、減少分の多くは、教員、警察官等の人件費、
介護・措置・医療関係費、公債費など裁量の余地が少ない義務的経費である。横浜市域分の介護・措置・医療費関係費や老朽化の進む県有施設などが
特別自治市に移行され、投資的経費の構成比が 2.6%増加することで、神奈川県は将来の財政負担を軽減できると見込まれる。