ケンのブログ

日々の雑感や日記

小山実雅恵ピアノリサイタル6月23日いずみホール

2019年06月24日 | 音楽
昨日はいずみホールに小山実雅恵さんのピアノリサイタルを
聴きに行った。
最初は実雅恵さんのトーク。
にこやかな笑顔でお話になる。
当日配布されたプログラムに書いてある内容を軸に
お話をされた。

最初に演奏されたのは
ベートーベン ピアノソナタ第28番イ長調作品101
第一楽章
なんか演奏の冒頭で音がおやっという感じで
出たような気がした。
ミスタッチというわけでもないし
あれはなんだったんだろう。
みちえさんが意図的になさったことなのだろうか。
それともペダルをはなすときの微妙なタイミングのずれとか
そういうものだったのだろうかと思っているうちに
演奏が先に進んでしまった。
こういうのも生演奏を聴くときの楽しみのひとつなのだと思う。
楽章の前半はフワッとした感じの演奏で
聴いていて心地よかった。
楽章の後半はだんだん気合いが乗ってきた感じだった。
第二楽章
行進曲風の楽章。
こういう音楽の立ち上げかたって
ちょっとベートーベンも天才的だなと思う。
実雅恵さんの演奏は楽しくもあり迫力もあり
それでいて端正さも失わずという印象だった。
低音の扱い方がみちえさん独特の感じで
それも印象に残った。
第三楽章
ゆったりしたイントロダクション。
そこから第一楽章のテーマを回想するところへは
とても慎重に演奏が進んでいく。
その慎重さがなんとも言えないなと思った。
主部に入ると明るく演奏が展開した。
楽章の後半になって低い音が細かく動くようになると
だんだん演奏の雰囲気も深くなって迫力も増していった。
こういう緊張感の高めかたは
みちえさんいつもうまいなと思った。

続いて演奏されたのは
シューベルト ピアノソナタ第13番イ長調作品120
第一楽章
ベートーベンの28番の演奏が終わったあと
みちえさんは一回ステージのそでにひっこんだだけで
すぐにこのシューベルトのピアノソナタの演奏を始めた。
ベートーベンのソナタと同じイ長調だし
きっと、みちえさんはベートーベン28番の
特に第三楽章の演奏の雰囲気をこのシューベルトの
ピアノソナタに引き継ぎたかったのだと思う。
楽章の中間くらいのところまで演奏が進んだとき
みちえさん心の底からこの音楽を
愛して演奏しておられるんだなと思って
ちょっとうるうるっと来た。
第三楽章も気合いが入っていてよかった。

20分の休憩をはさんで
後半はシューベルトの即興曲作品90から
1番 2番
作品142から1番から4番が演奏された。
たまに知ったメロディが出てくるけれど
ほとんどははじめて聴く曲だった。
それでも神秘的、天国的と思う場面が
何度かあった。
やっぱりシューベルトはちょっと比類のない世界だなと思う。
他方で僕はシューベルトの音楽を
プログラムの前半から後半まで
ずっと続けて聴く機会が滅多になく
ちょっとほかごとを考えていた時間があったのも事実だった。
曲の切れ目で拍手をしてはいけないような場面で
みちえさんは腕をまえにつきだしてそれを静止させ
拍手しないでね、という感じで
それとなく観客にアピールするような場面もあった。
そういうのもなんか人柄だなと思った。
 
演奏が終わったあとのみちえさんのにこやかな
笑顔を見ているとなんだかそういうのも
込みでコンサートに来てよかったなとしみじみと思った。