夜、国道を自動車で走っていたら、バイクが爆音で走ってきた。
そのとき僕はカーステレオでベートーヴェンの田園交響曲を聴いていた。
爆音がうるさく感じたのと音楽に集中すると爆音が幾分気にならなくなるので僕はカーステレオのボリュームを普段は20くらいのところ35くらいまで上げた。
信号待ちの時、バイクは僕を追い越して僕の前で止まった。
その時、田園交響曲は第三楽章、田舎の楽しい気分から第四楽章、嵐に変わった。
嵐の雷を表現するティンパニーの爆音がなった時、爆音バイクの人は、信号のわきにあったガソリンスタンドに思わず飛び込んで行った。
爆音バイクの人にとっては田園交響曲、嵐のティンパニーは聴きなれないタイプの爆音だったのだと思う。
これは 聴いたことのないタイプの音だぞ とりあえず 逃げたほうが安全かも と爆音バイクの人は思ったのかもしれない。
僕は丸刈りだから夜だとこわもてに見えるかもしれないし。
夜の 国道 怖いのはお互いさまと言うことなのだと思う。
でも そのバイクが ガソリンスタンドに飛び込むさまはちょっとユーモラスでもあったから、たぶん爆音バイクの人やその友達はきっと僕に仕返しに来ないと思う。
これに味を占めて何度も同じことをやっていると危ない気もするけれど。
人生60年以上生きてきて 田園交響曲の思わぬ効果を知った。
それはともかく 一日 いちにち 無事に過ごせますように それを第一に願っていきたい。