西條 奈加著
「心淋し川」
その川は止まったまま、流れることがない。
たぶん溜め込んだ塵芥が、重過ぎるためだ。
十九のちほには、そう思えた。
この書き出しで始まる表題の「心寂し川」
千駄木の淀んだ川沿いに、長屋とも呼べないようなところに住むちほ
酒浸りの父と愚痴ばかりの母と暮らす彼女は
ここから抜け出すことを夢みる
抜け出せるとばかり思ったのに・・・
閨仏
不細工な女性を好む男性の妾4人
その中で最年長の女性は、思わぬ特技があることに気づく
ここから出て幸せになれるのに、ここに留まった
彼女はそういう女性
はじめましょ
昔捨てた女が自分の子を育ててる
3人で暮らしたいと思い始める男の話し
しかし、その子は本当は・・・
でもこのお話は好きでした
冬虫夏草
息子を溺愛する母の話し
この馬鹿母
今でもいそう・・・
明けぬ里
同じ岡場所で過ごした女性二人
その後、どちらが本当の幸せをつかめたのか
本当の幸せは♪お金じゃないのよ、ハアハア~ン
灰の男
上に出てきた人々が住む長屋の差配人の話し
この差配さんはこんな人生を歩いてきたのね
どの話も、一生懸命生きている人たちの息遣いが聞こえてくる一冊です
流石、西條奈加さんです