百田 尚樹著
「影法師」
「海賊と呼ばれた男」、「永遠のゼロ」以来です
一気に読みました
やはり読ませますね~
武士の世界では、生まれた家が絶対
上士 中士 下士
厳然たる身分差があった
そして長男でなくては家督は継げない
そんな中、中士の次男に生まれた彦四郎
と
下士の長男に生まれた勘一
ふたりは、身分差を越えて強い友情で結ばれていた
家督は継げない彦四郎は、頭脳明晰、剣の達人であった
何をさせても労なくこなした
ある時、百姓一揆が起こり
一揆を先導した百姓は処刑された
処刑を見た勘一は、彦四郎に
「俺たち武士も領民も、すべて米で成り立っている・・・
大坊潟干拓に成功すれば、多くの新田ができる。
そうなればもう領民も飢えることもない・・・
俺はいつかその普請をやりたい」
と決意を口にする
人をよく太陽と月に例えますね
彦四郎はどうみてもキラキラと当たりを照らす太陽です
そして勘一こそ月そのものでした
しかし、友の決意、夢を実現させるために
彦四郎は、勘一の影になり
勘一を領民に光を注ぐ太陽にするのでした
太陽になった勘一はそれが彦四郎のお陰だったということを知らなかったのです
その事実が知った時は、勘一とともに
私も読みながらもう涙、涙
男の友情、凄いです
ところでちょっとこんな文中の会話を抜粋しました
勘一が最初についた仕事は群奉行付与力
勘一は代官について各村を回った
与力の伊藤との会話のところです
「戸田は、一反で、人ひとりが一年に食う米が穫れることを知っているか」
「たしか一反でおよそ一石と聞いております」
「その通りだ。一反は3百歩、つまり三百坪だが、
その昔は三百六十歩だった。
かっては一石の米を穫るのには、それだけの土地が必要だったのだな」
「すると、昔は一坪の土地で、一日分の米が収穫できたということですね」
「そういうことだな。
これは偶然ではなかろう。
おそらく人が一日に食べる米が穫れる土地の大きさを一坪と定めたのではないかな。
そして、ほぼ一年にあたる三百六十日分の米が穫れる土地を一反としたのだろう。
つまり坪とか反とかいうのは、実はすべて米作りからできた尺度だったのだな」
勘一は思わず感嘆の声を上げた。
自分たちが日頃使っている尺度は米がもとになっているとは思ってもみなかったことだった。
あらためて米作りがいかに大切なものであるかということを教えられた思いだった。
私も、へ~そうなんだ!と
いや~やっぱり読書はためになります
実りの秋
読書の秋にぴったりの本です
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