改札口を横目に坂を下りてゆくと、ホームに沢山の列車が行き来しているのが見え、不意に「どこかに故郷の香りをのせて~」と口ずさみ、「配達帰りの自転車で、止めて聞いてる国訛り」という歌詞にじんと来る。井沢八郎さんの「ああ上野駅」という歌であるが、この歌をこよなく愛したディサービスに通うおばあちゃんに教えてもらわなければ、上野駅を行き来する列車に、このような思いをしなかったであろう。
そして、もう一人のおばーちゃんの東京でのエピソードも不意に思い出した。
旦那さんが公務員だった為、全国を点々とし、東京へ移り住んだ時、東北弁は受け入れてもらえているのに、関西弁はどうしても受け入れられなくて苦労をしたのだそうである。
しかし、夢を追いかける為に上京したり、太田裕美さんの「木綿のハンカチーフ」の「僕」のように故郷離れてしまった人や、さんまさんやダウンタウンさんのおかげで、意図的に関西弁を使う関東圏の若者たちの事を想うと、世はすっかり変わってしまったのだなと感じた。
坂を程よく下ってゆくと、下の通りに飲食店が並んでいるのが見えた。昼食を取る事も忘れていたのでお腹がペコペコであった。宿に行く前に何か食べていこうと思い、その中から、隣国で真似されたこともある、有名なラーメン屋が目に入り、お客さんも並んでいないようなので、この機会を逃がすまいと、横断歩道を渡り、お店に入った。どんな旨いラーメンが食べられるのかと、期待を膨らませチケットを購入し、案内されたテーブルに座ると、テレビで観た光景に、これこれと、少しにんまりしがら、注文票の標準値に丸をしてゆく。店員さんはきびきび動き、気持ちがよい。
しばらく待っていると、期待のラーメンが配膳され、お腹減っていたので、一気に食す。豚骨スープも麺も、美味しいのだけれど、何か足りない。
よくよく考えると、東海圏で過ごしてきた僕のソウルラーメンは「すがきや」なのである。
あの味は、いつ食べてもうまいと思うので、全国的に有名になったラーメン店であったとしても、ソウルフードには及ばないのである。
坂を下りきり、信号待ちをしていると、またたくさんの人に囲まれ、少し怖くなる。こんな時、合気道の達人が人ごみでとるという振る舞い方を思い出し、背を壁にできるポジションを見つけ、信号が変わるのを待つ。人が沢山いるのに、イチャイチャするカップルに圧倒されつつ、信号が変わると、自身にスイッチを入れて、スマホのナビを片手に歩き出す。
日常では、歩いているとき、こんなに人が多いという事はまずない。僕の住む町では人に出会う事の方が少ないので、気合を入れて歩いてゆく。
アメ横商店街通りに入ってゆく頃には、日は沈み、建物に囲まれた狭い空は紺色に移り変り、ネオンの灯りが商品を華やかなに際立たせていた。人ごみに埋もれて歩いていると、多国籍な人々に囲まれ、様々な言語が飛び交い、お酒の入った人たちに、少し恐怖を感じた。
その状況下であるから十分に気を付けて歩いているのであるが、それでも、すれ違う際に身体が当たってゆくので、前方から歩いてくる人の、歩き方を観察し、それに合わせて、身体の行方を決めてゆきながら進むスタイルに変更。
ナビを確認しながら、よろよろになりつつも、今夜のお宿のネオンの先に見つける。安堵し、疲れ切った身体を押し込むようにホテルに入ると、フロントの女性がさわやかな笑顔で対応してくれてようやく緊張がほぐれた。ウエルカムドリンクをもらい、部屋のカギ受取ると、まっすぐ部屋に向かい、部屋に入ると、ドッと疲れが出た。早々に上着を脱いで、テレビをつけると、綺麗にベッドメイクされたベッドに倒れこんでしばらく眠ってしまった。
そして、もう一人のおばーちゃんの東京でのエピソードも不意に思い出した。
旦那さんが公務員だった為、全国を点々とし、東京へ移り住んだ時、東北弁は受け入れてもらえているのに、関西弁はどうしても受け入れられなくて苦労をしたのだそうである。
しかし、夢を追いかける為に上京したり、太田裕美さんの「木綿のハンカチーフ」の「僕」のように故郷離れてしまった人や、さんまさんやダウンタウンさんのおかげで、意図的に関西弁を使う関東圏の若者たちの事を想うと、世はすっかり変わってしまったのだなと感じた。
坂を程よく下ってゆくと、下の通りに飲食店が並んでいるのが見えた。昼食を取る事も忘れていたのでお腹がペコペコであった。宿に行く前に何か食べていこうと思い、その中から、隣国で真似されたこともある、有名なラーメン屋が目に入り、お客さんも並んでいないようなので、この機会を逃がすまいと、横断歩道を渡り、お店に入った。どんな旨いラーメンが食べられるのかと、期待を膨らませチケットを購入し、案内されたテーブルに座ると、テレビで観た光景に、これこれと、少しにんまりしがら、注文票の標準値に丸をしてゆく。店員さんはきびきび動き、気持ちがよい。
しばらく待っていると、期待のラーメンが配膳され、お腹減っていたので、一気に食す。豚骨スープも麺も、美味しいのだけれど、何か足りない。
よくよく考えると、東海圏で過ごしてきた僕のソウルラーメンは「すがきや」なのである。
あの味は、いつ食べてもうまいと思うので、全国的に有名になったラーメン店であったとしても、ソウルフードには及ばないのである。
坂を下りきり、信号待ちをしていると、またたくさんの人に囲まれ、少し怖くなる。こんな時、合気道の達人が人ごみでとるという振る舞い方を思い出し、背を壁にできるポジションを見つけ、信号が変わるのを待つ。人が沢山いるのに、イチャイチャするカップルに圧倒されつつ、信号が変わると、自身にスイッチを入れて、スマホのナビを片手に歩き出す。
日常では、歩いているとき、こんなに人が多いという事はまずない。僕の住む町では人に出会う事の方が少ないので、気合を入れて歩いてゆく。
アメ横商店街通りに入ってゆく頃には、日は沈み、建物に囲まれた狭い空は紺色に移り変り、ネオンの灯りが商品を華やかなに際立たせていた。人ごみに埋もれて歩いていると、多国籍な人々に囲まれ、様々な言語が飛び交い、お酒の入った人たちに、少し恐怖を感じた。
その状況下であるから十分に気を付けて歩いているのであるが、それでも、すれ違う際に身体が当たってゆくので、前方から歩いてくる人の、歩き方を観察し、それに合わせて、身体の行方を決めてゆきながら進むスタイルに変更。
ナビを確認しながら、よろよろになりつつも、今夜のお宿のネオンの先に見つける。安堵し、疲れ切った身体を押し込むようにホテルに入ると、フロントの女性がさわやかな笑顔で対応してくれてようやく緊張がほぐれた。ウエルカムドリンクをもらい、部屋のカギ受取ると、まっすぐ部屋に向かい、部屋に入ると、ドッと疲れが出た。早々に上着を脱いで、テレビをつけると、綺麗にベッドメイクされたベッドに倒れこんでしばらく眠ってしまった。