すずめ休憩室

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気の向くままにつづってみました。

摩利と新吾

2007年04月07日 | 漫画・本
「摩利と新吾」 白泉社文庫 全8巻

DOZI様こと木原敏江さんの代表作ともいえる作品です。
木原さんの漫画は昔アンジェリクを読んで以来、結構好きで、また友達か買い集めているので数多くの作品を読ませていただいているのですが、一番有名ともいえるこの「摩利新」を読んでいなかったのです~
今回、ブログを通じてお知り合いになれたトミーさんよりお借りしました
ありがと~!!トミーさん!

時は明治末期、兄弟のように育った鷹塔摩利と印南新吾は二人一緒に名門旧制高校の持堂院学院の門をくぐる事となる。ドイツ人の母と日本人貿易商の父との間に生まれた美しい摩利と太陽のような天性の朗らかさを持つ新吾はたちまち学院内でも目を引く存在となるが、また彼らもここで掛け替えのない友を得るのだった

いや~良い作品というのは年代を感じさせないというのは本当ですね!初出が1977年とのことですが、今から30年前の作品とは思えないです
最初、読む前は学生寮を舞台にしたコメディかと思いきや、コメディあり、シリアスあり、耽美あり、そして友としての愛、耐え忍ぶ愛、見守るだけの愛、と色んな形の愛ありとなんか木原ワールドてんこ盛りという感じ。

特に人が本来持っている善良さの部分とそして誰もが多少なり抱えているであろう内面の闇の部分の対比がなんとも良い

そしてこの「摩利新」がなんとなくこの後に発表される木原先生の作品の源流の気がするんですよね。

色んなキャラが登場し、華やかな「摩利新」だけど、それぞれが後の作品たちのキャラを思い起こさせる気がするというか・・・
「風恋記」の露近と融明の中に、「杖と翼」のレオンとアデルの中に、摩利や新吾、一二三ちゃんの面影をみてしまうのです(と言う事は夢殿先輩は「風恋記」の帝か・爆)

ただ最後はちょっと意外でしたね~
この時代の漫画ってラストをハッピーエンドに持って行きがちなのに、ああいうラストとは・・・
私個人はすれ違いつつあった摩利と新吾が再びお互いの友情を確信し、笑ってハッピーエンドかなとありきたりのラストを想像していたけどど、さすがですね~
でもあのラストだからこそ、この摩利と新吾の絆の強さが強調され、尚且つ時代背景のクローズアップの意味も感じられ、木原さんの作り出すエンディングにはいつも感心させられます

きっとこの「摩利新」を書き始めた段階ですでにラストは決められていたのでは?という感じさえしました

そうそう木原さんの昔の作品に「あ~ら わが殿!」という漫画があるのをご存知でしょうか?
「摩利新」を書く前にマーガレットで発表された作品なのですが、実はここに摩利と新吾の原点があるんです。
しかも月夜麿や白菊丸、大江山将鬼という「摩利新」でおなじみのキャラ達もいるんですね~

友人は何物にも替えがたい宝だと教えてくれるこの作品、未読の方は是非ご一緒にどうぞ