このところ少し暇(手帳が空白)で、裏の花壇の草取りと読書に熱中しています。熱中している本は『はじめての宗教論』右巻と左巻。普通は上巻と下巻とするところでしょうが、著者の佐藤優氏が気合いを表そうとこうしたのでしょう。いずれもNHK出版新書です。少し難しいと箇所もあって上滑りで読んでいるところもありますが、私にとっては「目からうろこ」の部分も沢山り、できたら二度読みもいいかなあ、と思っています。著者は元外務官僚でロシア担当、前衆議院議員鈴木宗男氏と連座して背任罪で特捜部に起訴され現在係争中の人です。「これは国策捜査だ!」と主張、特捜部と真っ向から戦い、雑誌に寄せた論文がなかなか面白く、以前から注目していた人です。彼は同志社大院で神学を学びプロテスタント系の教会で洗礼も受けています。起訴されたときも「神がお与えになった試練だ。神は私に何をお求めか」と考えたという。特捜部も、一切の懐柔策に乗らない彼に困っていることだろう。
私が、面白いと思った点は沢山ありますが、サワリの部分を2~3書きますと、①イエス・キリストは決してキリスト教の開祖ではない。イエスは、自分はあくまでユダヤ教徒で、正しいユダヤ教を説こうとしていた。キリスト教の開祖は弟子のパウロだ、という論説。②天動説に代わって地動説が認められると、天におわします神の基盤が怪しくなり、神は人々の命と心の中におわします、という説が市民権を得てプロテスタントが生まれた。③人々の心の中に神がおわしますと、ナショナリズムが神と手を結び、第一次世界大戦を引き起こし、民族紛争や国家間戦争を引き起こす。その意味で、北朝鮮は典型的な宗教国家だ、という世界解釈。などなどです。その他、カトリックとプロテスタントの違いや論争も、私にとっては新鮮でした。蛇足ですが、あの偉大な哲学者カント、神から独立したところで正義を考え、近代的な道徳や倫理を確立し、生涯独身を通したたと教えられたカントさんは、実は高貴にして大富豪の女性パトロンを複数人持ち、結婚するとパトロンを失うから独身をとおした。彼はイケメンで巧みな話術で高貴なご夫人を笑わせ、モテモテだった、とのこと。これもこの本に書いてあります。
駄文を弄しました。これも少し暇なせいです。庭の八重桜が満開になりました。