元日の夕方、娘夫妻が「お年始」に来てくれて一泊。雑談のテーマは多岐にわたり、収集が付かないほどでしたが、どの話題も興味深く示唆に富んでいました。その話題の一つに、我が家の自慢の柿が、去年と今年、続けて9月の末に葉が落ちてしまい、実が大きくならないばかりか追熟も進まないのだが、どうしてだろう、というものがありました。私は、害虫の異常発生が原因と思いこんでいて、どんな薬剤の散布がいいか聞きたかったのだが、娘たちは、他の原因についても考え、9月末の害虫説には乗りにくい感じでした。
「体力不足で、木が自ら葉を落としている可能性もあるが、根元付近の環境変化は?」という質問にドキッとしました。4年前、根元付近にコンクリートを張ったからです。
写真中央の黒い幹が自慢の柿の木(富有)ですが、その手前のコンクリートは最近敷き詰めたものです。古い門扉が壊れたので、新しいものにしたときこの部分をコンクリートにしてしまいました。これが軽率でした。植物の根は常に呼吸しているそうで、コンクリートを張られると窒息してしまうそうです。9月末の落葉の原因が根の窒息によると断定できた訳ではありませんが、私にはいつの間にか“そうに違いない!”と思えてきて、柿に申し訳ないことをしたという気持ちで一杯になっていました。柿の隣の白い幹の樹は鳥の落し物から育った雑木で、このあたりの土を独占支配している感じです。そこでこの樹を切り倒し、この付近を“畑のような素敵な土”してやらねばならないと決心したわけです。
小刻みに切り落とし、丁寧に作業を進めました。切った樹木の根が土に帰ってくれるまでに2~3年はかかるかもしれません。この後、土を掘り起こし、石を拾い、溝を掘って藁を入れ、醗酵鶏糞をたっぷり載せ、さらに落ち葉も梳き込んで、水をかけてから土を被せました。
春までにいい土になることを信じ、更に折を見て化成肥料を入れたり、腐葉土を入れたりして今までのお詫びにしたいと思っています。来年の柿の出来栄えが待ち遠しいです。
夜間は随分寒くなりましたが、その分、月が煌々と冴えて奇麗です。昼間、剪定作業を終えた柿(この柿が根元をいい土にしようとしている富有)の剪定の出来栄えを、月明かりの中で確かめていますと、何時の間にか柿のことを忘れて、荘厳な大自然の営みの神々しいまでの美しさに、身も心も溶かされて、消え行ってしまう心地さえ致します。