オソマツ君の読書は、乱読の斜め読みが多いのですが、この本は違いました。丁寧に、ある部分は後戻りして二度読みもものともせず、夢中で内容を追いました。
常日頃どうして日本はあんな負けるとわかっている戦争をしたのだろう、とか、私たちの世代が学んだ日本の歴史は、どうして兵士の命を軽く見た作戦を展開したのだろうかとか、尊敬できない蛮行の数々を思い起こすと厭になることばかりでした。
しかし、著者は、日本の近代史を丁寧に振り返り、反論して呉れています。著者藤原正彦氏の強みは英語が堪能で、全ての資料を自分で読んでおられるところです。
たとえば日本が受諾したポツダム宣言にはどんなことが書いてあって、それが守られていたか、
ハーグの陸戦条約をアメリカは守ったかなど、きちんと調べて本書を書いておられるというところは、国内の市販の資料を勝手に引用して私見を述べただけの戦後史論のような軽薄な戦後史とは重厚さが違います。
著者が特に力を入れてお書きになった所が戦後のアメリカによる『日本弱体化計画』であったと思われます。アメリカはどうして、日本弱体化に周到な準備をしていたか。その背後にあったのは、第一次世界大戦を引き起こしたドイツの占領政策に誤りがあったから、ドイツ国民は短期期間のうちにヒットラー総統をリーダーに据え第二次世界大戦を引き起こすくにになってしまったという、苦い経験があったからです。食糧難のどん底に落ちていた我が国に食糧援助を行い、「もう敵国ではありませんよ、と笑顔を振りまき、骨抜きの作業を開始しました。それらは、次のようなものでした。
周到に準備された言論統制、出版物の事前検定と発行禁止命令、更に、公職追放と云うリーダー交代など、いずれもポツダム宣言違反、
アメリカが重点を置いた点は、アメリカとの戦争になった原因はすべて日本の軍国主義にあったと日本人に思わせることであった。ハーグ条約違反の住宅地の無差別爆撃も原爆投下も日本軍国主義に鉄槌を下す必要悪であったという論理であった。
このアメリカの論理に飛びついたのが、日本の左翼であった、というのである。オソマツ君の世代はよく胸に流れる説明である。
現在の高校で明治以後の日本史をどのように習っているか、ここの、若い人に聞いたら世界史が必修で日本史は選択しなかったという人や、三学期になって明治以後は残してしまって、教科書を読んでおけということだったというひとばかりであった。
相変わらず日本の文部行政はおかしい。敗戦国の毒が回っているままだ。
このブログをご覧ただいている諸兄に、どうか「日本人の誇り」をご一読くださいますよう。心からお薦めいたします。
ブログを興味深く拝読いたしました。
インターネットの良い点は、「情報を疑るくせ」が付いた事です。インターネットには様々な情報があふれ、どれが真実か判りません。そう思った瞬間、教科書だって信じられない、と思いました。数学は厳格に証明できますから、信じられますが、歴史は違います。勝者によってねつ造されますから。
多くの人が日本人の誇りを読んで、歴史の真実はどうだったのかを自分の頭で考えられればよいと思いました。