鬼山竜也の住宅業界 商売の王道

良い家づくりに真剣に取り組んでいる方々が、お客様のためにより良い仕事が出来るようになるためのヒントになれば、嬉しいです。

【4615回】 大手ハウスメーカーのビジネスモデルの限界

2023年08月19日 | 住宅コンサルタントとして

先日、とてもお世話になっているクライアント様と

いろいろとお話させていただいていたのですが、

私自身も全く気づけていなかったことを

いろいろと教えていただきました。

 

そしてその内容は、「確かに!」と思えるものでした。

 

それは、日本を代表する大手ハウスメーカーの

ビジネスモデルがもう限界に来ている、ということ。

 

そこから考えれば、今、大手の何社かがやっている展開も

全て納得がいく説明ができるのです。

 

大手ハウスメーカーの数社が、

これまでの価格帯だけで勝負するのではなく、

「地域限定」「期間限定」とうたって、

これまでの価格より20~30%安い価格帯で

昨年から仕掛けているのですね。

 

で結果、地域ビルダー、工務店の価格帯に

大手ハウスメーカーがゴリゴリ入ってこようとしているのです。

 

その理由は、「自社の工場の稼働率が落ちているから」。

 

大手ハウスメーカーは、自社で生産ラインを持っているのです。

 

構造躯体だけをつくっている会社もあれば、

外壁や住設、サッシ、床材や建具まで自社で製造ラインを持って

つくっているメーカーもあったりします。

 

製造ラインを自社で持つということは、

工場の稼働率が最大に近いレベルで回っている時は、

躯体も外壁も住設も、を非常に安価でつくることができますが、

受注棟数が減って稼働率が下がると、

途端に1つ1つの商品のコストが上がってしまいます。

 

それだけ固定費がかかるのです。

 

製造ラインを自社で持つ、ということは、

人口が右肩上がりの時は正解だったのですが、

人口減、世帯数減、着工減の今は、

大手メーカーにとっての足かせになってしまっている、

と見て間違いないでしょう。

 

だから今までの層だけでなく、ちょっと下の層の顧客からも

ガンガン受注していくために、廉価版の商品をつくり、

それを売る部隊までつくっているのだと思います。

 

ところが、今度、安い商品をつくると、

営業マンはそっちの方が売りやすいので、

そっちばっかり売るようになるのです。

 

するとこれまで売っていた高級品の数が激減する。

 

すると結局、収益性は改善されない。

 

ということで、製造ラインを自分たちで持ってしまっている、

大手ハウスメーカーのビジネスモデルは限界に近付いているのでは、

と思っています。

 

自分たちの受注量が増えようが減ろうが、

家1棟の資材を外部から仕入れ、

それを最終的に施工して完成品にする、

地場ビルダーのビジネスモデルの方が、

右肩下がりの時代に合っている経営だと思います。

 

なので、お客様に支持される商品を開発し、

それらをしっかりとターゲット層に伝えるマーケティングをし、

質の高い接客をすることで、

住宅会社はまだまだ業績を高めることが可能なのです。

コメント
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