鹿児島でとても有名だったイタリアンのお店が、
数年前に京都に移転してこられ、
しかもイタリアンなのに「鮨」のコースをやっている、
ということを耳にし、昨日、行ってきました。
そのレストランは、
京都の街中からはかなり外れた、
本当に普通の住宅地の中にあり、
建物は非常に洗練されていました。
ディナーの時間となり、
最初の数品は和食であったり、
イタリアンの品が出てきましたが、
いよいよお鮨の時間。
どんなお鮨を握っていただけるのか、
ワクワクしながら待っておりました。
お鮨を握る前にラップを下に敷き、
ネタを置いて更にその上に何かを挟み込み、
そしてシャリを置いてラップごと形を整える。
鮨職人さんから見れば、おそらくあり得ないことでしょう。
ところが、お鮨一貫ごとに見事にデザインされていて、
更にそのお鮨に合う器が用意されて出てくる。
これはアートというか、ショーとして見事でした。
そしてお鮨の肝心なお味なのですが、
これがビックリするくらい、美味しいのです。
例えば、うま味をもっと引き出したい時、
鮨職人さんであれば、魚を熟成させる、
という技法を用いることが大半ですが、
このお店のシェフは、例えばパンチェッタやアンチョビを
ネタとシャリの間に仕込んだり、
魚そのものにうま味のある出汁を注入したりと、
お鮨の技法とは全く異なるアプローチで、
素材を美味しくしているのですね。
更に薬味の代わりにハーブをつかったりと、
出していただいている品は間違いなくお鮨なのですが、
日本の鮨とは全く別のお料理って感じで、
もう本当に新鮮で勉強になりました。
そして鹿児島でお店をやられていた時から、
全国にその名前が知られている理由もよく理解できました。
一言で言えば、このお店のシェフは「変態」なのです。
(グルメ好きの間では、寝食を忘れ、
料理の研究をしまくる方を敬意を込めて「変態」と呼びます)
このお鮨のために、数か月単位で仕込んだり、
ブロードを取るのに数週間かけたり、と
一品を出すのに手掛けている手間と時間が
もう本当に変態レベルでした。
そして改めて思ったのですが、
住宅会社が提供する家やおもてなしなども、
優秀な異業種の人たちが参入してきたら、
どういう家を設計し、どういう接客をするのか、
ということを考えると、ヒントが生まれるかも、
と感じました。
業界を変えるのは、いつだって新規参入組なのです。
新しいアプローチで商品やサービスを考えることって、
絶対に必要だと改めて学ばせていただきました。