鬼山竜也の住宅業界 商売の王道

良い家づくりに真剣に取り組んでいる方々が、お客様のためにより良い仕事が出来るようになるためのヒントになれば、嬉しいです。

【第5135回】 全く違ったアプローチ

2025年01月20日 | 住宅コンサルタントとして
鹿児島でとても有名だったイタリアンのお店が、
数年前に京都に移転してこられ、
しかもイタリアンなのに「鮨」のコースをやっている、
ということを耳にし、昨日、行ってきました。

そのレストランは、
京都の街中からはかなり外れた、
本当に普通の住宅地の中にあり、
建物は非常に洗練されていました。

ディナーの時間となり、
最初の数品は和食であったり、
イタリアンの品が出てきましたが、
いよいよお鮨の時間。

どんなお鮨を握っていただけるのか、
ワクワクしながら待っておりました。

お鮨を握る前にラップを下に敷き、
ネタを置いて更にその上に何かを挟み込み、
そしてシャリを置いてラップごと形を整える。

鮨職人さんから見れば、おそらくあり得ないことでしょう。

ところが、お鮨一貫ごとに見事にデザインされていて、
更にそのお鮨に合う器が用意されて出てくる。

これはアートというか、ショーとして見事でした。

そしてお鮨の肝心なお味なのですが、
これがビックリするくらい、美味しいのです。

例えば、うま味をもっと引き出したい時、
鮨職人さんであれば、魚を熟成させる、
という技法を用いることが大半ですが、
このお店のシェフは、例えばパンチェッタやアンチョビを
ネタとシャリの間に仕込んだり、
魚そのものにうま味のある出汁を注入したりと、
お鮨の技法とは全く異なるアプローチで、
素材を美味しくしているのですね。

更に薬味の代わりにハーブをつかったりと、
出していただいている品は間違いなくお鮨なのですが、
日本の鮨とは全く別のお料理って感じで、
もう本当に新鮮で勉強になりました。

そして鹿児島でお店をやられていた時から、
全国にその名前が知られている理由もよく理解できました。

一言で言えば、このお店のシェフは「変態」なのです。
(グルメ好きの間では、寝食を忘れ、
料理の研究をしまくる方を敬意を込めて「変態」と呼びます)

このお鮨のために、数か月単位で仕込んだり、
ブロードを取るのに数週間かけたり、と
一品を出すのに手掛けている手間と時間が
もう本当に変態レベルでした。

そして改めて思ったのですが、
住宅会社が提供する家やおもてなしなども、
優秀な異業種の人たちが参入してきたら、
どういう家を設計し、どういう接客をするのか、
ということを考えると、ヒントが生まれるかも、
と感じました。

業界を変えるのは、いつだって新規参入組なのです。

新しいアプローチで商品やサービスを考えることって、
絶対に必要だと改めて学ばせていただきました。

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