長屋茶房・天真庵

「押上」にある築60年の長屋を改装して
「長屋茶房・天真庵」を建築。
一階がカフェ、2階がギャラリー。

緞帳を下げる

2008-04-05 06:59:05 | Weblog
先月の終わりで、隣のクリーニングやさんが、緞帳を下げた(舞台の幕をおろした)。
昨日は、夫婦で挨拶をかねて、蕎麦会にこられた。
新潟から上京して、おじさんのクリーニング屋で15年間、丁稚奉公した
あと、文花にきて独立、35年間、この地域の人たちの汚れた衣服を白く
することを、なりわいにした。
朝早くきて、表を掃き、近くのコーヒー屋さんから出前をして一服。
その後は一日中、サウナの中のような汗をかきながら、プロようの思い
アイロンを動かし続けた。夏は脱水症状にならないように、食事をしたあとには
ビールを1杯飲み、体が限界になると、クリーニングの台の上で、仮眠をする、
みたいなことを、毎日35年遣り通した。

昨日、帰られるときに、感謝の気持ちをこめて、久保さんの「白に器」
をプレゼントさせてもらった。
彼の毎日の舞台であり、戦いのリングだった場所の片隅に、小さな張り紙
が張ってあった。
自筆で「白が泣いている」と書かれてある。
原点である「お客さまの大切なものを、白くきれいにする。」ことを
忘れないないようにする座右の銘みたいなものだろう。

「ひとつごと」をこつこつやってきた人には、洗濯したシャツのように、
白くてピカピカと光る輝きがある。長いことご苦労さまでした。