長屋茶房・天真庵

「押上」にある築60年の長屋を改装して
「長屋茶房・天真庵」を建築。
一階がカフェ、2階がギャラリー。

ぶんこ君

2009-04-13 06:09:49 | Weblog
昨日、ピアニストの文庫君がチャリンコにのってやってきた。
大塚の江戸一の若大将も時々チャリンコにのってやってくるけど、
文庫君は、溝ノ口からやってきた。どうもこの街がきにいった様子だ。
近い将来、引っ越してくるかも知れない。またおもろい音楽家がひとり
ふえる。

彼とは10年くらい前に青山の骨董やで偶然出会った。まだ音大を
出たばかりのひょろっとした青年だった。でも生まれついての「目利き」
で、ピアノの才能と骨董を見る目が確かだった。

天真庵の改装中に二階の飯場に「帰山」(きざん)という酒をもってきてくれた。
「こんなうらぶれた場所に、不思議なサロンをつくろうとしている大兄の
今の心境にぴったりの名前の酒だから」といった。
瓶の裏の説明を読むと、「帰山・・・自然に帰る、あるがままに生きる」みたいな
縁起が書いてあった。
「四つ木の杉浦酒店で売っています。日本一の酒店です」と、目利きの君が
いうので、次の日に、四つ木の杉浦酒店にいった。
店主の杉浦さんもいいし、おかみさんもいい。いろいろ試飲もさせてもらった。
「会津娘」ともその時はじめて出合った。そのあと、杉浦さんの娘も偶然
うちのお店の常連になった。その娘がこのたび、田呂丸という性になった。
そして近い将来「田呂丸の娘」が誕生するのだろう。

文庫君は先週電車でやってきて、天真庵にまずきて、その後ぶらぶらと
この界隈を散策した。こんどはチャリンコで、この街の界隈を回った
後に天真庵にきた。こんどは、歩いてまわるそうだ。

ぼくもこの街をきめるまで3度きた。一回目は晴れた日の午前中にきて、
二度目は晴れた日の夕方にきた。そして、三回目は雨の日の午後、かさを
さしながら、この街を散歩した。雨が長屋の屋根にあたる音が、やけに
ここちよかった。その瞬間に「どうかこの街に縁がありますように」と
祈った。その祈りがすぐに通じて、天真庵をこの地に結ぶことができた。
ほんとうに、縁とは不思議なものだ。 感謝。