長屋茶房・天真庵

「押上」にある築60年の長屋を改装して
「長屋茶房・天真庵」を建築。
一階がカフェ、2階がギャラリー。

芸術の秋

2009-09-22 06:07:03 | Weblog
昨日は林君たちが、元気に線香をあげにきてくれた。

天真庵の改装をやってくれた中心メンバー。
ちょうど、3年前に彼がヨーロッパから帰国していたので、
手伝ってもらった。
厨房の中に、神棚がある。土間を掘り返したときにでてきたものを
祀ってある。昭和20年の東京大空襲の時に、ここが焼けたときの生活用品
みたいなものがたくさんでてきて、その中のひとつの「かけら」を
お供えしてある。界隈の人は、あの日のことは、みんな昨日のことのように
鮮明に脳裏に焼きついているのだ。ときどき手をあわせて、お祈りをしたり
する人がいる。
その神棚をつくってもらったのが、けいちゃん。その神棚の神域で、ふたり
が結ばれ、昨年結婚をして、今年の春に、長屋で産婆さんが、男の子を
とりあげてくれた。名前を「仁葉」(には)という。昨日は「仁葉君の
天真庵デビュー」の日でもあった。みかんジュースをおいしそうに飲んだ。
あと15年くらいすると、お酒も飲める。

天真庵の玄関とか、椅子をつくってくれた般若君も、今年の7月に
結婚した。たまたまこの1月、自分のつくった玄関のドアをあけ、自分の
つくった椅子に、ヨッシーが座った。そこからビビビ、なのか、ピーン
とくるものがあったのか、電光石火のようなひらめきがあって、
7月の木曾の祭りの日に入籍をした。

ときどき「縁結び」みたいなことをいわれることがあるが、
それは、きっと厨房の中にある、その不思議な神棚の「おかげ」
だろうと思う。

林君たちは、来月早々に和歌山のほうに引越しをする。
ヨッシーも、木曾の花嫁になって7月に、山に嫁いだ。
出会いというのは、別れと表裏一体だし、子どもが生まれる
、というのは、命を次の世代に紡いでいく、つまり「死」の準備
でもある。

林君が最近つくった、林の中の木の精霊を布に焼き付ける、
不思議な作品をひとつ、いただいた。
カウンターの前の壁にかけたら、涼やかな風が吹いた。
みんな、風のように、自然の中で、生まれそして死んでいくのだ。