長屋茶房・天真庵

「押上」にある築60年の長屋を改装して
「長屋茶房・天真庵」を建築。
一階がカフェ、2階がギャラリー。

癒される とうじ蕎麦

2011-05-27 08:29:12 | Weblog
伊那にいってきた。昔の戦友の墓参り。
30年くらい前にいった葬式の時(4・11)、ちょうど
信州が桜が満開で、京都よりも、開放的で澄みわった空に
散る花が、なんともいえない無常を感じさせた。
それから、毎年春の命日の後に、墓参りをし、界隈の
温泉にとまって、静かに過ごすのが30年近いならわしになった。

携帯の電源を切り、朝から酒を飲み、本を読んだり、山を散策
したり、疲れたら温泉にはいったりして、過ごすのが、「精神のしわ」を伸ばすのには、一番いい。基本は「湯治」だと思う。昔から、観光客がよろこんでいくような有名な温泉地や、宿は經遠している。宴会がやれるようなとこは論外。集客の数を誇るようなところは、仕事でもいったことがない。くらい、無名な「湯治宿」みたいなところが、いい。

「湯治」にかけるわけではないが、野麦峠の近辺には「とうじ蕎麦」
というのがある。「とうじ籠」という竹をあんだかごに蕎麦を入れ、
鶏や茸や山菜がたっぷり煮込まれた鍋に、「投じ」て食す。ので
「とうじそば」という。天真庵の夜の勉強会では、よくこのとうじ蕎麦を
やる。自分的には、湯治にいく場所で食べることもあって、「湯治蕎麦」
みたいな感覚になる。

野麦峠といえば、「ああ、野麦峠」で映画化され、話題になった。
野麦は、野の麦ではなく、熊笹が凶作な時にだけ花が咲き、麦みたいな
穂をつけ、それをひとびとがありがたく食して、腹を満たしてきたので
そうゆうらしい。資料館にいって初めて知った。明治から大正にかけ、
富国強兵策のもと、諏訪あたりに製糸工場ができ、飛騨や高山から
若い女子たちが、働きにでていった。工場が3月1日に始まるので、
12歳前後の女子たちは、平均80kmくらいの山道を、三泊四日
くらいの強行で超えていった。休みは正月だけで、またまた同じ道を
同じくらい寒い中を、歩いて帰った。病気になると、親元に電報が
いき、「病気のため、ひきとりにこい」みたいなものが届き、21歳で
死んだ女子を、兄がおぶって家までかえる銅像が、今もたっている。

でも、根底には、家族愛とか、大きく見れば、国を思うこころ、みたいな
ものがあるし、美しい恋愛話が花咲いたことも、あったらしい。
国の男子が、諏訪の工場で働く女子に書いた恋文が残っていた。
「略・君の写真がほしい。一日千秋の思いで待つ」という内容。
それに、女子が、「そんなに思ってくれてありがたい」
みたいな内容だった。そこの資料館では、長いこと、「この恋文の
ふたりは、結ばれなかったそうです」と解説していたらしい。
だが、昨年彼のおまごさんがきて、「このふたりは、ぼくのじいちゃん
ばあちゃんです」ということになった。ぼくを含めて8人の孫にも恵まれ
幸せな一生だったとか。

峠とは「たむけ」という言霊でもあるようだ。花を手向ける、自然を愛する、
先祖や家族を大事にする。そんなことを精神の根底にもっていると、どんな
に厳しい峠であっても越えることができる。そんなことを、この野麦峠は
教えてくれる。

日曜日は「竹細工の会」
「とうじ籠」を大分でもつくってもらって、「別府温泉・湯治蕎麦」を清水
くんあたりに流行らせようかしらん。

月曜日は「順受の会」
天真庵が「儒学バー」になる日。混沌とした今みたいな時代
だかこそ、はらわたにどすんと「哲」をおきたいものだ。

火曜日は「ねっと31」
きらず・・・ではないが、縁のある人たちが、31日のある日
に集まって、「これから」を考える、そんな会。今回は
ジャズの歌姫・国貞雅子さんがゲスト。「今」を語るように
歌ってもらう。会費4000円(蕎麦会付き)
「おもしろそうだな!」の「!」ときた人は、誰でも参加資格あり。





最新の画像もっと見る

3 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
撮影の「野麦峠」は? (ヒガ3)
2011-05-27 10:24:48
★天真庵さんへ

今月11日に飛騨高山で、野麦峠麓の湯治温泉に行って来ました。

また、大竹しのぶ主演の映画『ああ、野麦峠』が撮影されたのは、郡山市郊外の「御霊櫃峠(ごれいびつとうげ)」です。
http://www.youtube.com/watch?v=0Lin0rCxVu8

峠から見下ろす猪苗代湖(諏訪湖)に、電線等が写らないからと聞きました。

感謝合掌
返信する
ジーンと響きました。 (こま押上むすめ)
2011-05-27 13:54:21
いつ読んでも、味わい深いブログです。心がなごみ、穏やかになります。今日はとても心温まることがあり、継続と実行の成果をありがたく感じました。嬉しきことも憂きことも隣り合わせの浮き世かな。
返信する
Unknown (天真)
2011-05-28 08:45:31
>ひがさん

御霊櫃峠(ごれいびつとうげ)ですか?
知りませんでした。

>こま押上むすめ
ぴったりの名前やね。毎日あきずに、こつこつ
いきましょう。
返信する

コメントを投稿