長屋茶房・天真庵

「押上」にある築60年の長屋を改装して
「長屋茶房・天真庵」を建築。
一階がカフェ、2階がギャラリー。

台風一過

2009-10-09 06:22:14 | Weblog
なんとか、台風もいってくれた。
落ち葉がいっぱい降ってきたけど、お店の中には、
風も吹き込まず、屋根も吹き飛ばず、なによりなにより。

少し安心して、銀座へ。天真庵の入り口の取っ手をつくってくれた
角居君が個展中。彼には、茶托や酒器も作ってもらっている。
毎年の秋にやっている個展は、彼の「やりたいこと」が表現されていて
おもしろい。大地を掘って、そこに丸太でつくった鋳型をおき、そこに
どろどろに溶かしたアルミを流し込む・・・という、なんとも原始的で
かつ危険きわまりない作業が、不思議な世界を醸し出す。
人が「火」を発見し、土や木や鉱物たちと、ときには格闘し、ときには
祈りの対象になったり、ときには畏敬の念をいたり・・・した歴史
みたいなものが感じられた。

自然児みたいな角居君の作品を見た後に、最近話題になっている
「自然派レストラン」で食事をした。
予算もあるのだろうが、あいかわらず、白いありきたりの器がせいぞろい
している。使われている野菜は確かに、新鮮でよかったけど、その手の
お店によくある「おしつけ」みたいなものがですぎていて、不自然だった。
自然派を主張する店が増えてきたけど、大地の恵みを、ゆっくり楽しめる
ように、ゆっくりと優美に、自然に広がっていってほしいものだ。

その後は、その店から徒歩1分のところにある骨董やへいった。
ここの主人は、自然というより、天然、いや超天然な人だ。
いつものように、京都のお菓子と宇治の玉露をごちそうに
なりながら、談論風発。
戦時中は、銀座で馬を7頭も飼っていた(家業が運送業なので、
ガソリンの一滴は血の一滴の時代に、馬をつかっていたらしい)という
なんとも、風流でエコな話。
小堀遠州の書簡を掛軸にしたものがあり、その内容が実におもしろかった。

いよいよ明日から「三丁目のジャズ祭り」
が始まる。18時開場、18時半開演。
10日、11日は、お店の営業が16時まで。
12日は、お昼に茶事があるので、お店の営業はしません。






台風

2009-10-08 08:53:15 | Weblog
ああ、恐かった。

さきほどまで暴風雨の中、お店にいってみた。
天真庵の建物は、昭和20年の3月の東京大空襲の時に
焼けて、その年にたったものだ。
築64年になる。その間に、地震や雷や台風にも耐えて
きたのだろうが、今回は久しぶりの大きな台風の上陸
というので、昨日は、南側の窓を、コーヒーの豆袋で
目隠しをし、プランターや、植木鉢、カキ氷機などを
お店の中に緊急避難。

でも、暴風の中にいってみると、二階の窓のほうが、
隙間がひどく、風と雨が室内に容赦なく入ってくる。
二階の奥の部屋は、昔のSLの汽車の窓のように、両サイドの
ノブをつまんで、そのまま上に持ち上げてあくようになっている。
かなり重厚なものだけど、上の窓そのものが、ゆがんでいて、
そこから、風雨が入ってくる。
プチプチとガムテープで、なんとかふさぐことができた。

少しおさまってきたけど、今日は、それらのかたずけに時間が
かかりそう。


かっぽれ かっぽれ

2009-10-07 06:27:11 | Weblog
昨日のコンサートは、秋の長雨の中、しっぽりと
おこなわれ、演奏者もお客さんも渾然一体となって、
バロック時代のヨーロッパへ、タイムスリップ
したみたいな感じだった。
バロックといえば、バッハやヘンデルが有名だが、
昨日は、テルマンとかホットテールとか、日本では
あまり知られていない名曲が、愉快な解説つきで、演奏
され、とても勉強になった。
思えば、昨日バロックオーボエを演奏してくれたかよちゃんが、
ふらっと天真庵にきて、チーズケーキとコーヒーを飲みながら
ここでコンサートをやりたい、ということから、始まった。
それから、クラリネットのやまねさんとか、ヨッシーとか、和が
ひろがっていき、クラシックのライブも定着してきた。

10日から3日間連続で、「三丁目のジャズ祭り」が始まる。
クラシックとジャズを聴きながら、蕎麦とお酒とコーヒーを楽しむ、
という流れが自然になってきた。

来年からは、水曜日が「伝授の日」になる。
蕎麦・コーヒー・お茶を、自然な流れで伝授していければいいと思う。
今朝も夜明けの夢の中に、生徒さん用の蕎麦道具の開発の夢を見た。

今日はかっぽれ。
水曜日にやっている。
来年からは、生徒さんたちが打った蕎麦を、かっぽれの後に食べる?
というのもいい?
蕎麦打ちを始める(趣味でなく、プロをめざして)と、「食べてくれる人」を探すのが大変。
趣味レベルなら、まわりが喜ぶけど、毎日打つようになると、
まわりがひいていく。コーヒーとお茶は毎日飲んでも、いいけど・・
演奏会も、お店も、聴く人と演奏者とお店の人みんなが、同じベクトルの中でやらないと、長く続いていかない。こころしたいものだ。

世界の経済は、秋というより、厳寒な冬になりそうな気配。
しばらくは、混沌としそうな気配。
でも、こんな時代だからこそ、自分の人生を見つめなおし、
捨てるものは捨て、必要なもの、これから大事なものに磨きを
かけて、新しくスタートするチャンスだと思う。





宝瓶

2009-10-06 06:22:17 | Weblog
宝瓶・・・ほういん、という。
急須の取っ手がない茶器で、昔から
玉露をいれるときに使った。江戸時代
までは、一般の人にはお茶は高嶺の花だったし、
お茶も茶器も、「宝もの」だったのだろう。

先月久保さんから新作の焼締めの宝瓶がおくられてきた。
最初に彼の急須を見たときに、小鳥(しかもヤマガラ)みたいだと
思った。今でもそれで煎茶を毎日いれている。
今回の宝瓶も、久保さん独特の薄手の肌感がしっくりしていて、
品があり、まさに「品のある宝もののような宝瓶」だ。
宇治のお茶をよりおいしく飲む、という歴史から生まれたものが
美意識といっしょに、高められた究極のフォルム、が
手の中におさまるときの幸福感といったらない。

今日は、「クラシックコンサート」。
榎田雅祥さんのフルート(トレベルソ)、渡辺佳代子さんのバロックオーボエ、
山本庸子さんのチェンバロで、秋の夜のコンサートを満喫したい。
芸術もまた「宝」である。

10月10日から3日続けてやる「三丁目のジャズ祭り」も
いよいよ近づいてきた。
日本の秋は、いい。

月取り図

2009-10-05 06:17:37 | Weblog
昔から坊さんたちが、好んだ絵に
寒山拾得の絵がある。南條さんの寒山拾得の絵
の中に、よく「月取り」という構図がある。
月に向かって、拾得がほうきでそれを取ろう
という構図。猿が池にうつる月をみて、それを食べ物
とまちがえ、取ろうとしているような絵もあるけど、
みんな「月をとる」、つまる「つく、運がつく」の
縁起からきたものだ。

また昔から「自分はついてる」といつも口にだして繰り返し
いうと、ほんとうに運が好転してくるらしい。
うちの元気は、元気のないときにも、元気にしてくれる、
という気持ちからそう名づけた。
今のところ、元気の二世をかう気にはならないけど、
次に縁があったら、「ツイテル」という名前がいいのでは
なかろうか、と思ったりしている。

今日は順受の会。
来年から、いろいろなことを、教える水曜日の日
は「伝授の会」にしようと思う。
まじめに、お茶とか珈琲とか蕎麦を学ぼうと思う
人は、この指とまれ。 感謝

月見で一杯

2009-10-04 06:47:15 | Weblog
昨日は月見で一杯、みたいな蕎麦会をやまねさんたちがやってくれた。
ちょうど朝、近くの「ながしま」というお菓子やさんの、美人の女将が
すすきをくれたので、それを信楽の大壷に投げ入れたら、天真庵に秋がきた。
いつものように、蕎麦を打ち、焙煎をしていたら、えりさんとりかさんが
颯爽と現れた。♪ぼくの名前は、ヤンボー ぼくの名前はマーボー、2人
あわせてヤンマーだ
みたいに、ふたりあわせて「エリカ庵」。二階がふたりがかかえてきた折りたたみ
のベッドをしつらえて、癒しの空間の中で、ストレスやなんやで、固くなった筋肉
や筋をリセットする日。

いつも、贅沢だけど、ふたりにやってもらう。うまくいえないけど、えりさんが
足を四の字固めしている間に、りかさんが、うでをコブラツイストしてくれて
いる・・・みたいな感じ?
ひごろ使わない裏筋肉や、ひごろ使いすぎている筋肉などが、みんな一揆に
リセットされるような爽快感が広がっていく。もちろん「いたかゆい」というか、
ときどき、「まいった」とマットをたたきたくなるくらい痛い。

ヨネクラボクシングジムで修行した時、いつも最初に「ボクシング体操」を
する。ストレッチを中心に念入りに、体をほぐしていく合理的な体操。
彼女たちのストレッチも、それの延長にある「自分でできない先のストレッチ」
みたいで、とてもいい。次回は11月1日(日)。30分で2700円~

明日は「順受の会」。今月は2回ある。
天真庵の勉強会の中では一番古く、中心になる会。
渋沢栄一翁は、「論語とそろばん」を唱えた。
これからの経営には、また論語、つまり「哲」がとても
大切になってくると思う。鳩さんは「友愛」とかいって
やわらかいイメージだけど、その人の信条とか、生き様みたいな
ものが、彷彿されるようなリーダーを日本も世界も必要と
しているのだと思う。

ぼくもそろそろお茶名をきめて、教授資格を得るので、来年は
「がんばれおやじ、50からカフェの店主」みたいなコースを
つくろうか、とか思っている。でも実際は、女性の弟子候補が
たまってきた。

朝、店の前を掃き、店の中を掃除し、季節の花をいけ、畳に座って般若心経を唱え、煎茶を入れる。それから、蕎麦打ちをして、焙煎をし、
まかないに自分の焙煎したコーヒーと蕎麦を食べる。
午後は、「1日店長」・・・夜は「かっぽれ」
人生観がかわるので、なかろうか?来年から水曜日は、そんな日に
する予定だ。
お茶、お花、コーヒー、蕎麦、かっぽれ、酒・・・を1日で勉強する日。

今日は満月。はやしくん、けいちゃんが和歌山に向かって出発する日。
出合ったり、分かれたり、泣いたり、笑ったり、月が満月になったり、
新月になったりしながら、生きたり、死んだりしながら、流れていく。






フルート

2009-10-03 06:15:54 | Weblog
昨日の夕方、大阪フィルハーモニーの榎田さんが、颯爽とやってきた。
来週6日の夜に、コンサートをやってくれるので、一曲ためしに
ひいてくれた。クラシックな木のフルートから、えもいわれぬ音が
でた。一度ベルギー大使館に招かれて、クラシックフルートの演奏を
聴いたときの感動が蘇ってきた。
秋はいい音楽をききながら、酒が飲める、のがいい。

昨日から、名古屋のgallery10(大須2-12-35)で、般若君と
陶芸家の中村公之さんの二人展「土人と木人」をやっている。
28日までなので、縁のある人は、ぜひ運んでいただきたい。
角居君も銀座のギャラリー川船(京橋3-3-4 フジビル B1F)
個展をやっている。17日まで。

今日は「エリカ庵」
体をリセットしてみたい人は、どうぞためしにきてみてください。
自分の体が「べつもの」みたいに軽くなります。楽しみ・・・

不思議な温泉

2009-10-02 06:22:30 | Weblog
毎年長野に墓参りにいく。火曜日の「英語で蕎麦会」を
終わった後、車で出発。
京都時代の友人が伊那のお寺に眠っている。
墓石を見ると、昭和57年4月 享年23歳。
ぼくも彼とおなじ骨のガンで、同じ病院に
入院していた。彼の葬式には京都から車できた。
そして、次の年、つまり昭和58年からは、東京から車で
毎年いっている。墓石を見るたびに、昭和57年が、
京都から東京に移ったことを確認。大きな岐路だった。

今年は、彼のお父様も同じ墓に入っていた。
同じ運命で京都で出会い、同じ病気になり、ぼくが生き残って、彼がいった。
そんな運命を怨むことなくいつも歓待していただき、長男に先立たれた後も、気骨をもって生きた79年の立派な人生。心からご冥福をお祈りしたい。

昭和59年に会社をつくった。最初の大きな取引先がEPSONだった。
それからも、長野の会社や長野の人たちと「縁」をいただいているのは、
きっと、そんな仏縁ではなかろうかと思う。山奥の宿の白濁した温泉につかりながら、すっかり紅葉した山を眺めながら、酒を飲んでいると、ふと、そんな感慨に
落ちた。

翌日は、松本城近くにあるSで、蕎麦を食べた。このお店とも、深山幽谷みたいに
深い深い縁で繋がれている。東京から松本に店を移して2年になる。
東京時代と同じ酒器(古瀬戸)の片口に酒を入れて、着物をきた主人がにこやかに運んでくる。酒肴は、茸と辛味大根。
もう一合を所望すると、香の物とわさび漬けがでてきた。そして〆が、ざるそば。
ここで蕎麦を味わうと、玉露を飲んだ瞬間にひろがる「幸せ感」みたいなものが
しばらく持続する。蕎麦の真髄に出会える店。その隣に、このお店で蕎麦を
食べにきているうちに、はまって、隣に骨董やを開いた(名古屋にあったお店を移した)女主人がやっている店がある。奇人がやっているお店には、奇人が集まる。
松本にふたりの素敵な女主人が、くさびみたいに店をつくってくれたおかげで、
すっかり松本が、いい街になった。こんな街おこしもある。

明日は「エリカ庵」
今月は、スケジュールを書いたホワイトボードが、余白が
ないくらい毎日いろいろなイベントがある。