初ちゃんの「ボチボチ生きようぜ!」

毎日の生活で出会った事をボツボツ綴っていきます。

沈まぬ太陽

2009-11-12 | 未分類


公開されて早々と見に行きました。


10年前でしょうかはるか昔に読んだ本です。


山崎豊子の本は好きで殆んど読んでいますが、この「沈まぬ太陽」を読んだ時は本当にやりきれない思いをしました。


「理不尽」と言うしかないひど過ぎる労務政策、中でも御巣鷹山の墜落事故は事故に遭われた方、加害者側のお世話をする方共に筆舌に尽くしがたい苦難であったろうと思います。


今回の映画もこの事故の話が中心に据えられています。


山崎豊子さんは徹底した取材を元に本を書かれますがこの「沈まぬ太陽」や「大地の子」も長期に当たる取材をされたそうです。


先日の新聞にも本人の言葉で「沈まぬ太陽を映画化しないと死ねない」と語っておられ私も待ち望んでいました。


映画なので本とはストーリーが前後しますが高度成長期の、権力や利権が絡み労働運動、学生運動の高揚していた時期の話です。


がしかし、少し後の世代の私達も少なからず同じような目にあってはいます。


団体交渉のシーンもほぼ似たようなもの。


私が新入社員として始めて赴任した職場では連日厳しい労使交渉があり、私もいつの間にか引きずりこまれ、入社以来続けていた勉強も中断を余儀なくされていやおうなく引っ張り出されたものです。


当時の組合は今と比べると随分しっかりはしていたのですが交渉の山場に局長を局長室へ閉じ込め、「ト、トイレ・・・」と局長が戸を開けて言ったら「はい!」とアルミのバケツを渡して戸を閉めてしまい見ていた新入社員一同固まったものです。


団体交渉の場にそっと入れて貰った時、あんなにふんぞり返っていた管理者が殆んど言い返せないほど、組合の役員が理詰めで迫り労働条件を勝ち取っていく姿を見てちょっと驚きました。


私達新入社員が広島へ帰れるかどうかもこの交渉案件になっていましたので必死でした。


後日、組合の上部役員が職場に来た時に喫茶店に呼び出して広島転勤組の女性ばかりで「あなた達は本当に広島に帰らせてくれるのか」と迫り、確約を取りました。


どちらを信じてついて行くべくか女性4人、泣きながら考えました。


結局、私達が確約を取ったとおり広島に帰れることになりホッとしましたが、まっさらな私の若い心には「労使対等」と言うお手本を見せられた気がします。


日航の労使には国や政治家の利権が絡み徹底した労務対策が取られたのでしょう。


山崎豊子さんはこの本が出てから随分脅迫されたり、モデルとされた人たちから反撃されたりしたそうですが新聞記者出身の正義心で乗り越えられたんだと思います。


新聞記者と言えば最近出版された「運命の人」も早速全4巻買って読みました。


沖縄返還交渉の密約書を巡る実際にあった事件ですが最後の結末は涙にくれながら読み終わり、これも感動の一冊です。


写真は数年前に新聞に掲載された恩地こと小倉寛太郎さんの訃報を報じた写真です。


この本も丁度私も関わっていた時期でしたが本当の沖縄を殆んど知らず、4巻に沖縄戦の話が詳しく書かれてあり読んでいて恥かしくなりました。


息子の修学旅行が沖縄でしたが帰ってきて一番「お父さんもお母さんも沖縄に行くべきだ」と言った意味が良く判りました。


昨今、オバマさんと鳩山さんの会談がありましたがいまだに本土の踏み台になっている沖縄が解放されるようにと願わずにはいられません。