グレタ嬢、と聞けば、地球温暖化で生意気なことを言うこざかしい小娘。そんなことせずに学業に励め。というお方だが、「世界的に名の知られたアスペルガー症候群当事者」という側面もある。
映画「グレタ」では、彼女の発達障害的側面と、それへの対応も描かれていた。
まず本人は「自分がアスペルガー症候群であることはわかっているが、障害だと思っていない」と述べている。
それが正しいとか正しくないとか。障害受容できているとかできていないとかは、言わない。
彼女はアスペルガー症候群であると自覚している。そして不登校とか緘黙とか、大変な二次障害も経験している。
結果から述べるが、彼女は中学を総合成績上位5人内で卒業している最優秀生徒の一人だ。毎週金曜日、議事堂前でストライキしているにもかかわらず、だ。
映画から見えた彼女の困難から書く。彼女は不登校、緘黙、うつ、などいろいろな大変なことを経験している。そこをいろいろな工夫と行動で乗り切り、学業成績で最優秀表彰を受けている。
スウェーデンの学校は欠席に寛容なんだなと思う。おそらく親御さんたちが、これは娘のアスペルガー症候群対策でもあると説明しているのだと思う。日本なら欠席はNG。両親から説明されてもダメだろうが。
立派なのは映画で見ると、ご両親だ。私と同世代。どちらも演劇や音楽関係の方だったと記憶している。
スウェーデンという国で、芸術活動で財を成した家庭に生まれた幸運が、彼女にはある。グレタ嬢への反論としてプーチン大統領が彼女の幸運な出自を指摘し、開発途上国の中にはグレタ嬢の住むスウェーデンと同じ生活を欲する国もあると言っている。
ご両親は5歳のころから環境問題にのめりこみこだわる彼女を禁止せず、だからと言って日本のスポーツエリートに見られるような利用もせず〈娘を利用せずとも自分たちで稼ぐ力がある〉、静かに見守り、彼女の生活を助け、彼女の主張と障害を理解すことに両親の人生を変えてでも献身し、動物療法や乗馬療法など彼女が受け入れる療育に多くの金銭と労力を投入し、彼女の試みを後ろから支援している。
彼女が変わり者で友人がいいないことを責めたりせず、孤独な活動の中に社会性のヒントを見出し、根気強く療育し、彼女が始めた金曜日ストライキには同意せずとも禁止はしなかった。
金曜日ストライキのおかげでグレタ嬢には多くの人間関係が形成され、うつ症状が減り、困難でパニックになっても回復力が強くなり、どんどん元気になっていることに喜んでいる姿が映画ではよく表現されていた。
ご両親ご自身がサラリーマンや公務員ではなく、自由業者の芸術家であることも、きっと独自性の強い娘を理解する大きな助けになっていると感じた。
グレタ嬢の地球暖化問題での主張は、ご両親の目から見ても強烈な言葉を選びすぎていて、父上が毎回強すぎると指摘するも、彼女がこの言葉以外は嫌だと言えば尊重する。こだわりに戸惑っても優しく見守り、こだわりの結果がどうなったかをフィードバックし検証する援助をしている。世界中からの厳しい反論は見せるけど、彼女が病的にならないようにフォローする様子も、よく表現されていた。あそこまでのフォローはなかなかできないものだと思う。
グレタ嬢は、愛情深いご両親などの親族と、障害者に寛容なスウェーデン社会。地球温暖化問題に比較的強い関心のあるヨーロッパで生まれた。という環境からの支えがあって成り立っていると、映画を見て思った。
彼女の言うち地球環境問題は、プーチン大統領などが指摘されるように、彼女がアスペルガー症候群的な狭い好奇心を奔放に発揮した結果、地球環境派の学者・アクティビティストたちの発信拡散に偏っていると、私も思う。
ただし、映画でも指摘されたが、地球温暖化の影響を最も受けている国の一つが、日本だ。すでに異常気象が出ている。地球は繋がっているので、ヨーロッパと日本だけの対応では、どうにもならない。
現実は、地球温暖化問題に中国とロシアとアメリカが不真面目なので、遅々として進まず、彼女らが警告するようなことになりかねないと、私も思っている。私は人生の後半にいるが、これから人生が始まる若者は、グレタと共に怒っていい状況だと思っている。
私が思うに、ロシアも中国もアメリカも、真剣な地球温暖化対策はやらないと思う。地球温暖化以上に三大国のやらかす「戦争」という史上最大の悲劇のほうが、私にとってはより身近な脅威だ。
グレタさんというアスペルガー症候群当事者が、今後どう扱われ、ご本人たちがどう対応され、何かを成し遂げられるかを、今後も注目したい。グレタさんの主張に一部同意するので、デモに出る機会があれば繰り出したと思う。