タイトルのこと、あらためて考えてみた。
まず、自分の傷病障害を、職場に開示する義務があるかどうか。
厚労省のガイドラインを読み解くと、傷病障害の職場に対する開示非開示の権利は、労働者にあることが読み取れる。
「厚労省ガイドライン」
何年か前、厚労省ガイドラインを端的に表現した新聞紙面がああったが、今は更新されてない。
そのかわり、傷病障害開示の権利が労働者側にあることが明白に示された判決が出ているから、それを紹介したい。
HIV感染者の内定取り消しは違法 雇用主側に賠償命令:朝日新聞デジタル (asahi.com)
また、探してみるとこんなのもあって。
採用時にうつ病歴を隠していた社員を解雇できるでしょうか。 - 『日本の人事部』 (jinjibu.jp)
弁護士や社労士は法律論を。経営コンサルタントは会社側の言い分を、アップしてますね。いろんな文章観てますが、だいたい同じです。
法的には裁判すれば勝つことはできますが、やはり経営側が強いですね。
樺沢紫苑氏は動画配信で、精神疾患のカミングアウトはお勧めしない。と言ってました。それは日本の精神疾患への偏見がまだ全然ひどいから。
私も過去、そういうことを書いたことがあります。
今の私の俯瞰した立場では
「傷病障害をカミングアウトする・しないを決めるのは本人の権利。ですが、周りは医療福祉の専門家であっても障害知識や人権感覚乏しい場合多く、クローズ〈障害非開示〉の場合、さらにトラブルになる可能性有り。オープンに〈傷病障害開示〉した場合、排除される可能性有り。」
「傷病障害をオープン〈開示〉にした場合、~これは障碍者枠であれ、一般枠で傷病障害を開示した場合であれ~、仕事の幅はぐっと狭まるが、職場は障害者雇用促進法と労働安全衛生法に則り、合理的配慮義務と安全配慮義務が生じるので、配慮を得やすくなる〈現実には、必ずあるわけではない〉」
「障害者としての権利行使をする場合〈障碍者枠での雇用、ハローワークで障碍者用の失業期間給付をもらう場合、自治体独自のサービス〈例えば福祉交通券を使う場合や駐車場割引を使う場合〉を使用する場合、障害は開示しなければならない」
「障碍者の権利行使をしない場合、開示する必要はない」
障害なんて本来、開示したくない。というのが私の気持ち。配慮なんていらない、のであれば、カミングアウト〈開示〉する必要はない。
友達にカミングアウトしたら、たしかに樺沢氏の言う通り、あっという間に拡散されてしまう。それは間違いない。自分の病気を秘匿したければ、カミングアウトしてはいけない。
私の場合、今は配慮してもらわないと社会生活ができない。日本ではパワハラ・モラハラなどハラスメントが日常的にまかり通る世界。いじめは日本の文化。いじめのないコミュニティーもない。
いじりという名のいじめ、厳しい教育という名のハラスメントに耐えられないのであれば、カミングアウト〈開示〉するのも一つの生き方だと思う。自分はそうしている。
いじめやハラスメントで自殺しても重い後遺障害を負っても、ハラスメントを発した相手はせいぜい、罰金刑で済んでいるのがこの国の実情だ。それは高橋まつりさんが受難した電通事件や、別れた事実婚妻の娘が受難したと疑わてもいる天白養護学校体罰事件などの実例を見れば明らかだ。
電通に罰金50万円の有罪判決 違法残業事件で東京簡裁:朝日新聞デジタル (asahi.com)
天白養護学校の暴行問題 元教諭と名古屋市に550万円賠償求め提訴 : 中京テレビNEWS (ctv.co.jp)
当時の報道を以下にコピペする
"2019/03/15 · 生徒に暴行で罰金30万円の即日判決 天白養護学校の教諭 名古屋市立天白養護学校(天白区)で生徒に暴力を振るったとして、暴行罪に問われた同校教諭の稲垣達雄被告(60)=愛知県春日井市、停職=の初公判が14日あり、名古屋地裁は求刑通り罰金30万円の即日判決を言い渡した。"
〈引用終わり〉
高橋まつりさんは自殺前からすでにうつ病だった。天白養護学校で稲垣元教諭からの暴行が裁判で認められた生徒は、自閉症と重度の知的障害がある。
高橋まつりさんは、ご自身への病識があったかどうかは不明。
天白養護学校の事例は、被害が動画撮影された子は知的障碍児入所施設の生徒。傷病障害は明白。暴行し罰金刑に処せられた稲垣氏は特別支援教育のスペシャリスト。とされる。障害をよく知っているはずの人でも、こんなものだ。
強度行動障害は殴ればいい。強い薬を盛ればいい。閉じ込めればいい。というのが特別支援教育の「専門性」とやらか?
はあー、溜息出るわ。
いじめられ損。いじめられた側は死んだり重い後遺障害を負い、一方で、いじめた側はばれてもせいぜい罰金数十万円で済んでしまうのが、この国の実情だ。こう思い返せば、やはり電通事件同様、稲垣氏と名古屋市は連帯して民事的にも損害賠償するべきだと思う。
ついでにこの稲垣氏、懲戒停職期間前から長期休業してたな〈懲戒期間満了前に定年退職〉。となる何らかの診断がついたはずだ。あの人も「当事者」か?たしかにあのシチュエーションで暴行するのは精神や脳の病気だ。無理はいかんが、職員の善意の無理で成り立っているのがあの業界。根が深い。
誰かに暴行傷害してしまうほど頑張るのなら、ドクターストップもらって、カミングアウトして休んでもらった方がいい。
障害を負って社会に出て生きていくこと。とは、いかにして社会からのハレーションに対処するか、ということが大きな課題である。
基本的に、傷病障害をカミングアウトしても、相手がたとえ医師・臨床心理士・看護師・特別支援学校教諭・精神保健福祉士などであったしても、必要な配慮が得られず、暴力的対応が返ってくる可能性さえある。
しかし傷病障害をカミングアウトしなていと、配慮は得られない。得ようもない。
配慮が必要なら、カミングアウトするしかない。でも、そうしたところで、配慮が得られるとは限らない。
しょうがない。
最後に、カミングアウトしている精神科の先生と言えば、夏苅先生〈児童精神科医・摂食障害の当事者〉だな。このカミングアウトにも、いろいろあったと聞く。そして今でも、一部医師からのハレーションがあると聞く。自分の主治医も自閉症を公表しているが、公表範囲は講演会などだと聞いている。
夏苅先生のように堂々とやると、反対する人も出るが同時に賛同する人たちも出る。私自身、大いに参考にしている。勇気をもらっている。