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リストの中のコメントは次のようにしました。「ネッビオーロ100%をステンレスタンクで6カ月間の後、オーク樽で10ヶ月間の熟成をされます。甘草、桑の実、灌木、ハーブの香り。鮮やかさがくっきりした柔らかな酸と滑らかなタンニン、調和のよいミネラリーな味わいに、さり気ない黒コショウのアフターテイストと快い余韻が続きます。」
納品されてから半年が経ちましたが。酸とタンニンがささくれ立ったよう状態で、抜栓が早いのではと思いました。やはり2年くらいのコンディショニングが必要ではと感じました。
このイタリアワイン、フラスカーティ スペリオーレ セッコ “エポス”(Frascati Superiore Secco Epos)2010は熟成感を楽しむために少し多めに買ったワインです。購入をしてからほぼ1年が経過し、状態を確認するために抜栓しました。
醸し発酵されたワイン特有の果皮由来の外観を見る事が出来ると思います。最初にバルサムの香りが鼻腔に飛び込んできます。徐々にフローラル、アーモンド、柑橘類、黄桃、ハーブの香りを確認する事が出来ます。酸は強くはないがしっかりした存在感があり、種子由来のタンニンを今は感じられませんでした。調和のよい味わいにスパイシーなアフターテイストと心地よい余韻が続きます。
今飲んでもよいし、時系列を楽しむ事も出来ると思います。3年後くらいに熟成感が現れた頃が楽しみです。
今回、抜栓したイタリアワインはモンテクッコ サンジョヴェーゼ リゼルヴァ(Montecucco Sangiovese Riserva)2006年です。馴染みの薄いワイン産地ですが。2011年には国の検査が必要なD.O.C.Gの産地呼称になっています。産地の場所はオルチャ川を挟んでモンタルチーノの南側、西側にはモッレリーノ ディ スカンサーノの領域になります。周りを見渡すと大御所やら成長著しい兄貴分がそろい踏みしているトスカーナの南部地域で、最近知られるようになった産地です。
最初の出会いで、受けた印象は、暖か味のある酸です。モッレリーノともモンタルチーとも違ったサンジョヴェーゼを感じました。今回、買い置きしてから3年たち、そろそろ点検しなければと思い抜栓しましたが、すっかり見頃を迎えていました。輪郭のくっきりした素朴で豊かな香り。ほっくりした暖かな酸、柔らかく清楚なタンニンに豊潤な果実味は広がりのある純朴な味わいがあります。以前は拾う事が出来なかった、タバコの香りを今回感じる事が出来ました。それともう一つ喉まで出かかっているのですが、言葉にならない香りがあります。それをどのように表現していいのか、今苦しんでいるところです。
前回はエミリア ロマーニャ州のサンジョヴェーゼでした。ラツィオ州にかなり近いトスカーナ州の南部のサンジョヴェーゼと比較して、北か南ではなくミクロクリマの違いが影響している事を見せつけられたような気がします。しかし、この事を、エチケットを見ないで言い当てるようになりたいものです。
新しくオンリストしたイタリアワインです。名称変更があり、今はロマーニャ サンジョヴェーゼ(Romagna Sangiovese Superiore Riserva Avi)になっています。
このワインを造っているサン パトリニャーノは薬物依存症患者の更生施設内にある醸造所で、オーガニックの認証を得ています。更生が目的の施設ではありますが、国内外で高い評価を得ています。この2006年は天候に恵まれ、ヴェロネッリ 95点、ガンベロ ロッソ 3ビッキエーリ、ドゥエミッラ ヴィーニ 5グラッポリ、パーカポイント 92点を取得しています。どうしても、ワイン評価本の高い評価に目がいってしまいますが。以前、このワインを初めて口にした時は芯のないシャボシャボなサンジョヴェーゼのワインを造るエミリア ロマーニャ州との、印象を払拭してくれたワインです。トスカーナのサンジョヴェーゼとはクローンが違うようで、私の拙い記憶を手繰っても、トスカーナのサンジョヴェーゼとはスタンスの違いを感じるワインです。香りはアイリスやスミレといった夏の花ではなく、春の花を思わせる香りがします。味わいも柔らかく弾力のある、白玉団子のような印象があります。大量生産の安価なワインを造る州というイメージはありますが。収量を抑える事で生じる、凝縮感と陰影の深さの関係を知る事が出来るワインの産地へと変わっていったと思います。