バローロ ヴィーニャ ラ ローザ1997(Barolo Vigna la Rosa 1997)はサブゾーンである、セッラルンガ ダルバの中で一番北側にある単一畑のネッビオーロから造られます。私にはモンフォルテ ダルバのバローロを上書きしたような印象があります。理由としては比較的早くに飲み頃を迎え固い印象が比較的に無く、動物的なニュアンスがほぼ感じられないからです。と、は言っても味わいは能動的で躍動する肉感は、やはりエリアの、この畑ならではの特徴であると思います。味わいながら感じたことは、香りや味わいは渾然一体化していて、もはや私の能力では特定をすることが不可能に近くなっています。このことは長い瓶熟により訪れる、調和のよさが上手く表現されているからだと思っています。
ワインの感想は、バルサミックな薫るような酸と存在感を置き忘れたような滑らかなタンニン、不純な衣を脱ぎ捨てたような優雅な果実味があると思いました。なにより、透明感というか、構成の美しさは、奥深いたくさんの物語を感じました。何より、美味しいは元より酔い心地がすこぶるいいワインでした。
このデザートワインも5月の展示会で購入を決めたワインの一本です。試飲の機会に恵まれないパンテレリアですが。長年慣れ親しんだ“アマレット”や“マルサーラ”がフローリオ社ということもあり。今回からリストに入れることにしました。
リストのコメントは次のようにまとめました。「天日干しにされたジビッボ(モスカート ディ アレッサンドリア)100%をコンクリート タンクで5ヶ月間の後に、オーク樽のバリックで8ヶ月間の熟成をされます。色調は明るい黄金色。フルーツの砂糖漬、茹でた栗、蜂蜜、ヴァニラの香り。爽やかな酸にさらりと濃厚な果実味はシャキシャキした軽快さがあり、味わいは豊潤で切れがよく特徴的なマスカットのアフターテイストに心地よい余韻へと続きます。」。
デザートワインにありがちな、だるい甘さはなく、切れのよい味わいは飲み疲れをしません。元をたどれば、かつてクレオパトラが地中海貿易の産品として外貨を稼いでいたワインと同じブドウ品種です。当時がどのような味わいであったかは、伺い知れないが。知識と教養に裏打ちされた饒舌な会話とそれにふさわしいワイン。まどろっこしくはあるけれど、その気にさせられるワインであるような気がします。
モンテファルコ サグランティーノ パッシート(Montefalco Sagrantino Passito)は5月の展示会で購入を決めた、赤のデザートワインです。コルペトローネ社以外のパッシートを味わったことが無いので、比較対象にしたワインがありませんが。同社のセッコはリストに載っているので、そのつながりでリストに連ねることにしました。
リストのコメントは、「陰干しにされたサグランティーノ100%をフレンチバリックで12ヶ月間の熟成の後、暫くステレスタンクで休ませ瓶詰めをされます。スミレ色の反射がある深いルビー色。アルコール漬けのチェリー、シナモン、ビターチョコレート、桑の実の包み込まれるような優雅な香り。たっぷりと凝縮された豊かな果実味の中に、わずかな存在感で圧倒するような繊細で上品な酸とタンニンはためらいのない静かな構えをしています。シャッキと切れのよい甘さ、フルーティーなアフターテイストに心地よい長い余韻が続きます。」のように書きました。
甘さの中にしっかりと酸があり、静かにそっと咲いている一輪の花のようなタンニンは、その存在感を果実味の中に埋没すること無く誇示していました。タンニンの存在を感じられることが、こんなにも味わいに広がりを与えることに意外な感じを覚えたくらいです。そこで考えた、乱暴な味わい方が、炭酸で割ってジビエに合わしても良いかなと思ったことです。基本はメディケーションのワインでしょうが。このような取り合わせにチャレンジしても好いのかなと、試飲をしながら、頭の中を過って行きました。
“Caggio al Vescovo” Toscana Rossoはコロリーノ トスカーノ100%から造られます。一般のコロリーノより果肉の色が薄く、果皮の色が濃いのが特徴で、ファットリア デル チェロ社が選抜したブドウ品種だそうです。一般的にキャンティを醸造する際、色付けに推奨されるブドウ品種ですが。このブドウは単一品種の醸造に向くタイプのようです。
このワインは先回の2つのワイン同様に、ことし5月の展示会で購入を決めたワインです。試飲した印象は、フルーティーな香りは何となく感じても、それ以上が思い浮かばない。味わいもまだ固く、さっぱり良さが解らない。それに確信は何もないけれど、しかし、何か漠然と感じる構成の緻密さや展開のチャーミングさが、思わず触手を伸ばす決め手になりました。この未来が予測不可能なワインが、どのような姿を披露してくれるのか。今はそれが楽しみです。
Colli Orientali del Friuli Refosco dal Peduncolo Rosso “Il Refosco”は今年5月の展示会で購入を決めたワインです。コメントは、その当時に書かれたものです。
「レフォスコ100%を20%は陰干しにされ、80%は500?の開放桶でアルコール発酵の後、バリック(新樽)でマロラクティック発酵を終了、そのまま12ヶ月間の熟成をさせ、陰干した分とブレンドした後に、さらに熟成をされます。マラスキーノチェリー、朝露をまとったブルーベリー、桑の実、ヴァニラ、カカオのしっとりした香りの中に薫るように上品な香り。沈黙に包まれた柔らかな酸と清楚で精緻なタンニン、細身の骨格でしっかりした豊潤な果実味は調和がよく、スパイシーなアフターテイストにゆるりと長い余韻が続きます。」
先回のピニョーロはカタログをチェックしたとき、意に沿うようであれば、購入しようと思っていました。このレフォスコはピニョーロを試飲していく途中にあり、その捨てがたい魅力に、思わず買ってしまったワインです。まずは、一部に陰干をされたブドウから造られていますが、華やかさを際立てずに、全体を引き締めているような香りと味わいになっています。何といっても静かで、浮いた騒がしさが無い様が内面の器量を浮き出しているようでした。