今回、抜栓したイタリアワインはテッレ デル バローロのバルバレスコ(Barbaresco “Terre del Barolo”)2006です。
このバルバレスコは協同組合の形態で生産され、組合員の総面積は650ha、3000万本の生産量を誇ります。このバルバレスコをワインリストに載せた経緯はコストパフォーマンスです。
今まであまり深く考えていませんでしたが、前夜に飲みながら考えたのは、ネッビオーロ ダルバではなく、やはりバルバレスコだな、と感じたことです。それより近年、バローロとバルバレスコはクリューの概念を導入していますが、気張らなくてもバルバレスコはバルバレスコ。其れは、飲み進むうちに香りといい味わいといい、バルバレスコらしく佇む姿をじわじわと感じさせられたからです。
印象は白いバラの香りにどこかにラズベリー、そして、スパイシーな香り。2006年なので、酸とタンニンはこなれて滑らかです。味わい複雑さはありませんが、バランス良くフレッシュ感に初々しさを残しています。
今回、抜栓したイタリアワインはバルベーラ ダルバ “パパゲーナ”(Barbera d’Alba Speriore Papagena)1999です。
ピエモンテ州のバルベーラは酸に特徴があると思っています。元気が良くて溌剌とした酸はちょっと尖がった印象があり。パパゲーナは和やかな味わいに変化してくれるのではないか、と思いエイジングを施しています。
今までに抜栓したバルベーラは納得するような状態ではありませんでした。しかし、その間にも2010年ぐらいからバルベーラの造りが変わったのかな、と思うようになりました。
先日、某メーカーの試飲会には蔵元で瓶熟した2001年と別の醸造元の2013年が並べられていました。私の印象では2001年の酸は柔らかくなっているが、何かフニャと感じられ、あまり良い印象ではありませんでした。2013年のバルベーラは突出した酸は感じられず、今風の造りになっていました。そこで担当者にその旨を話し、2010年くらいからバルベーラの造りの変化について質問しましたが。其れについては明確な答えは返ってはきませんでした。複雑な事情を端的に応えるのは大変だな、と思われたので、違うイタリアの諸事情に話題を変えました。
さてパパゲーナ1999に戻ります。抜栓した瞬間から引き締まったすらりとした香りが漂ってきました。優しい酸の香りもします。シークァーサのような酸に香り、早生ミカンの青々した清々しい香りに、サクランボ、プラム、スパイシーな香り。するりと丸められた柔らかな酸とタンニン、くっきりした果実味は実にさわやか。さほど複雑ではないが、まとまりは良く綺麗な味わいです。
しかし、15年間エイジングして、今時のバルベーラと雰囲気が似ている。辛抱強く見守ってきたことが、良い結果をもたらしたとは思えないが。良い経験をさせて貰ったようです。