このワインは醸造と瓶詰めはグロミス社となっているが、ガヤ社の所有の畑のブドウから造られるワインです。在庫をしている1997には単一畑のチェレクイオと商品名のコンテイザが表記されているが。98と99はバローロのみの表記になっています。
当初は優柔不断な存在感のない香りと記憶をしていましたが。私の予感が的中。輪郭のくっきりした艶やかな木イチゴ、スグリ、サクランボの香りをカカオの香りが漂うベールで包み込み、ゆったり薫っています。ゴロンと塊のようなつかみようのない酸とタンニンはスリムで滑らかに変化し、しなやかな柔らかさのある果実味にミネラリーなアフターテイストがあります。
長い時間をかけてエイジングをしてよかったと、思わせるワインになっている時が、絵にも書けない幸せを感じる一時です。
ボルゲリ ロッソ “レ マッキオーレ”はリリースされて間もなく抜栓しても美味しく飲めるワインだと思います。ボルゲリでの赤ワイン造りは、イタリアの在来品種に不向きな土地柄らしく、インターナショナルな品種が主に植樹されています。以前はこれらの品種に興味がなく、とりあえず試飲だけはして様子を見ていました。そのうちサンジョヴェーゼとメルローの相性が気に入り、ボルゲリもスタイルの一つに加えてもいいと思い、手ごろな価格のワインをリストアップしていった経緯があります。
この“レ マッキオーレ”はサンジョヴェーゼが15%入っていることへの共感とゆったりした果実味のユルユル感が気にいったワインでした。この豊かな果実味と生き生きした弾むような酸は。しかし、さほどの欠点ではないのですが。酸の基礎部分が希薄で安定感に不安は覚えていました。ミッドまでゆったりと延びる豊かな酸があれば、果実味の豊かさがもっと生きてくると思われたからです。この2006年はとても天候に恵まれた年で少し多めに買い置きをした1本です。今回は1年ほどエイジングをしてどのように変化をしているか様子を見るために抜栓をしました。残念ながら期待していた、モリモリと底辺から湧き上がるような酸にはなっていませんでしたが。しかし、この価格帯のワインであれば“コンパクトにまとまった柔らかな酸とタンニン”とコメントをしておけばよいのだが。試飲の段階で多くを期待しすぎたのかもしれません。私の見込み違いで価格と品質のバランスが悪いワインであるとは思っていません。美味しいワインの部類に入ると思っています。何か期待感を持たされるワインであり、これからも見守っていくつもりです。
流れは先回のアマローネに続いての抜栓です。ヴァイオ アルマロンはお客様のT氏がおすそ分けを一杯取り置いて頂いたので、様子を見ることができましたが。それ以外は空瓶を鼻でひとすすりして、その印象を記憶に留めることにしました。その中で、レ コステ1997のミネラル香が頭の四隅見にチラチラと見え隠れして味見を催促されているような感じがしていました。しかし、今回はあえてヴィンテージを変え1998を抜栓することにしました。テラミスに多めに振りかけられたココアパウダーのような印象の濃厚で香ばしい味と香り。ラズベリーやバラのいまだ若々しい香りと清楚なミネラル香。十分に柔らかくなっている酸とタンニンは歳月が美しく鞣したようです。バランスよくしっかり構成された果実味はまだまだフレッシュさを失っていません。さて一番に確認をしなければいけない。頭の四隅に張り付いているミネラル香は、実におっとりした印象を感じました。ミネラリーといえば、硬質なイメージを持っているのですが。ぼやっとではなく、しっかりと遠くを眺めている姿勢の正しさに固さのようなものを感じられるが。柔軟性を併せ持つ多面的なところが感じられます。清楚なミネラル香といまだにフレッシュな香りと果実味は、熟成の今後が楽しみでもあります。