タメッリーニ社のソアーヴェ クラッシコ “レ ビーネ デ コスティオーラ” 2006(Soave Classico le Bine de costiola)を今回抜栓しました。リリースされてから2年くらいは、口の中でコロコロと転がるような硬い味わいがあり、四角四面の非常に真面目な印象がありました。ようやく5年が経過して、フレッシュ感を味わうのではなく、熟成感を楽しめるワインだと解りました。色もコハク色を帯びいます。
ソアーヴェによくあるアーモンドの香りは、相変わらず確信が持てずにいます。オイリーな舌触りがナッツのようなアフターテイストを供なているような感じを意識出来るのですが。どこかにソアーヴェだとの思い込みが、そのように感じさせているようにも思え、表現に迷いを生じます。
これを書いている最中に思い浮かんだこと事があります。ケルナー、リースリングを交えた3本のブラインド テイスティングを面白いと思いました。ソアーヴェのナッツの香りを感じることが出来れば、難しくはないと思いますが。今回のような、思い込みに助けられている状態だと的外れなワインを思い浮かべ、迷走するような気がしました。
コメントは(ガルガネガ100%をステンレスタンクで5~6ヶ月間の熟成をされます。白い花、シトラス、完熟したナシやモモのゆらゆらと押し広がるふっくらとした香りは、メリハリの効いたバランスのよい構成をしています。骨格のしっかりした柔らかな酸とミネラリーな味わいを奥底に積み重ね上げられたような果実味は調和の良さに、心地よいアフターテイストと余韻が続きます。)です。
最初にフェッラーリ ロゼを抜栓し、次にトラミネール アロマティコ“カンパネル”2006を開けました。
フェッラーリ ロゼはオレンジやイチゴの華やかな香り、鉛筆の芯のようなミネラリーな香り。酸は鮮やかで四隅に広がるフレッシュで優雅な果実味。心地よいぷりぷりの泡とフルーティーな味わいは、心を清々しくしてくれるようです。
ロゼのスプマンテは気持ちを華やかにしてくれると思います。ワインを見ているだけでも楽しくなれます。4000円もするワインなので小難しいコメントを書きたくなるのですが。心がだんだんとウキウキするだけで余計なことを考えることを止めにします。
2本目のカンパネルは最初に書いたコメントがまるで使えない。しっとり感もほのぼのとした柔らかさもない、筋肉の盛り上がったような力強い香り。酸は滑らかで単純に積み重ねられているような重層的な果実味は、実直で端正な味わいがあります。さすがに香りや味わいの記憶はなく、コメントを読み返すとまるで別のワインになっています。そこで、思い出したワインがトラミネール アロマティコ “ルナーレ”です。鉱物的なミネラルの香りと味わいが記憶の片隅で近いかもしれないと思いました。
今回トラミンを選んだのは、一ヶ月前くらいに、デザートワインについてメールを頂きました。つたない返事をしたのですが。よくよく考えると、何もドルチェ ヴィーノだけに限って選択しなくても残糖の多いドルチェでもいいし、アロマティックなワインでもいいのではと考えたからです。その時はモスカート ダスティーしか思いつきませんでしたが。さらに一点
モスカート ダスティー(Moscato d’Asti)
フラスカーティ カンネリーノ(Frascati Cannellino)
このワインなら希望をしている、アルコール度数も低く、ハーフボトルもあります。参考にしてください。
トレント ブリュット リゼルヴァ “グラアル アルテマージ”(Trento Brut Riserva Graal Altemasi)とアマローネ デッラ ヴァルポリチェッラ クラッシコ“カピテル モンテ オルミ”(Amarone Della Valpolicella Classico Capitel Monte Olmi)をワインリストに追加しました。
グラアルはジュリオ フェラーリの代替え、試飲は一つ下のスプマンテを参考にオーバーな表現でコメントを書きました。ほんとは2004年を欲しかったのですが、ヴィンテージを確認しないまま発注をしてしまい、後になってから現行ヴィンテージでないことに気付きました。04を欲しかった理由は瓶熟が72ヶ月間されているためです。ちなみに03は48ヶ月間です。長ければ良いスプマンテであると思ってはいないのですが。獅子脅しと同じようなもので「へぇ~72ヶ月間も、」と思わせ、それイコール貴重なスプマンテであると受け取られ、これってすごいスプマンテだよね、と思わせる悪い魂胆で選んだワインです。ヴィンテージについては、失敗をしたとは思っていません。むしろ、48ヶ月間と72ヶ月間の違いを見極める楽しみが2年後あたりに待っているからです。
カピテル モンテ オルミは輸入されてない時に、以前の輸入業者からサンプルで頂いたのがとても気に入り、リストアップしようと思っていたところ、輸入業者が変わり、10年間も導入を出来ずにいたワインです。伸びた理由はたくさん売れるワインではないので、どうしてもワインの出来や評価が気になります。欲しいヴィンテージを待っていると飛ばされたり、輸入業者との意思疎通が悪かったために時間がかかりました。当店には結構な数のアマローネがリストにありますが。最初はテデスキーとスペリ、ベルターニのアマローネから始まりました。アマローネの違いは醸造スタイルが、そのままワインに反映されていると思います。あまり大きな違いないかもしれませんが。しかし、私にはネグラールの凛々しく優雅な雰囲気が大好きです。そして、サンピエトロ イン カリアーノは優雅さが当然のような立ち振る舞いにシンパシーを感じます。オルミのコメントには(気品すら凡庸に感じられる味わい)としてあり、身に付いた優雅さは自然で、そして、周りを巻き込まずに不自然なくらいに同化している、と私は思っているのですが。しかし、ブライドテースティングで銘柄を外したら、えらくかっこ悪いと思います。
今回のイタリアワインはアリアニコ デル ヴルトゥレ “ロイノス”(Aglianico del vulture Roinos)2002です。今年の4月に“ドン アンセルモ”と入れ替えにワインリストからオフにしたワインで、理由は価格と評価のバランスが悪いと判断したためです。
抜栓の直後は果実味が濃いグレープ ジュースのようで面白さに欠けたワインでした。ふと思い出したことは、この夏に10年越しに来店して頂いたNさんに抜栓して頂いたベルターニのアマローネです。アルコール度数が15もあるのに、それを感じさせないバランスのよさがありました。ビターチョコレートの苦さ、砂糖をカラメルにしたほろ苦さ、白玉のような滑らかで柔らかい酸とタンニンは懐が深く包み込むような味わいがありました。ロイノスと言えば、果実味がやたらと大きくバランスが悪い。しかし、中ほどから甘いニュアンスが一瞬にしてわずかに引き始めると、酸と調和がよくなり。あれっと思っているとタンニンの硬さが殻から抜け、滑らかになると今までの不満が一気に解消されました。とは言ってもベルターニのアマローネとロイノスは、ほぼ同じ価格です。この2本を比べてしまうとロイノスは、これも有りなのかもしれませんが。アマローネの領域に踏み込まなくてもよいでは、とも考えさせられます。すでにリストからオフにしたワインなのですが。やはり果実味の行き過ぎた感が否めません。バローロと肩を並べるようなスケールの大きいワインと考えていたので。ドン アンセルモに切り替えて正解のような気がします。
オルトレポ パヴェーゼ ピノ ネロ “イル ラロ ネロ”(Oltrepo Pavese Pinot Nero “il Raro Nero”)2003を抜栓しまいた。なぜだか瓶が重く大きい。写真には映っていませんが。コルクは45ミリの長さしかなく、キャップシールもペラペラのプラスチィック製です。意味が不明でちぐはぐところがイタリアらしいと言えばそれまでですが。余計な期待感を胸に9年間のエイジングをしたワインです。特別なメッセージが込められていることを期待していたのですが。肩すかしをされたような気がしました。しかし、この価格帯のワインに多くを望むのは無理があると思います。
色はイタリアのピノ ネロらしく、退色せずに綺麗に透明感があります。ラズベリー、サクランボ香りは変わらず華やかでしっとりしています。甘い香りはヴァニラとチョコレートを思わせ、当初よく解らなかったタバコやレーザーの香りが、何気に在るような気がします。酸にはぽってりした柔らかさがあり、上品な果実味も凝縮感の陰影はそれなりの深さがあります。タンニンは荒々しさが残っていて、9年間エイジングさせたのに、と思われました。この部分だけが気に入りませんでしたが。最終章のフルーティーなアフターテイストに心地よい余韻は充分に満足させてくれました。
ピノ ネロがらみで。先日、ラックコーポレーションの展示会がありました。ラックはかつてイタリアワインの扱いがあり、わずかですが買っていました。その縁からか展示会の案内は毎年きます。毎年何を楽しみに行くかと言えば、ブルゴーニュの高額なワインまで多数の試飲が出来るからです。ちなみに、私のお気に入りはシャンボル ニュジニーです。毎年私が一番美味しいと感じたワインのところに行くと、決まってシャンボル ニュジニーです。そこに、フレンチのOグランシェフがいたので挨拶を済ませ、見ておいたほうがよいワインがないかと聞くと、村名付きのブルゴーニュを教えられました。これが色は濃い、村名付きなのに1万円を超えている。このようなピノ ノワールから造られるワインもあるのだ考え深げでいると、ワインを納めくれるTサンが側にいたので。ブルゴーニュで色の濃いワインも造られるのですね。と聞くと、すかさず昔はあったの一言、なぜかジビエ料理を食べるためにブルゴーニュにあったから。そう言われると微妙な納得をしました。その時、頭の中を過ったのがヒグマの赤ワイン煮込みです。これならいけると思いました。