今回抜栓したイタリアワインは、ブルネッロ ディ モンタルチーノ リゼルヴァ “ポッジョ アル ヴェント” (Brunello di Montalcino Riserva Poggio al Vento)1997です。結論から先に書くと、この価格を考えると残念な味わいでした。一つ一つの要素は良かったのですが、まとまりが良くありませんでした。穏やかでスケールの大きい円やかな味わいを期待したのですが、ざわざわしていて落ち着きが無く、座りが良くありませんでした。それでも、酸は硬さが解かれ柔らかく、タンニンもシルキータッチで滑らかです。柑橘系のピールや生クリームのような香りと味わいは、おそらく、バランスが良くなると違った局面に出会えると思っています。
今回抜栓したイタリアワインはバローロ リゼルヴァ ブリッコ ボスキス ヴィーニャ サン ジュゼッペ (Barolo Riserva Bricco Boschis Vigna San Giuseppe)1996です。バローロとバルバレスコはいよいよ区画、そして、単一畑での表示へ重きを置こうとしています。このワインもブリッコ ボスキスの区画のサン ジュゼッペ畑、熟成の長いリゼルヴァ タイプのバローロとなります。このワインは80年代以前の味わいや香りがどのように構成されていたかは、触れたことが無いので解りません。それでも、マーケットへのアピールは絶え間なくしていたと考えています。しかし、スタイルを変えずに大樽で長めの熟成をしているカンティーナでもあります。
香りはリストのコメントをそのまま飛躍しています。変化しているのはクローブの香りに何かが乗っているような気がします。ヨードのような香りに感じられのですが、特定が出来ずに酔ってしまい、それまでになっています。それに香りの特徴は、柔らかな香りと濃厚な香りのバランスの良さです。それは味わいの中にもあります。酸にはほのぼのとした美味さがあり、タンニンは芳ばしさが香るようでした。印象は華麗で複雑と言うよりは、素朴でクールな感じがします。この控えめな感じが大きなテクスチャーを抱えている自信のように思えました。最後に滓は少しだけ瓶の底に取り残されていました。