鐔鑑賞記 by Zenzai

鍔や小柄など刀装小道具の作風・デザインを鑑賞記録

錣曳図目貫 後藤栄乗 Eijo Menuki

2011-04-14 | 目貫
錣曳図目貫 無銘 後藤栄乗


錣曳図目貫 無銘 後藤栄乗

海上に逃れた平家であったが、次第に義経軍の実数に気付き始め、中には上陸を試みる猛者がある。その一人が悪七兵衛景清であり、薙刀を片手に上陸、義経軍の前に進み出た。これに自らが応じると名乗り出たのが美保谷十郎。ところが馬を射られて転倒。ここに景清が駆け寄って討ちとろうとするも、十郎も逃げては恥と応戦。火花を散らして太刀と薙刀を打ち合うも、ついに太刀が折れた、と思いきや、景清の薙刀も折れていた。既に無用の得物ながら捨てることを忘れ、両者は激しく組み合う。そのとき、景清が十郎の兜をむんずと掴んだ。しかし抗う十郎にも力はあり、もみ合ううちに、ついにその錣が剥ぎ取られてしまった。
この場面も描かれることが多い。一騎打ちという戦闘様式を重んずる源平の時代の意識が窺いとれる。後藤宗家七代栄乗の作。赤銅地容彫金銀色絵。