馬師皇図小柄 (鍔の歴史)


馬師皇図小柄 乗意
利壽、安親と共に奈良三作と尊称されている杉浦乗意の小柄。乗意は和漢の歴史人物や伝承の人物を題に採り、けっして高肉に彫り出すわけではない『肉合彫』という技法を用いながらも、恰も量感のある高彫のように、立体的に表現するを得意とした名人。この作例においても、彫り出された顔の部分や胸の手などは地面からごくわずかに高いという程度。にもかかわらずこれほどに立体感と奥行き感がある。丁寧な彫刻によって細部の描写も優れている。これらの技術や感性が、後の江戸金工の多彩な表現と題材に繋がってゆくのである。江戸時代の金工の祖の一人と謳われる理由がここにある。朧銀地を極微細な石目地に仕上げ、龍も肉合彫に毛彫と片切彫、その周囲に微細な点刻を加え、渦巻く雲の様子を表現しているところも独創的。


馬師皇図小柄 乗意
利壽、安親と共に奈良三作と尊称されている杉浦乗意の小柄。乗意は和漢の歴史人物や伝承の人物を題に採り、けっして高肉に彫り出すわけではない『肉合彫』という技法を用いながらも、恰も量感のある高彫のように、立体的に表現するを得意とした名人。この作例においても、彫り出された顔の部分や胸の手などは地面からごくわずかに高いという程度。にもかかわらずこれほどに立体感と奥行き感がある。丁寧な彫刻によって細部の描写も優れている。これらの技術や感性が、後の江戸金工の多彩な表現と題材に繋がってゆくのである。江戸時代の金工の祖の一人と謳われる理由がここにある。朧銀地を極微細な石目地に仕上げ、龍も肉合彫に毛彫と片切彫、その周囲に微細な点刻を加え、渦巻く雲の様子を表現しているところも独創的。