鐔鑑賞記 by Zenzai

鍔や小柄など刀装小道具の作風・デザインを鑑賞記録

文繋透図鍔 古赤坂 Ko-Akasaka Tsuba

2015-12-02 | 鍔の歴史
文繋透図鍔 古赤坂


文繋透図鍔 古赤坂

 耳と切羽台を様々な文様で繋いだ構成の図は、京透しや尾張鍔に間々見られるが、この鍔は江戸時代初期の赤坂鍔工が製作したもの。赤坂鍔工は、京都から江戸に移住した鍔工と考えられており、独特の新味のある風情を漂わせた鉄地透鍔を遺している。同時に古作を手本に製作しておりこのような尾張鐔に紛れる作もある。さて、この鍔の耳が菊花形になっているのは容易に判ると思う。この作例のように、菊花形の造形は時代を超えて好まれていたのであろう。切羽台と耳とを繋いでいるのは雅な文様であり、菊花とは全く無関係な事物だ。ここでは扇子、茶筅、抱茗荷紋、雁金、円弧文。これらにより素敵な陰影が生み出されている。古赤坂とは、赤坂派の中でも初、二、三代までの時代の上がる工のこと。