鐔鑑賞記 by Zenzai

鍔や小柄など刀装小道具の作風・デザインを鑑賞記録

山水図鐔 若芝 Jakushi Tsuba

2018-10-24 | 鍔の歴史
山水図鐔 若芝


山水図鐔 若芝

 肥前長崎の鐔工。独特の穏やかな高彫によって山水風景を彫り出し、個々に細い線象嵌、布目象嵌、擦り付け象嵌などの手法で金による彩色を施す手法を得意とした。本作が典型。繊細な絵画を見るようである。もちろん極細の線だけで描いたのであればべったりとして奥行き感もないのだろうが、過ぎることのない高彫と見事に調和している。下は同じ手法になる三国志より取材した作。


稲穂に鼠図鐔 貞之 Sadayuki Tsuba

2018-10-24 | 鍔の歴史
稲穂に鼠図鐔 貞之


稲穂に鼠図鐔 貞之

 貞行もまた独特の地鉄造りも追求した、加賀の鐔工。鍛え強い鉄地を高彫にし、焼手腐らかしで蝦蟇肌とも呼ばれる自然な凹凸の生じた肌合いを作品の要とした。この鐔に関しては細部まで加刻されていることから蝦蟇肌とは言い難いが、それでも、耳際には独特の抑揚のある風合いが窺える。強みの感じられる地鉄である。