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転移性肺腫瘍・転移性肝臓腫瘍 岡山大学大学院 医歯薬学総合研究科 呼吸器・乳腺内分泌外科(第二外科)

2018-10-13 19:59:58 | Diaries
岡山大学大学院 医歯薬学総合研究科 呼吸器・乳腺内分泌外科(第二外科)
http://www.nigeka-okayama-u.jp/chest/medical/medical009/

転移性肺腫瘍・転移性肝臓腫瘍

1.血行性転移:他の臓器にできたがんからがん細胞が血管の中に入り込み、血の流れに乗って肺にたどり着く経路
2.リンパ行性転移:他の臓器にできたがんからがん細胞がリンパ管の中に入り込み、リンパ液の流れに乗って肺にたどり着く経路
3.経管腔性転移(経気道性転移):主に肺にできたがんが、気道の中を空気の流れに乗って肺のほかの部分にたどりつく経路

血行性転移のメカニズム
1.大静脈系転移経路
①肺型 肺がん
②肝静脈型 肝がん
③大静脈型 多くの臓器の腫瘍
肺が1番目のフィルター
2.門脈系転移経路 胃・膵・腸管系の腫瘍
肝臓が1番目のフィルター

Thomforodの基準(1965)
1.患者が手術に耐えられること
2.原発巣がコントロールされていること
3.肺以外に再発・転移がないこと
4.レントゲン上転移巣が一側肺に限局していること

現在全身的な治療として最も一般的なものは化学療法(抗がん剤治療)です。そのほか免疫療法やホルモン療法などもあります。しかしながら現在の医療レベルではいかんせんまだ全身治療だけでがんを死滅させることは非常に難しいといわざるを得ません。したがって「全身的な治療」に対して「局所的な治療」である手術や放射線療法、さらにはラジオ波焼灼療法などが必要となってきます。


岡山大学大学院 医歯薬学総合研究科 呼吸器・乳腺内分泌外科(第二外科)
http://www.nigeka-okayama-u.jp/chest/medical/medical007/

ラジオ波焼灼術(RFA)による肺悪性腫瘍治療

はじめに
 肺の悪性腫瘍(肺がんや転移性肺腫瘍)の低侵襲治療(体に優しい治療)は、近年様々な新しい方法が開発され、応用されるようになってきました。その中の一つがラジオ波を用いた焼灼(温熱)療法で、熱によって腫瘍の細胞を殺してしまう方法です。肺悪性腫瘍に対するラジオ波治療の始めての成功例は、2000年にアメリカで報告された3例に始まります。それ以後現在に至るまで肺がんや転移性肺腫瘍を中心に、多くの胸部悪性腫瘍に対してラジオ波治療が行われるようになってきました。当院でも集学的治療の一つとして、放射線科でその治療を行っております。

原理
 ラジオ波焼灼術はラジオ波電極(針)を腫瘍あるいは腫瘍の近くに刺し、電磁波の一種であるラジオ波(約500KHz前後の周波数)を通電することによって、発生するジュール熱によって腫瘍を凝固壊死させるという方法です。

適応(対象)
 岡山大学医学部歯学部付属病院では2001年6月より2011年7月までに488症例、1325個の腫瘍に対してラジオ波治療を行いました。その対象となるのは、「従来の手術の適応とならない胸部悪性腫瘍」です。具体的には以下のような方を対象としております。
1.手術施工が困難である症例(高齢者、低肺機能者、重度の合併症を持つ者、胸部複数回手術の既往を持つ者など)
2.手術によって根治性が期待できないもの(多数の胸部悪性病変を持つ者、多臓器に悪性病変(転移など)を合併している者など)
3.手術を希望されないもの



https://ir.kagoshima-u.ac.jp/index.php?action=pages_view_main&active_action=repository_action_common_download&item_id=8087&item_no=1&attribute_id=16&file_no=1&page_id=13&block_id=21

 切除不能肺癌に対する肺ラジオ波焼灼療法:
腫瘍制御率と関連因子並びに合併症に関する検討


馬場 康貴1)、林 完勇1)、瀬之口 輝寿1)、中条 政敬1)、柳 正和2)

1) Department of Radhiology,Kagoshima University Medical and Dental Hospital
2) Department of Thoracic Surgery,Kagoshima University Medical and Dental Hosupital,Kagoshima,Japan

鹿児島大学医学雑誌 第61巻 第2号 29-33頁 2009年9月
(原稿受付日 2009年5月29日)