「角川・新年賀詞交換会」。前半は「角川短歌賞・俳句賞」の贈呈式。後半は新年会。
今年の「短歌賞・俳句賞」は印象深いものだった。俳句賞は福島のベテラン俳人、短歌賞は四国の高校生だった。例年は俳句賞は選考委員の言葉も受賞者の話も爆笑のなか、短歌賞は生真面目に行われるものだったが、今年は違った。
先ず俳句賞。「ふくしま」50句。東日本大震災の避難所で作ったという。選考委員会で問題になったことが二つ。一つはこういうことは俳句の素材として適しているか。二つは表現されている内容が作者の実体験なのか否か。短歌でも同様のことがしばしば問題となるが、結局は受賞となった。作品内容が内容だけに発言者は真剣そのもの。例年とは違った雰囲気だった。
次に短歌賞。「一人、教室」50首。現役の高校生。作品のテーマがしっかりしていると感じた。選考委員のユーモア溢れる発言が会場を沸かした。受賞者はネット掲示板に短歌を発表し始めてから間もないとのこと。そのことだけでも「快挙」だと思った。
さて後半の新年会。
「よう今年の短歌賞、かすっとったやないか。やっとるなと思ってた。」
といきなり声をかけられた。昨年話し込んだ先輩歌人だった。実は薬を忘れて頭がぼんやりしていたので、会場の隅で静かにしているつもりだったのだが、次々と声を掛けられて、結局新しく何人かの歌人と話したり、名詞交換したりした。
なかには僕が初期のころ(10ほど年前)読んだ短歌の入門書の著者もいて、直接「お礼」を言った。短歌に本気になってしまったのは、その本のせいだからだ。
「この本を書く目的は、読者が短歌にのめり込むようにすることだ」
と本のフレーズを言って喜ばれた。
そのほかにもさまざまな歌人と話したが今後の作歌の糧になりそうだ。経済学者の歌人に、
「結局ケインズじゃ駄目なんでしょう?」
といったら、反論があるかと思いきや、
「そうなんだよね。効果があるかどうかわからないが、公共投資をするしか手がないんだ。」
と聞いて、底なしの不況の深刻さを知った。結局財政危機を脱出するには、まず誰が税の負担をするかだが、別の記事にする。最悪のシナリオは「消費税増税」と思うが、また別の記事にする。
会場の後に僕の第2歌集「オリオンの剣」が陳列されていた。結構「さま」になっていて嬉しかった。
別の歌人とは、「岡井隆が斎藤茂吉をよく読んでいる」と話した。また「短歌を教えることは、自分を見つめることにつながる」ことにも話が及んだ。
さて来年はどんな出会いがあるか。