・残雪の富士の片身が昏れてゆく車窓に渾身の一日が終わる・
「尾崎左永子八十八歌」所収。2015年に開催された「色紙展」の出品作。
この段階での代表歌だ。
「車窓」は新幹線だろうかその「個別具体的」な「こと」は「捨象」されている。佐太郎の言う「表現の限定」、作者の言う「言葉の削ぎ落し」。
また、下の句への転換は「序破急」の「破」、「始承転結」の「転」。
つまり、上の句全体が「序」、下の句への転換は「破」、下の句全体が「急」
そして初句が「起」、二句が「承」下の句への転換は「転」上の句全体が「結」である。